JCF初の授賞式「JAPAN CYCLING AWARDS 2024」開催
目次
JCF初のイベント
12月10日、東京都中央区のTODA HALL&CONFERENCE TOKYOにて、日本自転車競技連盟(JCF)によるジャパンサイクリングアワード2024が行われた。
このような式典は初開催となる。本来、東京オリンピックの年に行う予定であったが、コロナ禍などにより開催できず、今年、パリパラリンピック女子C3ロードレースでの杉浦佳子の金メダル獲得や、世界選手権トラック競技での3つの金メダル獲得を機に開催へと至ったそうだ。
JCFが管轄しているのは、ロードレース、トラック、MTB、BMX、シクロクロス、トライアル、インドア、パラサイクリングの8つの自転車競技。今回は、それぞれの競技で優秀な成績を収めた選手たちが表彰された。
受賞者は以下のとおり。このアワードは来年以降も続けていくそうだ。それぞれの競技での選手たちの活躍に期待したい。
MVP/優秀選手賞
杉浦佳子(パラサイクリング ロード・パリパラリンピック女子C3ロード金メダル)
杉浦コメント
まずこのような豪華な舞台を用意してくださった主催者の方々にお礼を申し上げたいと思います。
と申しますのも、これまで皆さんのご支援、ご指導をかけてくれた数々のメダル、タンスの肥やしになっておりました。それがこのような場を設けていただいたことで、日本の皆さんに私達のようにメダルを取ったこと、努力してきたことを伝えていけるのかなと思います。
そして、これまで私以上に素晴らしい成績を残してきた諸先輩方の功績、そういった方々が作り上げてくださった道のりを通って今日、名誉ある賞をいただいたことを恐縮しております。
こういった賞があること、そして日本の自転車界がとても成長していることを日本の皆さんに知っていただいて、私も僕も自転車に挑戦したい、そして自分も世界のトップに立ちたいんだ、とそうやって思ってくださる方が1人でも増えていただくことを祈ります。
––今回、このように注目される機会が得られることについて
本当にありがたいことだなと思います。これで他の障害を持った方々が、パラでもメダルを取ると、こういうふうに皆さんに見てもらえるんだというのが、それがみんなの頑張る原動力になればいいかなって思っています。
––来年について
とりあえず来年の世界選手権に向けて今調整をして、頑張り始めるところです。
正直世界の若手が育ってきているので、自分がこの年になってもまだまだ成長していかないととてもじゃないと勝てないので、本当に昨日の自分よりも今日の自分の方が強くありたい、敵は自分だと思って精進していこうと思います。
来年の世界選手権で自己ベストを出すということが今の目標ではあります。
優秀選手賞
窪木一茂(トラック・世界選手権 男子オムニアム金メダル)
山崎賢人(トラック・世界選手権 男子ケイリン金メダル)
佐藤水菜(トラック・世界選手権 女子ケイリン金メダル、女子スプリント銅メダル)
優秀選手賞受賞者コメント
窪木一茂
正直、レースのときよりも今の方がすごく緊張しています。いろいろ伝えたいことはあるのですが、今、自分はトラック競技で最年長でいます。日頃からお世話になっているスポンサーの方にも今回たくさんお集まりいただいていますし、競輪関係の方、競技連盟の方、記者さん、たくさんいらっしゃって、選手を代表して僕が来たと思ってます。1年間、自転車であったり、ホイール、ヘルメット、ウェアなどたくさんのサポートをしていただいているおかげで僕たちの結果があります。
僕たち選手は、ひたすら練習して、ただ試合で結果を残したいということでしかないのですが、本当に周りの多くの方に支えていただいているおかげで、挑戦できる場があると思ってますし、皆様がいなければ、本当にこの活躍はできなかったと思います。
高校から自転車競技を始めて、ロードレースから始めて、アルカンシェルという頂は、本当に奇跡に近いものだと思っていました。まさか、競技を始めて20年経って今年、虹色のジャージを自分がつかみ取ることができるとは本当に思っていませんでした。
なので本当にまだまだ実感ありませんが、このような会を開いていただいて、実感が湧いてくると思いますし、これからの選手に窪木先輩がアルカンシェルを取ったんだから、僕にもできるというふうに本当に思ってもらえたら、これからも日本の自転車競技界のレベルが上がると思いますし、もっと世界に近づく選手が現れてくると思ってます。そのようなことを願いつつもまた来年から次のオリンピックに向けて、精進していきたいと思っています。
––今年1年を振り返って
やっぱり去年よりはすごく早い1年でした。もう12月か、という気持ちですし、特にトラックでいうと他の強い国の選手とかコーチとか周りの人に自分の存在を知ってもらえたことで、来年からの日本の位置付けだったり、僕自身もですけど、やっぱり強い自転車競技国ということをアピールしていけるきっかけになったのかなと思います。
––今後について
また次のオリンピックを目指すつもりで心と体を作り直していきたいなというところです。
––オリンピックは何で目指す?
