女子Qリーグ、中学生Nリーグ2024-25 第6戦しもふさクリテリウム 9月結果
目次
サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2024-2025シーズン第6戦「しもふさクリテリウム 9月」が9月1日(日)、台風10号の接近により不安定な天候のなか、千葉県成田市・下総運動公園内にて開催された。
大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で、今シーズンの開幕戦「しもふさクリテリウム 5月」と同じく1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースで行われた。
高校生以上女子のQリーグとNリーグのうち中学生女子NWが対象のレディースクラス、そしてNリーグ中学生男子Nが対象の中学生クラスともに、各リーグのポイントリーダーを決定する熱い闘いが繰り広げられた。
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曇り空を引き裂くように元気よくスタートする、中学生クラスの選手達 Photo:gg_kasai
大会開催される週の半ばから台風10号の動きが予想よりゆっくりとなり、当初は当日が台風通過後となっていたはずが、前日土曜日になっても関東地方まで台風が到達していない状況。そのため大会主催側は気象や交通などの情報を収集しながら、参加者だけでなく大会関係者スタッフも含め全員の安全性を確保しての開催が可能かをギリギリまで協議。大会2日前に「開催」の決定を周知した。
一方で、当日の台風進行状況や天候予想の急変も鑑み、受付などのレイアウトを変更し、芝生広場が水浸しとなったため屋外実施となる表彰式を中止するなど対応。いつも以上に「安全第一」で参加選手がレースに臨めるように終始、努めていた。
大会当日、早朝からコース清掃などで早めにスタッフが稼働。深夜、大量に降った雨は上がって準備も進んだが、朝7時過ぎから再び雨。最初のプログラムとなる、ハムスタースピン代表・福田昌弘氏が担当の「サイクルクリニック」第一回目は雨降りのなかで実施となった。サイクルクリニックは各レース前試走の時間帯で実施され、後半では受講ライダーが多く集まった。
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雨のなか、福田氏のスクールを楽しみにしていたキッズ選手が受講。レース本番でも活躍した(Photo:QNリーグ事務局)
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強雨でも、エンデューロレースを牽引するチーム MATRIX POWERTAG(Photo:QNリーグ事務局)
第1レースとなる120分エンデューロは8時過ぎからスタートした。周回を重ねるごとに雨脚が強くなり、参加選手らの顔が跳ね上がる雨で黒くなってくるバッドコンディション。
しかし、大会ホストチームで Jプロツアーを中心に活躍するチームMATRIX POWERTAGの所属選手たちが今回もメイン集団を牽引し、速度差のある集団同士が混乱しないようにコントロール。大きな混乱なくエンデューロレースが終わったころには、ようやく雨が止んできた。
レディースクラスは小田島が優勝、佐藤がQリーグポイントリーダーに
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バトルマリンジャージを守るブラウ・ブリッツェン岡田(中央)、そしてPRIMERA小田島(左端)がNリーグNWリーダーの座を巡るレディースクラスのスタートを待つ (Photo:gg_kasai)
そんな雨上がりの不安定なコンディションの中、「個人タイムトライアル」や大会名物のレース体験クラス「エンデューロ・トゥ・スタディ」、そして定番のキッズクラス各レースが行われ、いよいよ昼過ぎの12時40分にQリーグ対象の「レディースクラス」がスタート。今大会でも「小学生チャンピオンクラス」が1分後スタートの混走扱いとなる。
周回数は5周の7.5kmとなるレディースレースをエントリー10人が争い、そのなかには今シーズンのQリーグで初参戦となる小田恵利花(ラバネロ)、そしてNリーグNWで今シーズン初参戦となる小田島寛奈(#1-PRIMERA-)がスタートから積極的に前に出る。
特に2周回目に入ってまもなくのタイミングで小田島が単独で集団から抜け出しアタック。その動きにつられて追走集団のスピードが上がり、ようやく小田島を捕らえた集団は2周回目の完了時に6人まで絞られた。
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積極的に6人の集団先頭を引きながら、後方をチェックするPRIMERA小田島(Photo:gg_kasai)
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必死に集団に喰らいつくブラウ・ブリッツェン岡田(中央)(Photo:gg_kasai)
集団に追いつかれた小田島は再び単独でアタック、そして集団に捕まるも常に集団の前方に位置して、相変わらず底力の強さを見せていた。
一方で、動きまわる小田島を何とかしようと追走を続ける同じNリーグNWで現在ポイントリーダーの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)、Qリーグのラバネロ小田に佐藤直美(Yahoo! JAPAN CycleRacing team)、山口心愛(お魚チンパンジー)、浅見亜希子(スマートコーチング)の6人が前へ出ようとするが、うまく動けない様子。
