ツール・ド・フランス2024でスロベニアのポガチャルが3度目の総合優勝

  • photo photo : A.S.O. /Billy Ceusters

世界最大の自転車レースである第111回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)が、7月22日に南仏のニースで閉幕し、スロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が、2020年2021年に続き、25歳で3度目の総合優勝を果たした。

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3度目の総合優勝を果たしたスロベニアのポガチャル (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 

史上8人目のダブル・ツール

ポガチャルは5月にジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)で総合初優勝していて、1シーズンにジロとツールの両方で優勝する大記録(ダブル・ツール)を達成した8人目の選手になった。この記録を最後に達成したのはイタリアのマルコ・パンターニで、ツールがフェスティナ事件と呼ばれるドーピング事件で騒然となった1998年の事だった。それは1998年9月21日生まれのポガチャルが生まれる前に達成された記録だ。

最終日はモナコからニースまでの33.7kmで個人タイムトライアルが競われ、マイヨ・ジョーヌのポガチャルが2位のヴィンゲゴーに1分以上のタイム差を付けて圧勝し、今大会6勝目を上げた。ツールが首都パリ以外で閉幕したのは史上初で、最終日に個人タイムトライアルが行われたのは35年ぶりだった。
 

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最終日の個人TTで圧勝したマイヨ・ジョーヌのポガチャルは両手を上げてゴールした (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
5つの山岳ステージ(第4ステージ、第14ステージ、第15ステージ、第19ステージ、第20ステージ)と最後の個人タイムトライアルで優勝したポガチャルは、1984年に区間5勝して総合優勝したフランスのローラン・フィニョンの記録を抜いた。彼の記録は1979年に区間7勝して総合優勝したフランスのベルナール・イノーに次いで2位だ。

ポガチャルのツール区間通算優勝数は17勝になり、26歳になる前にこれだけ区間優勝した選手は今までいなかった。彼は今年のジロでも区間6勝しており、同じ年のジロとツールで合計12勝し、1970年にベルギーのエディ・メルクスが達成した合計11勝(ジロで3勝、ツールで8勝)の記録を抜いた。同じ年のジロとツールでそれぞれ5勝以上したのは、ポガチャルが史上初めてだった。彼のマイヨ・ジョーヌ着用日数は40日で、歴代6位だ。
 

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ポガチャルの区間通算優勝数は17勝になった。26歳になる前にこれだけ勝った選手は今までいなかった (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
2022年2023年にポガチャルを打ち負かして総合を連覇していたディフェンディングチャンピオンのヨーナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク/デンマーク)は6分17秒差で総合2位だった。彼は4月のイツリア・バスク・カントリー(UCIワールドツアー)で負傷し、今大会が復帰レースだった。

総合3位はツール初参加だったベルギーのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)で、9分18秒差だった。24歳のエヴェネプールは新人賞を受賞した。
 

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左から総合2位のヴィンゲゴー(デンマーク)、総合優勝したポガチャル(スロベニア)、総合3位のエヴェネプール(ベルギー) (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
ポイント賞は区間3勝したエリトリアのビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)が受賞し、アフリカ大陸に初のマイヨ・ベールをもたらした。

山岳賞は南米エクアドルのリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)が受賞した。エクアドルもマイヨ・アポワがもたらされたのは初めてだった。序盤に1日マイヨ・ジョーヌを着用し、レース後半にも活躍したカラパスはスーパー敢闘賞も受賞している。
 

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エリトリアのギルマイがポイント賞を受賞した (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

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エクアドルのカラパスが山岳賞を受賞した (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 

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ベルギーのエヴェネプールは総合3位で新人賞を受賞した (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

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エクアドルのカラパスがスーパー敢闘賞を受賞した (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
チーム成績はボカチャルが総合優勝し、ポルトガルのジョアン・アルメイダが総合4位、英国のアダム・イェーツが総合6位に入ったアラブ首長国連邦のUAEチーム・エミレーツが受賞した。
 

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アラブ首長国連邦のUAEチーム・エミレーツがチーム成績を受賞した (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
第5ステージで遂に前人未到の通算35勝を達成し、最多区間優勝記録のトップに立った英国のマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム)は、次の目標だった完走を成し遂げ、総合141位の最下位(ランテルヌ・ルージュ)で15回目のツールを締めくくった。ニースのマセナ広場で行われた最終日の表彰式にはカヴェンディッシュも登壇し、胸に『CAXXXV』(※XXXVはローマ数字で35)と書かれた特別なマイヨを受け取った。
 

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今大会で前人未到の35勝を成し遂げたカヴェンディッシュは特別なマイヨを贈られた (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 
■3度目のツール総合優勝を果たしたポガチャルのコメント
「ものすごく幸せだ。ツール・ド・フランスでの厳しい2年間の後で、ボクがどれほど幸せなのかは言い表せられない。その2年間で我々は常にいくつかの失敗をし、そのせいでレースに負けた。今年は全てが完璧だった。これは毎日完全に自信を持っていた初めてのグランツールだった。今年のジロですら、1日調子が悪い日があった。それがいつだったのかは言わない。このツール・ド・フランスは素晴らしかった。

(次の目標は)ファンデルプールがアルカンシエルを着ていると格好良いとは分かっている。でもボクは彼からそれを奪い取りたいよ」
 

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■第21ステージ結果

[7月21日/モナコ(モナコ公国)~ニース/33.7 km]
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 45′ 24”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 03”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 01′ 14”
4. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 02′ 08”
5. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 02′ 18”
6. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 02′ 31”
7. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 02′ 41”
8. H. TEJADA (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / COL) + 02′ 50”
9. S. BUITRAGO (BAHRAIN VICTORIOUS / COL) + 02′ 53”
10. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 02′ 56”
36. G. CICCONE (LIDL-TREK / ITA) + 04′ 54”

[第111回ツール・ド・フランス個人総合最終成績(マイヨ・ジョーヌ)]
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 83h 38′ 56”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 06′ 17”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) +09′ 18”
4. J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES / POR) + 19′ 03”
5. M. LANDA (SOUDAL QUICK-STEP / ESP) + 20′ 06”
6. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 24′ 07”
7. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 25′ 04”
8. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 26′ 34”
9. D. GEE (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 27′ 21”
10. S. BUITRAGO (BAHRAIN VICTORIOUS / COL) + 29′ 03”
141. M. CAVENDISH (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / GBR) + 06h 23′ 11”
 

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2024年ツールの4賞ジャージ。左から新人賞のエヴェネプール(ベルギー)、山岳賞のカラパス(エクアドル)、ポイント賞のギルマイ(エリトリア)、総合優勝のポガチャル(スロベニア) (photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
■山岳賞(マイヨ・アポワ) : R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU)
■新人賞(マイヨ・ブラン) :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■スーパー敢闘賞 : R. CARAPAZ (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU)
 

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(photo : A.S.O. /Billy Ceusters)

 

 

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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ツール・ド・フランス2024公式プログラム