Jプロツアー2024南魚沼クリテリウム&南魚沼ロードレース 雨の中の消耗戦

目次

9月の三連休の中日と最終日に新潟県南魚沼市にてJBCFのレースが行われた。レースを振り返っていく。

 

南魚沼クリテリウム ブリヂストンの快勝

Jプロツアー2024南魚沼クリテリウム&南魚沼ロードレース

雨が強く降る中でのクリテリウム

 

9月22日には第4回南魚沼クリテリウム、23日には第9回南魚沼ロードレースが南魚沼市にて行われた。両日とも天気は不安定で、雨が降ったり止んだりを繰り返した。

10時40分を過ぎ、雨が本降りになる頃に始まった南魚沼クリテリウムのJプロツアーは、1.24㎞を35周する43.4㎞で争われた。

翌週にU23の世界選手権出発を控えている寺田吉騎(シマノレーシング)らが序盤から積極的に飛び出そうとするが、橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)らが常に先頭で逃げを捕らえたことで抜け出しはなかなか決まらず。

終盤にかけて、ペースアップが図られ、徐々に集団は人数を減らしていった。

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常に集団前方に位置した橋本

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寺田が仕掛ける

 

22周目には再び寺田が単独で抜け出し、追走に4人が集団から飛び出す。寺田を吸収し、先頭は5人になるが、集団はフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)らが牽引。逃げグループから今度は風間翔眞(シマノレーシング)が単独で抜け出し、集団は後続の4人を先に捕らえた。

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単独で逃げる風間

 

30周目に入ったところで、集団先頭の橋本が風間を捕まえると、再び集団は一つに。集団ではシマノレーシングやチームブリヂストンサイクリングがスプリントに向けた態勢を作る。

ラスト2周で香山飛龍(シマノレーシング)がひとり飛び出したことで、先頭は8人に絞られた。その中に、チームブリヂストンサイクリングは橋本、山本哲央、松田祥位の最多3人を残した。

ラスト1周、橋本が先頭を引き、そのまま最終コーナーを迎える。後ろについた松田が発射し、後続を寄せ付けないまま松田、山本がワンツーフィニッシュを飾った。

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ワンツーフィニッシュを飾ったブリヂストン

 

厳しい雨も打ちつける中でのレースとなったが松田はこう話す。
「雨は好きなんですけど、なかなかきつかったです。最初からきつくてやばいな思っていたんですけど、最後にゴール前で上げる力は多分みんなあると思うので、そこで集団がちょっと脚ないぞ、もがけないぞってとき行けたので。じわじわ毎周3人ずつぐらい抜かして、残り3周ぐらいで5番手ぐらい、残り2周で3番手、ラストでもう(橋本)英也さんと僕みたいな感じで発射してもらいました。ちょうどよく英也さん、僕、哲夫がいたので、しっかりはまって」

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普段はトラック競技を中心に活動しており、パリ五輪を終えて久しぶりの国内ロードレースへの参戦となった。

「緊張というか気が抜けないな感じで。ずっと1時間集中しっぱなしみたいな。僕はただ祈ってましたね。英也さんと哲央に任せて、早くゴールが周回来ないかなって」

翌日のロードレースは上りのある長いレース。筋肉の量が多いトラック選手たちには厳しいコースだ。「明日は大丈夫です」と松田は笑った。

 

南魚沼クリテリウム Jプロツアー
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1位 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング) 58分1秒
2位 山本哲央(チームブリヂストンサイクリング) +0秒
3位 香山飛龍(シマノレーシング) +0秒

 

南魚沼ロードレース 圧倒的個の力

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雨が降る中でスタートを切る選手たち

 

23日に南魚沼市の三国川ダム周辺で行われた南魚沼ロードレースのJプロツアーは、経済産業大臣旗である輪翔旗がかかったレース。1周12㎞を12周する144㎞で競われた。

輪翔旗は、チーム内でトップ3の順位を合わせた数が最も少ないチームに与えられる。昨年は、マトリックスパワータグがその座を獲得している。

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シエッラ・ジェシッド(宇都宮ブリッツェン)が単独で逃げる場面もあったがメカトラで吸収

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集団は一つのまま終盤へと突入する

 

12時半に小雨が降る中、レースがスタート。序盤からの飛び出しもあり、少人数の逃げがいくこともあったが集団は全てを吸収していった。

勝負が動いたのは終盤だった。

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1周目に落車をしたという金子が終盤にペースを上げる

 

9周目の上り区間でJプロツアーのリーダージャージを着る金子宗平(群馬グリフィン)が先頭を引き、ペースを一気に上げると集団は1列棒状となり、人数も減った。

さらに上り切った先で、ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)が先頭に出ると、それに飛びついたルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)、風間翔眞(シマノレーシング)、ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)、佐藤光(チームサイクラーズスネル)、林原聖真(群馬グリフィン)の6人で逃げが形成された。

「きっかけは、リーダージャージの金子選手が単独で上りで引いていたことで、そこから単発で行った選手たちの集まりでした」と風間は話す。その前にも上りでのペースアップとその後のアップダウン区間では集団前方で動きがあり、風間はチェックに入っていたという。