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何度も単独でアタックし、終始レースを掻き回した小田島は優勝でゴールを飾った(Photo:gg_kasai)
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最終局面で集団からドロップしながらも、トップから約30秒遅れでゴールした岡田(Photo:gg_kasai)
最終周回に入る前に小田島が再びの単独アタック。これに反応しYahoo!佐藤が追いかけるも、そのまま小田島はゴールに単独で飛び込み、見事レディースクラス優勝を飾った。2位には佐藤、3位にはラバネロ小田が入り、Nリーグポイントリーダーの岡田は6位となった。
この結果により、2位の佐藤はリーグポイント20を獲得し初のQリーグポイントリーダーの座に立つ。NリーグNWでは岡田がポイントリーダーの座を守った。
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Qリーグポイントランキングリーダーの証・アメジストジャージを着用し笑顔のYahoo!佐藤(Photo:gg_kasai)
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ポイントは稼いだ佐藤だが、急な体調不良で勝てなかった悔しさを滲ませた(Photo:gg_kasai)
ポイントリーダー授与式では今シーズンからQリーグに登録し、念願の初のアメジストジャージ獲得に成功した佐藤を祝福すると「とても悔しいです」と切り出した。
詳しく聞くと「レースでは優勝を目指していたのですが、実は試走の前に熱中症になったようで、もどしてしまう(嘔吐)アクシデントがありまして。でも今日はそれを言い訳にせず、皆さんも暑いなかで同じ条件を闘いましたので。2位という結果はしっかりと受け止めたいと思います」と今日のレースを反省しながら振り返っていた。
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Qリーグ協賛アスリチューン賞を手にして、安堵の笑顔を見せた新ポイントリーダー佐藤 (Photo:gg_kasai)
この日のレディースクラスはスタートから集団のスピードも速く、さらに佐藤とは相性の良い下総運動公園のコースということもあって、体調不良でも先頭集団に最後まで喰らいつけた戦略を聞いてみると「(しもふさクリテリウムレースで)前回も、その前も積極的に前に出て、何周かは(先頭を)引きたいと思っていたのですが、今日は中切れを埋めるのが精一杯で。ちょっと前に出られなくてトップの選手の方にはゴメンなさい!と、あとで謝りに行こうかなと思っています。次回は体調万全にして、正々堂々と前に出て闘えるようにします!」と次戦を既に見据えたコメントをくれた。
ようやく手に入れたアメジストジャージ防衛に向けては「まだまだ練習が足りないと思うので、しっかりとトレーニングを積んで、切磋琢磨しながらQリーグ全体を盛り上げられるようにします!」と、ベテランならではの素晴らしいコメントで授与式を締めてくれた。
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すっかりNリーグNW協賛・EXLUB賞の顔となったブラウ・ブリッツェン岡田(Photo:gg_kasai)
NリーグNWポイントリーダー授与式では、最終周回まで先頭集団に残れたものの「残り1周回に入って、しばらくしたところで千切れてしまいました」とブラウ・ブリッツェン岡田が悔しそうにレース展開を振り返っており、同じNリーグ中学生女子 NWのライバルとなる小田島の数回にわたるアタックでスピードアップした集団の動きに苦心した模様。
後半戦への立て直しに向けては「アタックが何回もかかるとペースの上げ下げに対応しきれず(脚が)いっぱいになってしまうので、対応できるようにしたいと思います」とコメント。
「次戦は苦手なヒルクライムなのですが、頑張りたいと思います!」と前向きな発言。その意気込みをレースでも見せてもらえるように、今後も活躍を見守りたい。
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ジュニア強化レースにも出場した小田島は敢闘賞も獲得。「しっかりした肩は体が強い証拠!自転車だけでない体つくりも大事やな!」とチーム MATRIX POWERTAG安原監督は語る(Photo:gg_kasai)
レディースクラスの台風の目となったPRIMERA小田島は今シーズン初参戦、同年代だけでなくベテラン選手も多く混ざるレースで積極的に前へ出る走りを見せ、「1年ぶりに下総(のコース)を走れたし、久々に会った人もいて本当に楽しかった」と笑顔で優勝を振り返った。
8月のビッグレース・シマノ鈴鹿の女子ロードでも優勝し調子の良い状態で今レースに臨んでいたが、普段はトライアスロンが主戦場で「高校生になったら、とりあえず全日本選手権などで世界(選手権の出場権)の切符を奪って世界で闘えるような選手になりたい」と高い目標を教えてくれた。
最後に「これからもロードレースとトライアスロンで頑張りますので、よろしくお願いします!」と力強いメッセージをくれた。今後もトライアスロンの頂点を目指す中で、Nリーグ対象レースでも引き続き活躍を見せてほしい。