まだ分からないですけど、やはりパリオリンピック同様に、全種目で出ることが僕の望みでありますし、また牽引できるように引っ張っていきたい気持ちはあります。
––ブリヂストンからの移籍も発表されたが、新天地でどのようなことをする予定?
オリンピックが一段落して4年あるなかで、来年は夏ぐらいにあることの挑戦をしたいと思ってます。それが来年の一つの楽しみですね。
––ロードレースも走る予定?
はい、ロードレースも来年も継続して走ろうと思います。
––このような授賞式は選手たちの励みになっている?
すごく励みになりますし、他の国だとこういう授賞式って結構あったりして、それっぽくなってきたというか、人から認知されることの一つの良い場所の提供というか、いい機会だと本当に思います。
山崎賢人
私が自転車競技を始めて、ナショナルチームで活動をさせていただいて5年ほど経つんですけど、この5年、毎日本当にメダルのことを考えて、メダルを目指したんですけど、なかなか届かない日が多くて結果も出ませんでした。その中で関係者の皆さんや、本当にチームのスタッフの皆さんに支えられてここまで来ることができました。
先日の世界選手権のケイリン種目で金メダルを獲得して、本当にスタッフの皆さんたちが喜んでくれているのを自分の目で見て、本当にうれしくて、その気持ちをこれからまた世界を目指すうえで持ち続けて頑張っていきたいと思います。
––アルカンシェルを取ってから少し時間も経過したが実感は湧いてきましたか?
すごくいろんな方からおめでとうっていうふうに言われましたし、ジャージを着た自分が何か強くなった気になるのですごくうれしいですね。今は実感が湧いてます。
––次回アルカンシェルで走る機会は?
ちょっとまだ分からないんですけど、おそらくアジア選手権かネーションズカップかは走ると思うので、そのときだと思います。
––今後について
次のオリンピックについてはちょっとまだ分からないんですけど、来年の世界選手権にまた出させてもらえるように来年1年がんばります。
佐藤水菜
今回このような場を設けていただき、すごくうれしく思います。この賞を受賞できたことはすごく自分の中でもうれしくて、そして自分が成し遂げた金メダルとスプリント銅メダルというものは史上初になるので、この自分が作り上げた記録を来年もっと上回れるようにこれからも精進していきたいと思います。
––今後について考えていることは?
今、私は(トラックの)短距離種目をやっているんですけど、中距離種目の方にエントリーしたいということで本当に2年間コーチにゴリ押しして、今年全日本(トラック)でエントリーさせてもらって。今週末にはロードのクリテリウムレースが控えているので、本当にいろんな種目だったりとか、いろんなことを経験できるような機会を今後増やせていけたらなというふうに思ってます。
––短距離種目に関しては?
短距離種目に関しては、新しい女の子も来たので、新体制としてチームスプリントが今後始まっていきます。(女子チームスプリントは)500mから1㎞に変更があるので、そこで1㎞が始まって、コーチからやれとすごく期待をかけられているので、その期待に応えられるようにしっかり頑張りたいと思います。
––来年の抱負について
来年、仕事の方の競輪になるんですけど、(ガールズ競輪に)GⅠが新設されて今年で3年目になるんですけど、まだ出られていないパールカップだったりとかがあるので、今年はそのG1とかをメインにスケジュールを組んでいきます。競技の方は、もちろん出る大会種目ではしっかりと優勝を狙って、でも今年はメインはガールズケイリンの方に力を入れて戦っていきたいかなというふうには考えてます。
(競輪だと)タイトルがやっぱり欲しいので、自分が出られてないタイトル、持っていないタイトルを全部掻っ攫っていくっていうのが今年の最大の目標になります。
種目別優秀選手賞
中野慎詞(トラック・パリオリンピック入賞)
太田海也(トラック・パリオリンピック入賞)
小原佑太(トラック・パリオリンピック入賞)
長迫吉拓(トラック・パリオリンピック入賞)
中村輪夢(BMXフリースタイル・パリオリンピック入賞)
川口うらら(MTB・パリオリンピック出場)
與那嶺恵理(ロードレース・パリオリンピック出場)
織田 聖(シクロクロス)
浅田明希(トライアル・ワールドユースゲーム優勝)
川本翔大(パラサイクリング・パラリンピック入賞)
村上裕亮(室内サッカー・世界選手権6位)
高橋祐馬(室内サッカー・世界選手権6位)
近藤菜月(室内フィギュア・世界選手権17位)
受賞者コメント
中野慎詞
この度はこのような素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。2024年パリオリンピック、僕自身は初めてのオリンピック出場で、出場に向けての選考争いだったり、すごく苦しみながら勝ち取ってオリンピックに向かいました。
オリンピックはすごく緊張するのかなと思ったんですけど、本当に今までの準備の過程で、ベストを尽くして行ってきましたし、あまり緊張することなくしっかりレースに集中して臨むことができました。
