「さいたま佐渡サンブレイブ」から「チームユーラシア-iRCタイヤ」へ新体制/橋川監督インタビュー

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国内を主戦場にしつつ、ヨーロッパへのレース参戦やアカデミー活動も継続

1月10日(金)、埼玉県川口市にある東商会のショールームにて、チームプレゼンテーションが行われた。「さいたま佐渡サンブレイブ」は「チームユーラシア-iRCタイヤ」へとチーム名を変更し、所属選手や今後の活動について発表があった。

チームユーラシア・iRCタイヤ」へ新体制

 

新体制での再スタート

2024年シーズン、Jプロツアーなどを中心に活動をしてきた「さいたま佐渡サンブレイブ」だが、今年から「チームユーラシア-iRCタイヤ」とチームの名称を変えることが発表された。

監督には、“海外でプロ契約できる選手の育成と発掘”を目標に2010年に立ち上げられたチームユーラシアを率いてきた橋川健を迎える。

UCIコンチネンタルチーム登録はせず、今年の活動の中心は国内JBCFのJプロツアーとなるが、一部の選手はベルギー遠征など、本場ヨーロッパのレースにも参戦を予定する。また、昨シーズンはチームユーラシアとしては活動を休止していたが、2025年シーズンは、U23欧州遠征やU17、U19サイクリングアカデミーも実施していくそうだ。

国内で結果を出したい選手、海外で爪痕を残したい選手など、目標は個々に異なるが、全日本選手権での結果は共通の目標となる。

所属選手は以下の10名。

チームユーラシア・iRCタイヤ」へ新体制

東商会のショールームにて所属選手が発表された

 

継続選手
・吉岡直哉(よしおかなおや) 1991/12/23(33歳)
・持留叶汰郎(もちどめきょうたろう) 1996/12/9(28歳)
・藤田涼平(ふじたりょうへい) 1997/3/13(27歳)
・鈴木道也(すずきみちや) 1999/5/15(25歳)
・重田倫一郎(しげたりんいちろう) 2002/3/2(22歳)

新規加入選手
・阿曽光佑(あそこうすけ) 1992/4/14(32歳)
・遠藤尭寿(えんどうあきひさ) 2004/6/17(20歳)
・渡辺悠太(わたなべゆうた) 2004/11/2(20歳)
・風間大和(かざまやまと) 2006/1/11(18歳)
・福田真平(ふくだしんぺい) 1987/11/22(37歳)

 

チームユーラシア・iRCタイヤ」へ新体制

継続の吉岡は11年ぶりにチームユーラシア-iRCタイヤの選手として走り、今年は全日本のタイトルを狙いたいと話した

 

チームとして、地域密着型の運営は変わらず行うという。埼玉県さいたま市を拠点とする「さいたまディレーブ」と新潟県佐渡市を拠点とする「佐渡ゴールデンアイビス」として、地域での自転車安全教室や、補助輪外し教室、ジュニアロードバイクスクールやサイクリングツアーなどの活動を通し、自転車による各地域の活性化と自転車の普及を目指す。

ジャージは、レース時は今回発表された赤と黒を基調にしたジャージを着用するが、地域活動の際は「さいたまディレーブ」、「佐渡ゴールデンアイビス」それぞれのジャージを着用して活動を行う。

 

フレームオーナー制度、募集開始

チームユーラシア・iRCタイヤ」へ新体制

自転車はヨネックス、タイヤはiRCタイヤを使用

 

「チームユーラシア-iRCタイヤ」では、2025年シーズンに選手が使用するロードバイクフレームのオーナーを募集する。選手の名前とオーナーとなった人の名前が入ったフレームを1年間、選手がレースや練習で使用し、2025シーズンを終了時にオーナーへとそのフレームが渡るというシステムだ。

受付期間は2025年1月10日から2月10日まで。
YONEXロードバイクフレームオーナー募集

 

橋川監督インタビュー ヨーロッパプロを目指す執着心

チームユーラシア・iRCタイヤ」へ新体制

監督を務める橋川健

 

Q. これまでヨーロッパを拠点とした活動をしてこられました。今回、国内を走るチームと統合という形になりましたが、どういったことを目指していきますか?

チームユーラシアは、元々ヨーロッパでプロ選手を輩出したいというところの目標があって立ち上がったチームで、それは今でも僕の中では変わらないです。今こうしてチームが一緒になったことで、今までやってきた選手の目標と、活動拠点があるわけで、そこはそれでいいと思っていたんですね。

ただ、彼らは今までも頑張っていたと思うんですけども、今まで以上により本気度引き上げてもらって、そういったところを若い選手に見せてもらうことで、若い選手を引っ張ってほしい。ヨーロッパでプロになりたいという若い選手も来ているので、彼らのステップアップのきっかけになってくれればいいなという期待があります。

例えば吉岡は、全日本が目標で、ヨーロッパは多分無理だと思うと言っているんだけれども、実際彼もヨーロッパに来て1年走ってたんですよ。彼もヨーロッパでプロになりたいという志があって、国内のチームの誘いを蹴って自費でヨーロッパに来ていた時代がありました。

でも彼は残念ながら落車があったり脚質が合わなかったり、結果に結びつくような成績がなかったんだけれども、でもそういう経験は若い選手にフィードバックできるじゃないですか。自身の失敗談も含めて。そういったところで、みんながそれぞれ個々の目標は違ったとしても、このチームから数年後、ヨーロッパで活動できるプロ選手になってくれる選手が出てきたら、という目標でやっていきます。

 

Q. ワールドチームに所属した中根英登選手や現在EFエデュケーション・イージーポストに所属している留目夕陽選手なども、かつては橋川さんの元で走った経験を持っていますが、その後に続く選手の展望というところでは橋川さん的にはどう見られていますか?