一方、佐藤はその時点で7割ほどの余力を残せていたそうだ。
「結構前で見る余裕もあったので、他のメンバーよりは、ダイボール選手の次ぐらいには余裕があるなとは思っていました」

先頭6人は集団と徐々にタイム差を開いていく。10周目に入る頃には1分半ほどまで開いた。

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アタックを仕掛けるダイボールと後ろにつく佐藤

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追走グループの4人

 

ラスト2周、コントロールラインからの上り区間で一気にダイボールが仕掛けると、そこに対応できたは佐藤のみ。

「もう完全に実力差が分かっていました。でもあの場面でライバルに差をつけるんだったら絶対に行くしかなかったし、あと自分の中でチャレンジの意味合いもあって反応しました」と佐藤。

しかし、その佐藤も上りが終わった後の下り区間で先頭交代の際に後ろからダイボールにアタックを仕掛けられ、離れた。

ダイボールは単独のままラスト1周に入る。仕掛けどころについてダイボールはこう話す。
「残り3周で6人の集団の中に入ったとき、1周目はみんな一緒に走っていたんだけど、次の2周目には少しゆっくり走り始めたんだ。それで僕は1人で行った方がいいと判断してアタックした。1人だけついてきたんだけど、またアタックして、1周半くらいひとりで走ったかな。でもレースが始まる前までは、そんなつもりはなかったんだ」

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先頭で独走するダイボール

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追走する佐藤

 

千切れた佐藤は、「もう足が違うやと思って。このままダイボール選手に合わせるよりかは、自分で踏んで。相手とのマージンもあるし、脚を残すっていうのもあるんですけど、後ろが来ても回れるくらいには余力を残しながら踏んでいきました」と話す。

残り1周、ダイボールと佐藤との差は40秒ほど、そこから30秒ほどで追走グループが追う。先頭と集団ではもう3分の差がついていた。

先頭のダイボールはそのまま残りの1周で淡々と独走を続け、余裕を持ってフィニッシュラインへと飛びこんだ。

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独走勝利を収めたダイボール

 

佐藤もまた単独で追走グループから逃げ切り、2位でフィニッシュすると笑顔でチームスタッフと抱き合った。自身としてもチームとしても初めてのJプロツアー表彰台へと登った。

「今まで敢闘賞だったり、あと古殿ロードレースの8人しか残らなかったロードレースで完走はありました。一昨年の南魚沼ロードは、8位でしたね。最後までサバイバルな展開のなか、しっかり残って、今回は雪辱を晴らした感じになるんですかね。2年前の右往左往をしながら走るJプロツアーとは違って、成長できた姿を今日は見せられたのかなと思います」と佐藤は話した。

一方、追走グループでは、牽制が起こっていたと風間は話す。
「最後に4人のグルペットでみんな牽制し合って、何だかトラック競技のスプリントみたいな感じでしたね。本当に止まりながら。牽制して、めちゃくちゃゆっくりになって、最後200mぐらいの看板から、もう一気に出ましたね」

4人のゴールスプリントを制した風間が3位でフィニッシュとなった。

団体戦の輪翔旗は、6位、7位、12位でフィニッシュしたマトリックスパワータグへと渡った。

優勝したダイボールは、UCIレースで表彰台に登る機会は多いが、Jプロツアーでの勝利は初めて。
「今日は雨が降っていたので、最初は少し難しかった。でも最後の3周はかなりハードで、最終ラップはちょっと辛かったけど、少しギャップがあったので、それほどストレスはなかった。ハードな1日だったと思う」と振り返った。

「日本のレースはいつも本当に素晴らしい。いつもとてもよくオーガナイズされている」と話すダイボール。次に狙うのは国内のUCIレースだと話した。

「大分アーバンクラシック、ツール・ド・九州、そしてジャパンカップが次の大きな目標だ。トルコから帰ってきたばかりだから、日本での次のレースは重要だね」

この週末で一気に気温が下がり、秋が訪れた。これからシーズン最終盤に向けて国内UCIレースも多く予定されている。ここまで国内UCIコンチネンタルチームは、来季のUCI登録のためにもいくつかの海外遠征を経てきている。今後の国内で行われるレースでもその集大成が発揮されることを期待したい。

 

南魚沼ロードレース Jプロツアー
Jプロツアー2024南魚沼クリテリウム&南魚沼ロードレース
1位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) 3時間37分43秒
2位 佐藤光(チームサイクラーズスネル) +1分47秒
3位 風間翔眞(シマノレーシング) +2分18秒

 

南魚沼ロードレース Jプロツアー団体
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1位 マトリックスパワータグ
2位 群馬グリフィンレーシングチーム
3位 宇都宮ブリッツェン

 

 

Jプロツアー第14戦 第4回南魚沼クリテリウム
開催日:2024年9月22日(日)
開催地:新潟県南魚沼市六日町坂戸 特設コース(1周1.24km×35周=43.4㎞)

Jプロツアー第15戦 第9回南魚沼ロードレース(経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ)
開催日:2024年9月23日(月・祝)
開催地:新潟県南魚沼市 三国川ダム周回コース(1周12km×12周=144㎞)

https://jbcfroad.jp/jprotour/