中学生クラスは渡邊が制し、Nリーグ首位・西澤に3ポイント差に迫る
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スタートラインに並ぶ中学生クラスの出場選手たち。この頃には完全にコースはドライに乾く(Photo:gg_kasai)
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レース序盤の中学生クラス。バトルマリンジャージを守る西澤は多くマークされ苦心(Photo:gg_kasai)
続く中学生クラスはジュニア強化レースやマスターズ選手のレースなどを経て、15時11分からのスタート。コースを6周する9.0kmのレースには26人がエントリーし、そのうちNリーグ登録選手が13人。しかも、この時点でリーグのポイントランキング上位9位までが勢揃いした。
そんな緊張感が溢れるスタートは台風の影響もあり出走22人となり、現在Nリーグ中学生男子Nポイントリーダーでバトルマリンジャージを着用する西澤崇介(ViteJambe)を皆でマークする展開に。1周目は大きな集団のまま2周目に入る。
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先頭集団の先頭に出るブラウ・ブリッツェン渡邉(中央)と追いかける8人(Photo:gg_kasai)
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Nリーグは中学生クラスだが、その中でも小学生の頃からレースなどで経験を積んでいる中学1年生ライダーたちの活躍にもぜひ注目してほしい(Photo:gg_kasai)
2周目を終え、コントロールラインには単独で渡邊鳳飛が逃げ、その後方を18人の集団が追走する。間もなく逃げをキャッチした集団から、今度はNリーグで前・第5戦「小野こまちロードレース」で優勝した渡邉公太(ブラウ・ブリッツエン U15)が単独アタック。
その動きでスピードアップした追走集団は10人と7人に分断。その中で中学1年生ながら善戦を重ねていた茂木陽向(#1-PRIMERA-)が集団からドロップしてしまう。どうやら個人タイムトライアルにジュニア強化レース、そして今レースと3本も参戦を重ねて、さすがに疲れた模様。しかし、粘りを見せて次の周回には先頭集団に追いついた。
このように今レースでは他に青木絆星、水沼龍之介、渡邊虎徹が参戦するなど、まだ体の小さいNリーグ登録の中学1年生選手も活躍を見せており、このようにポテンシャルの高い選手らの将来を早くから見届けられる貴重で楽しみな場にもなっている。
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ゴールスプリントを制したブラウ・ブリッツェン渡邉(中央)がリーグ対象レース連覇を達成! (Photo:gg_kasai)
4周目完了時には現在、ランキング3位につける柬理日楠詩(TeamFITTE)が集団の先頭に立ち、そのまま逃げを決めようと動くが集団全体のマークがきつく、残り1周回に入るタイミングでリーダーのVite Jambe西澤が9人となった集団の先頭を引く展開となった。
ゴールは集団スプリントとなり、若干抜け出した4人のなかでブラウ・ブリッツェン渡邉が競り勝ち連勝を果たした。続いてFITTE柬理が2位に、ポイントリーダーの西澤は3位入賞し辛うじてポイントリーダーの座を守った。4位にはNリーグ戦で常に上位の高橋祐樹(LINKVISION)、5位にはNリーグNWポイントリーダー岡田愛裕來の兄である岡田來毘(ブラウ・ブリッツェン U15)が入った。
Nリーグポイントリーダー授与式では、今回も積極的な走りを見せた西澤が「うまく(集団の)先頭交代ができなかったので、ゆっくり前を引きながらとりあえず前に出ました」と振り返った。
またリーダーとのポイント差が迫ってきたこともあり、リーグ登録選手たちを中心に今レースでも序盤から虎視眈々とリーダー西澤を狙う動きに集中し、ゴールスプリントは僅差での決着になったことについては「スプリントの力が足りなかったので、次に生かします!」とリベンジを誓った。
今レースで優勝した渡邊がポイントランキングで3ポイント差まで迫っていることを意識しながら、次戦はヒルクライムでのポイントリーダー防衛へ意気込みを聞くと「(ヒルクライムを得意とする)柬理選手に勝てるように、山でシバきまくって次は(表彰台の天辺に)戻ってきます!!」と力強いコメントをくれた。
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授与式でインタビューに答える Vite Jambe西澤(Photo:gg_kasai) 授与式動画はQNリーグ YouTubeをご覧ください
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今回もNリーグN協賛 R×L賞を獲得した西澤。足元には R×Lソックス 310Rが(Photo:gg_kasai)
今レースで1位のランキングポイント28を積み上げ、次戦の行方ではポイントリーダーの証・バトルマリンジャージを手にする可能性が高くなった優勝のブラウ・ブリッツェン渡邊からは、大会終了後にメールでコメントをもらった。
現ポイントリーダーの西澤選手は、どんな選手だと思いますか?という質問には「積極的な走りをしながら冷静にレースコントロールができる強い選手」と分析。