もちろん大門(宏)さんがきっかけを作っていることはものすごい大きなことだし、日本の選手たちの目標にもなるし、実際に留目だったり中根だったり、そういうステップを通してワールドツアーに走っているというのは、ものすごい貢献度があると思うんです。

ただ、選手の意識として、“ここで根指していかないといけないんだ”、“ここで俺は生活していくんだ”、“ここで骨を埋めるんだ”ぐらいの覚悟がないと、やっぱり無理だと思うんですね。

大門さんとそういう話をしていたんだけども、今の日本人選手でヨーロッパに来てる人はいっぱいいるけど、もうここで活動するから自分で車を買って、自分でアパートを契約して生活していこうとする選手がほぼほぼいないんですよ。

大門さん経由で来てる有能な選手はいますけれども、思いっきり勢いつけて引っ張ってもらって、あとは自分で走るだけだっていうところになったら、やっぱり僕、走れませんってなっちゃうわけですよ。そこの思い入れというか、執着心がないから、そういうふうに結びつかない。そこじゃないかなと僕は思っていて。

うちのチームでもお給料をもらって生活して家族を養っている選手もいますけれども、グローバルなところで言えば、まだまだプロスポーツ選手としてのポテンシャルは低いと思うんですね。日本の自転車業界が狭いからみんな生活できているけれども、サッカーの世界で、Jリーグで入るにはどれだけの競争を勝ち抜いて、どういう倍率でJ1でプレーができるのか。J3だって大変なのにそこからJ2、J1に上がらなくちゃいけない。(自転車競技だと)そういった競争を経験しないでヨーロッパに行っちゃうから執着心が育っていかないんじゃないかなと思っています。

自転車だと日本に来たら結構簡単にお給料をもらえる。今、日本で走ってるスペイン人など、彼らはヨーロッパでお金がもらえないから日本で走ってるわけですし。

どのスポーツでもそうなんだけれども、そういうものすごい強い執着心がないと厳しいんじゃないかなと。そこも含めて選手たちには伝えていかなきゃいけないし、浅田(顕)さんもそこをすごく頑張って伝えようとしてるんだけれど……。

 

Q. 今の若い選手たちや今回加入した選手たちに期待するのはどんなことですか?

もう寄り道する余裕はないと思うんです。もちろん大学に行くと決めた以上は、最低限やらなきゃいけない大学の課題があると思うんですけど、それをやったうえで本当に全ての生活、モチベーション、時間を自転車に注いでいかないと、もし彼らがヨーロッパでプロを目指すのであれば、どんどん遠のいていきますからね。

 

Q. ヨーロッパでのプロ選手のトップは年齢もどんどん若くなっている印象がありますが、そのあたりはどう考えていますか?

そこについて皆さんにも見ていただきたいのが、U17でワールドツアーのサテライトに入って、ジュニアになったらワールドチームのジュニア育成チームに入って、ジュニア2年目ぐらいにはもうコンチネンタル登録の育成チーム、その先2年間をワールドチームで契約するみたいな流れがあるじゃないですか。本当にもう世界のトップ中のトップの強い選手のそういう目立った契約のニュースが出てるから、そのイメージがすごくありますが、それは一部です。

浅田さんや大門さんは、どっちかというと若いうちにやらないと駄目だと考えている。僕は考え方が違って、ヨーロッパでもベルギー人でも、U23でヨーロッパツアーでUCIポイントを取っていてもエリート2年目までコンチネンタルチーム契約も取れていなくて、エリート3年目でコンチネンタルチームと初めて契約して、エリートを4年目、5年目で初めてワールドツアーで契約してる選手もいるんです。どっちかといったらそっちの選手が多いんですよ。だってワールドツアーだけで600人いるんです。600人いるうちの全てがジュニアからやってるわけじゃない。

本当にいろんなプロの形があって、ベルギーのドクターとの主観的な話ではありますが、特に日本人選手なんかは発育が遅い。ヨーロッパの選手は成熟が早いから、日本人選手は2年ぐらい長く見てもいいんじゃないかと。
さらに、ジュニアからアカデミーで1カ月〜2カ月経験したとしても、もうスタート時点でハンデがあるわけですよね。

例えば、U23で初めてヨーロッパに行きましたという選手がいたとしたら、ベルギーの選手はもうU17で2年やって、U19で2年やって、4年間でもう150〜200レースくらい走ってるわけですから、そこでのハンデもあるわけですよね。発育が遅いっていうだけじゃなくて、経験値の差もあるわけだから、本当にプラス2年〜3年は見ていいと思うんですよ。

じゃあ日本人はどのペースで結果を残さなきゃいけないのかというのは、考えて見ていかないといけないと思うけれども。そこでU23というところにこだわらなくてもいいんじゃないかなというのが僕の考えです。

 

Q. U23を終えたらもうチャンスはないと考えている選手もいますが、もうちょっと猶予があるんじゃないかと?

でも猶予があるから大丈夫だってやっていると、また差が開いてしまうから、そこに甘んじることなく根っこを作っていけれいば、可能性があるんじゃないかと思います。

 

チームユーラシア-iRCタイヤ公式サイト
https://sunbrave.jp

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▶︎さいたま佐渡サンブレイブが2025シーズンよりチームユーラシア-iRCタイヤに