女子Qリーグ、中学生Nリーグ2024-25 第7戦:箱根ヒルクライム結果

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サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2024-2025シーズン第7戦「箱根ヒルクライム2024」が10月6日(日)、神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根にて開催された。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

Photo:KensukeYada

 

コースは普段は自動車専用の観光有料道路として利用される「アネスト岩田ターンパイク箱根」を完全封鎖し、スタート地点の小田原料金所から頂上のアネスト岩田スカイラウンジを目指す、距離 13.4km・平均勾配 7.2%を走るレイアウト。特にスタートから傾斜がキツイので、スタートダッシュで頑張りすぎると脚が売り切れる恐れがあり、非常にペース配分が難しい。

大会の歴史は長い。2010年から2年開催された後、2年間の中断を経て地元の小田原市職員による呼びかけで2015年に復活した背景を持つ。そんな自転車での地域活性化のため復活した大会を主催するのが株式会社ウォークライドで、レース運営はもちろんのこと、レース前日受付会場では会場近くの宿泊施設・ヒルトン小田原リゾート&スパのチャリティー募金活動「クリスマストレイン」にも協力。大会で集まった募金は「箱根ヒルクライム参加者一同」として寄付され、地域の子どもたちの遊びや教育、学習支援、地域貢献活動に使用される。

地元や子どもたちへの貢献活動にも熱心なこの大会に、今シーズンからはシリーズ戦であるQリーグとNリーグ中学生女子NWは女子チャンピオン、そしてNリーグの中学生男子Nは中学生クラス対象レースとして組み込まれた。

その狙いを説明すると、女子チャンピオンクラスは「QリーグやNリーグの中学生女子とともに走ることで女子チャンピオンクラスへの参戦をさらに促し、ヒルクライムを得意とする女子選手たちにとって目標大会の1つにしたい」と考えるため。中学生クラスについては「これまでも男子は中学生、そして高校生それぞれのクラスを設定しているのが、そのクラスに一層の充実を図りたい」とウォークライドの代表である山根理史氏とも議論を重ねて今大会でも協力してもらうこととなった。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

下山集合ポイントでキャラクターヒルクライム部門参加選手のうち「ウマ息子プリティーローディー・第4回キャラヒル杯」の皆さん。年々参加を増やし、このような参戦有志によるさまざまな楽しみ方も!(Photo:QNリーグ事務局)

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

クラス別表彰式の合間にはコスプレイヤーゲストがステージを盛り上げたり、アニソンDJなど箱根ヒルクライムならではの併催イベントも特徴(Photo:QNリーグ事務局)

 

また、同大会では気軽に自転車レースへチャレンジしてもらうためにクラス設定を工夫している。脚力別や年齢別を筆頭に、自転車の種別クラスとして「鉄の漢クラス」や「e-bikeクラス」、さらにはタンデムや小径車のクラスも。そして 2021年からはアニメ、コミック、ゲームなどのコンテンツやキャラクターをモチーフにしたコスプレやサイクルジャージ着用、仮装を参加条件とした「キャラクターヒルクライム部門」も同時開催されている(キャラヒル部門については、別主催による運営)。

大会当日は連日の夏日から一転し、朝から霧が深く視界が悪い状況。ときどき小雨が降り路面も濡れ、かなり肌寒いコンディション。そのなかで小学生クラスとタンデムクラス以外の参加選手たちがゴール地点のアネスト岩田スカイラウンジ前の集合場所に集まってくる。

この箱根ヒルクライムでは、スタート地点へ向かいコースを下山してから、再びコースを上っていく手順となる。朝8時の下山開始を前にリーグ登録選手達は元気いっぱい!バイクとスタッフ自転車の安全管理誘導で、ブロックごとに分かれて下山を開始した。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

数メートル先も視界が微妙になる深い霧であったが、運営の誘導バイクや自転車による下山で、安全にスタート地点まで移動。おかげでトラブルなくスタートを迎えることができた(Photo:QNリーグ事務局)

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

朝から元気なNリーグ選手ら。後半戦に入り良きライバル同士というだけでなく、自転車レース仲間としての仲も深くなっているようだ(Photo:QNリーグ事務局)

 

中学生クラスは柬理が僅差で勝利、2位・西澤が首位キープ

第1スタートとなる男子チャンピオン、高校生、そしてリーグ対象レースとなる女子チャンピオンと中学生が 9時半に同時スタート。コースの特性上、レース展開が分かる地点にいられなかったためゴール地点でスタンバイ。

しばらくすると深い霧のなかから、男子チャンピオンクラスの優勝選手がゴール。そこから、あまり時を置かずにNリーグの中学生男子Nが対象となっている中学生クラスのトップが見えてきたが、なんと2人のゴールスプリント争いとなり、ヒルクライムらしからぬ接戦にゴール地点は非常に盛り上がった。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