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表彰式は行われなかったが、大会本部で表彰を受けていた渡邉は副賞目録を手に笑顔!(Photo:QNリーグ事務局)
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良きライバル FITTE柬理とワンツーを決めて記念撮影に応じてくれた(Photo:QNリーグ事務局)
そんな西澤と闘った今レースでの作戦、そのなかでもうまくいった点を聞くと「天気が荒れる事を予想して早めの勝負を考えていました。しかし、ドライコンディションで牽制も多く集団スプリントになると気持ちを切り替え、スプリントではイメージしていた通りにイン側に入れてタイミングよく仕掛けることができました」と、非常に落ち着いた冷静なレース運びの意図を伺えた。
活動を共にする所属チーム「ブラウ・ブリッツェン」で得られることについては「夏休み中はチームメイトと朝練をしたり、楽しみながらトレーニングをしています。コーチからは自転車の技術面だけではなく陸上トレーニングや戦術面のアドバイスももらえるので勉強になります」と充実したで練習を重ねている様子とともに「(結果が思わしくなかった)あぶくま洞ヒルクライムは、リベンジ&バトルマリンジャージを取るために全力で走ります!」と初のポイントリーダー獲得を目指して次レースへの意気込みを教えてくれた。
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中学生クラスのスタートを待つ、左から柬理、西澤、渡邉の3人は仲良し(Photo:QNリーグ事務局)
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今回も積極的に動いた西澤。この後もバトルマリンジャージを守れるか?期待したい(Photo:gg_kasai)
各リーグポイントリーダー
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<写真左よりQ リーグ佐藤、N リーグ⻄澤、NW 岡田の各ポイントリーダー>
今大会の年間総合ポイントリーダー授与式では、Bioracerより「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxL Nリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUB Nリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」が、それぞれ賞品として提供された。
Q リーグポイントリーダー:アメジストジャージ
N リーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ
提供:Bioracer
アスリチューン賞 Qリーグ(高校生以上女子)
ポイントリーダー:佐藤 直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)・40p
ランキング2位:岡本 彩那(ブラウ・ブリッツエン)・28p
ランキング3位:小田 恵利花(ラバネロ)・27p
RxL賞 Nリーグ・N(中学生男子)
ポイントリーダー:⻄澤 崇介(Vite Jambe)・121p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・119p
ランキング3位:柬理 日楠詩(Team FITTE)・90p
EXLUB賞 Nリーグ・NW(中学生女子)
ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・55p
ランキング2位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・28p
年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)
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Nリーグ中学生の男女ポイントリーダー、左が女子NW岡田、右が男子Nの西澤(Photo:gg_kasai)
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大会会場で出展していたアスリチューン賞ブースで笑顔のYahoo!佐藤(Photo:QNリーグ事務局)
<レポート概要>
写真撮影:gg_kasai、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:サイクルロードレース協会東日本(MATRIX)
*しもふさクリテリウム 9月:公式ホームページ
https://shimofusa-criterium.powertag.jp/2024/9/outline.html
2024-2025Qリーグ・Nリーグ対象となる全11戦のレーススケジュールはこちら
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
次戦・第7戦は10月6日(日)「箱根ヒルクライム 2024」となります。
https://walkride-cycling.info/hakone-hc-top/
Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニア中学生が活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/102128/