残念ながら4位という結果でメダルを持ち帰ることはできなかったんですけど、競輪や各スポンサー、そしてスタッフの皆様の手厚いサポートのおかげで僕は本当にオリンピックで素晴らしいパフォーマンスを発揮できた思います。今後も自分の成長を続け、自転車界を引っ張っていけるような存在になれるように精進していきたいと思います。
長迫吉拓
今回この記念すべき第1回目のジャパンサイクリングアワードを受賞することができて本当に光栄に思っております。
もともとBMXレースをしていて、2016年の終わりにこのトラック競技に加入させていたいて、その当時は先輩しかいないチームでした。でも今は年齢的にも経験的にも(自身が)先輩という立場になってきました。自転車のうえでは成績であったり、競技に対する姿勢はもちろんなんですが、自転車を降りたときには1人の人間として、常識のある言動・行動ができるようにならないといけないなと、この賞を通して改めて感じているところです。
今回の世界選手権でこのトラックチームから3人の世界チャンピオンが生まれました。僕は(男子チームスプリントにて)銅メダルを獲得することができたんですが、パリオリンピックではメダルを取ることができませんでした。この世界選手権で結果を出せたことも、皆さんの日頃のサポートがあったからだとこういう賞をとって改めて実感しています。
次のロサンゼルスに向けて僕たちは活動していて、その過程で悔しいところも楽しいところもうれしいところも皆さんと共有していきたいと思っていますので、今後とも応援よろしくお願いします。
與那嶺恵理
まずはじめに本日、ロードアワードを獲得できたことを心からうれしく思います。リオ、東京パリと3大会、オリンピックに出場させていただいて、3大会でベストを尽くしてきました。
現在は、スイスのUCIでコーチングを学んでいます。ヨーロッパで戦い切る厳しさを、日本女子ロード競技に少しでも伝えられたことを誇りに思っています。また、JCFの三瓶ディレクターの温かいサポートには本当に感謝しています。
私は選手として正しい権利を行使することに対して、ときには選考をめぐってスポーツ仲裁でJCFさんと向き合うこともありました。しかし今後は、JCFの皆さんと共に日本の自転車競技の発展のため、次の世代の強化のために私も一緒に力を尽くしていきたいと思っています。
川口うらら
この度は素晴らしい賞をいただきありがとうございます。私は今年、初めてのオリンピックに出場して、オリンピック出場だけじゃなく、それまでの過程も特別な思いを持ちながら、今までとは違うプレッシャーを感じて、本当に今までの競技人生の中でも特別な経験ができたなと感じています。
でも、その中で結果を残すことができなくて、自転車競技の中でもMTB種目はやっぱりまだまだ海外のトップクラスの選手たちにレベルが追いついていないので、これから4年間は取り組み方を変えて、世界のトップで戦えるような選手になりたいと思っています。
織田 聖
このような賞をいただき本当にありがとうございます。私自身、自転車シクロクロスを始めたのは2012年からなんですが、その前にBMXと、ずっと自転車業界でやってきました。
このようにジャパンサイクリングアワードと他の競技の選手と顔を合わせて、元々先輩だった長迫選手やそういった先輩方と顔を合わせるのはとてもうれしいなと思います。
シクロクロスの競技上、冬場がシーズンで、全日本選手が今週末、また、世界選手権が2月とシーズンの最中なんですが、しっかりとそこで成績を残して、来年もしまた表彰されればうれしいなと思っております。
浅田明希
私は父の影響で自転車トライアルを始めました。就学前はJシリーズ参戦、2023年からUCIに参戦し、2024年はカテゴリーユースガール(9~11歳)で優勝することができました。
次の目標はガール(12歳~15歳のカテゴリー)で優勝することです。いろいろな人たちに支えられて感謝しています。これからも頑張っていきます。
川本翔大
本日はこのような賞をいただきありがとうございます。自分は、リオ、東京、パリとパラリンピック3大会目の出場になったんですが、東京では一時は世界新記録を出して、その後に4人に抜かれてしまったということがあって、今回のパリこそは金メダルを取るという勢いで参加させてもらったんですけど、惜しくも4位とメダルを取ることができずに悔しい思いをしました。
自分はこの後、ロスに向けてしっかりトレーニングをして、頑張っていきたいと思います。本当にリオ、東京、パリとここまで来られたのもチームスタッフの皆さんだと思っております。本日はありがとうございました。
ネクストジェネレーション賞
浅田明希(トライアル・ワールドユースゲーム優勝)
高崎成琉(BMXレーシング ジュニア・ワールドチャレンジ優勝)
高橋奏多(トラック ジュニア・世界選手権ジュニア2位)
澤田 茉奈(BMX)
小澤 美晴(BMX)
宮嶋歩菜(BMX)
JAPAN CYCLING AWARDS 2024
開催日:2024年12月10日(火)
開催地:TODA HALL&CONFERENCE TOKYO(東京都中央区)
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