ゴールまで、残り200mを切り、ここまで単独先行していた柬理(写真中央)だが、バトルマリンジャージ西澤(左)が、すぐ背後まで迫っていた(Photo:k.kazuma)

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中学生クラスを競り勝った柬理(左)は力強くガッツポーズ!わずかに届かず西澤は悔しさを滲ませる(Photo:Kensuke Yada)

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

Vite Jambe西澤は2位に入ったためバトルマリンジャージの防衛に成功(Photo:Kensuke Yada)

 

そんな振り絞った熱いスプリントの結果、中学生クラスの優勝は柬理日楠詩(TeamFITTE)でタイムは50分05秒、2位の西澤崇介(ViteJambe)とのタイム差はわずか0.063秒であった。

3位にはShonan.Vertex.Racingの松原圭佑が入り、4位のKinan Racing Team MIE junior木村孔南までが50分台のタイムであった。現在ランキング 2位につけている渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)は7位に沈み、念願のバトルマリンジャージ獲得は次戦以降へ持ち越しとなった。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

粘りの走りで3位入賞を果たした松原圭佑(Shonan.Vertex.Racing)Photo:Kensuke Yada

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ゴール直前でパンクに見舞われるも6位ゴールし、ランキング順位を上げたLINKVISION高橋(Photo:Kensuke Yada)

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現在ランキング2位のブラウ・ブリッツェン渡邉は、コースに苦しみながら7位でゴール(Photo:Kensuke Yada)

 

前週の9月26日に開催されたJBCF第5回まえばし赤城山ヒルクライム・Yクラスで優勝し、今回も調子の良いところを見せた柬理に、どんな準備をしてレースに臨んだのか?を聞いてみると「学校で駅伝とかがあって、あまり練習ができなかったんですが、そんな状態でも自分のコンディションを精一杯出せるようになんとか1週間前ぐらいから調子を整えるように頑張りました」と語った。

レース前にコースを下山してスタート地点に向かうという状況には「スタート前で1時間ぐらい待機だったので何もできなくて、脚が冷え切ってしまってからのスタートで最初は力が出ず、何も・・・。(レース前の)準備ができてなくて補給のゼリーを飲むぐらいでした」とスタートからの滑り出しは良くなかったようだ。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

寒いなか、ゴール後に快くインタビューに応じてくれたNリーグランキング上位勢。左からLINKVISION高橋、FITTE柬理、Vite Jambe西澤。(Photo:QNリーグ事務局)※この3人によるインタビュー動画はこちら

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

ゴール直後の西澤(左)と柬理(右)。お互いの健闘を称えながら走りを振り返っていた(Photo:QNリーグ事務局)

 

 そんな柬理の動きに対して、バトルマリンジャージを守る立場である西澤は「(ペダルを)ブン回すしかない!と。気合と根性で走りました」と自身がヒルクライムを苦手としているのを自覚し「山を中心に練習をしたので、その成果が表れたと思います」とレース前に対策をしていたそうだ。

この中学生クラスのレースで4人の先頭集団に絞られたなか、柬理が単独で飛び出し「200mの看板の所までは1人で先行していたので、逃げ切れたと思ったら、メチャメチャ西澤選手が伸びてきて」とゴール前の攻防を振り返る。

その単独で先行する柬理を捕らえられそうな位置まで追い込めた西澤だが「仕掛けるのが一歩遅かった」と言うように、あとわずかで差し切れる距離まできたが、柬理を捕らえられなかった。そしてヒルクライムでは珍しいゴールスプリントとなって逃げ切った柬理が優勝に輝き、リーグランキングの最大ポイント28を獲得。自身の獲得ポイントを118までに増やした。

次戦の大磯クリテリウム3連戦に向けては「まずは勝ちたいです!そのためにもレースに向けて、しっかりと準備をしてバトルマリンジャージ獲得するために頑張ります!」と意気込みを語った。

一方、苦手なヒルクライムを2位という好成績で終えた西澤は、バトルマリンジャージは守れたもののレースで勝てなかった悔しさから「(今回の)反省点です。次は(優勝のため)頑張ります!」と何度も自分に言い聞かせるようにコメントするのが印象的で、次戦では「仕掛けるタイミングを見計らって、迷わずスプリントに絡むようにします!」と、この日は目の前で逃してしまった優勝を奪回することを誓った。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

中学生クラス表彰式で笑顔が並ぶ!左から Vite Jambe西澤、FITTE柬理、Shonan.Vertex松原(Photo:QNリーグ事務局)

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

レースMCからのリクエストで元気にポーズに応じる中学生クラス入賞選手たち(Photo:QNリーグ事務局)

