垣田真穂インタビュー「このジャージで走るのはさいたまクリテが最後、でもまたヨーロッパで走りたい!」
さいたまスーパーアリーナのチームピットで、垣田真穂の着るEF・オートリー・キャノンデールのピンク色のジャージが目についた。EFエデュケーション・イージーポストに所属する留目夕陽もそうだが、いかにもプロらしい堂々とした色使いのこのジャージはとても目立つ。
挨拶しに行くと「このジャージで走るのは最後なので」と言うではないか。しばし考えてからもう一度尋ねると、「勘違いしている人もいるみたいですが、このチームにいるのは今年いっぱいなんです」と垣田。確実な情報を持っていなかった自分を恥じながら、慌ててインタビューを申し入れた。
垣田がEF・オートリー・キャノンデールにスタジエール(研修生)として入ることが発表されたのは今年9月のことだ(UCIの登録上では8月からとなっている)。発表のときすでに垣田はヨーロッパ入りしており、GPイズベルグとGPワロニーをいずれも完走して、さらに世界選を走ってから帰国した。
「高校生のときはロードがメインでしたが、ナショナルチームに入ってからはトラックに専念してきました。でも、自転車はロードから始めたので、ヨーロッパにチャレンジする機会をもらえてすごく嬉しかったんです」。
「チームに合流してからは、英語はぜんぜんしゃべれないし、チームでの戦い方もやったことがなく、初めてのことばかりでした。言葉は田中その子さんがミーティングなどは助けてくれましたが、レース中はそれもできません。何を言っているかわからなかった(笑)。重要な役割を与えてもらったわけでもないのですが、でも走ってみて、とても楽しかったんです」と垣田は2つのレースを思い出す。
「来年は(ロードとトラックの)どちらに行くか、まだ決まっていません」と話す垣田はトラックでかなりの成績を残しているので、日本ナショナルチームが手放すとも思えない。
現在、中長距離のヘッドコーチ、ダニエル・ギジガー氏がロードとトラックの両立を目指して動いてくれているという。垣田は19歳とまだ若い。来年もロード選手としてヨーロッパで走る可能性はあるはずだ。
英語版のウィキペディアで垣田は競輪選手としても紹介されており(※間違い)、ウェブで垣田真穂を検索すると最初の方に「垣田真穂 競輪」と出る点についても聞いてみた。
垣田は苦笑いしながら「競輪選手じゃないです。競輪は、まだかな、と思っています。まずは次のロス五輪でメダルというのが目標で、その後、もしかすると…かもしれない」と話す。
垣田は「ロードを始めたころはツール・ド・フランスは知っていても、今のような女子版(ツール・ド・フランス・ファム)はなかった。来年出られるかと言われれば厳しいですが、いつか出られたらいいなと思います」と言う。
全日本トラックではオムニアムにマディソン、スクラッチ、インディビジュアルパシュート、チームパシュートに勝つという、類いまれな才能を持つ垣田。ぜひともトラックで、そしてヨーロッパのロードでも花開いてほしい。
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<参考サイト>EF PRO CYCLING