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続いておこなわれたアールエル Nリーグ中学生男子N授与式では、西澤がバトルマリンジャージ防衛成功に安堵しつつも、次戦への意気込みをコメントしてくれた。(Photo:QNリーグ事務局)

 

そして今シーズンのNリーグ対象レースにおいて大活躍、ヒルクライムだけでなくクリテリウムも好成績を上げている高橋祐樹(LINKVISION GIRASOLE CYCLING)にもコメントをもらった。

今回は不運にもゴールを目前にパンクに見舞われるアクシデントに襲われ「ダンシングしていたらパンクしてしまって」と言いつつも、ゴールまでランニングで上り 6位に滑り込み、最新リーグランキングでは 4位に浮上することができた。次戦については「最近スプリントで絡めてないので、タイミングを見極めて優勝したいと思います!」とリベンジを誓った。

 

Nリーグ・NW岡田が女子チャンピオンクラスで初優勝

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

晴れやかな笑顔でゴールするブラウ・ブリッツェン岡田(Photo: k.kazuma)

 

QリーグとNリーグ中学生女子NWが対象となる女子チャンピオンでは、現在バトルマリンジャージ保持者である岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェン U15)が優勝。

「レース前に予想していたタイムよりも早くゴール出来た!」と笑顔でゴールを果たした岡田。ゴール後に想定していたタイムについて聞くと「1時間20分を切れていればいいかな?と思っていました」とのことで、ゴールタイム1時間08分 18の女子チャンピオンクラス優勝は、非常に嬉しい結果となった。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

ゴールで心配しながら見守っていた家族に出迎えられた岡田は、恵心の走りで安堵の表情を見せた(Photo:QNリーグ事務局)

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

ゴール後、すぐにアスリチューン.・スピードキュアを補給する岡田(Photo:QNリーグ事務局)

 

 ゴール地点は朝から霧深く、スタート地点では雨となって肌寒い状況だったことを考えていたようで「スタートで時間があるので防寒着とかを準備して、とにかく体を冷やさないようにしました」と、しっかりと準備を整えていた模様。

そんななか、男子チャンピオンなど速いペースのクラスと混ざってスタートとなったことについては「落ち着いて、自分のペースで走るようにしました」と終始マイペースで走れたようだった。

前戦の「しもふさクリテリウム 9月」ではスタミナ不足を克服したい、と語っていたが「今回は上りの乗り方を少し変えて練習をして、その通りに走れたので良かったです」と手応えを感じたようだ。次戦では「今回がけっこう良かったので、次のレースに繋げたいです」と意欲を見せた。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム
QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

女子チャンピオンクラス初優勝、そしてエクスルブ Nリーグ中学生女子NW賞を防衛した岡田(Photo:QNリーグ事務局)

 

各リーグポイントリーダー

今大会の年間総合ポイントリーダー授与式では、Bioracerより「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。

また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxL Nリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUB Nリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」、さらに今大会では年間総合ポイントリーダー協賛の株式会社ジゴスペックより特別中間賞としてAirfly特製ロゴタオルがそれぞれ賞品として提供された。

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

特別中間賞のAirfly特製ロゴタオルを授与されたNリーグ現ポイントリーダーの岡田と西澤の走りは今後も要注目だ(Photo:QNリーグ事務局)

 

Qリーグポイントリーダー:アメジストジャージ
Nリーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ
提供:Bioracer

QNリーグ2024-2025第7戦:箱根ヒルクライム

アスリチューン賞 Qリーグ(高校生以上女子) 
ポイントリーダー:佐藤 直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)・40p
ランキング2位:岡本 彩那(ブラウ・ブリッツエン)・28p
ランキング3位:小田 恵利花(ラバネロ)・27p

RxL賞 Nリーグ・N(中学生男子)
ポイントリーダー:⻄澤 崇介(Vite Jambe)・121p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・119p
ランキング3位:柬理 日楠詩(Team FITTE)・90p

EXLUB賞 Nリーグ・NW(中学生女子)
ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・55p
ランキング2位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・28p

年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)

※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。

※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。

※最終戦については、ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を付与する(最終戦ボーナス)。

 

<レポート概要>
写真撮影:k.kazuma、Kensuke Yada、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:株式会社ウォークライド

箱根ヒルクライム2024 公式サイト
https://walkride-cycling.info/hakone-hc-top/

2024-2025Qリーグ・Nリーグ対象となる全11戦のレーススケジュールはこちら
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html

次戦からは大磯クリテリウムの3連戦!先ず第8戦は11月17日(日)「大磯クリテリウム 2024-2025シーズン第2戦」
https://walkride-cycling.info/oiso-c2024-25/

Qリーグ・Nリーグの登録はこちら。各対象レース開催日の3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映します。
https://moshicom.com/102128/