初開催! 東京都心部で行われたレースイベント「サイクルチャレンジ神宮外苑」
目次
東京都の神宮外苑を舞台に初めて開催された「サイクルチャレンジ神宮外苑」。ここでは、一般参加型のレースやJBCFサイクルロードシリーズ2025開幕戦となるJBCF東京クリテリウムも行われた。
東京での自転車イベント
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神宮外苑球場を背に走る選手たち
2月16日(日)、東京都新宿区の明治神宮外苑にて全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)主催の「サイクルチャレンジ神宮外苑」というイベントが開催された。本イベントでは、JBCFの今シーズン初戦となる第1回東京クリテリウムも行われ、メインのレースコースとなった1周1㎞の絵画館周辺特設コースでは、一般からプロ、様々なカテゴリーでのレースが分刻みで詰め込まれた。
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メインステージではBMXフラットランド2023世界王者の荘司ゆうがライディングを見せた
メインステージでは弱虫ペダル作者の渡辺航先生のトークショーや、BMXプロライダーであり、BMXフラットランドでの2023年世界チャンピオンの荘司ゆうによるデモンストレーションなどが行われ、さらに、いちょう並木エリアでは、自転車教室や一般参加で150mの記録を競う0-150GAMESも行われ、会場全体で丸一日自転車を楽しめるイベントとなっていた。
白熱した戦いとなったJプロツアー特別戦
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インフルエンサーや元選手などもパレードランに並んだ
当日は晴天に恵まれ、気温も15℃程度と春を思わせる陽気となった。
今回はトップカテゴリーであるJプロツアーのみ、初戦ではなく特別戦という形ではあったものの、全21チーム、109人という大所帯でのスタートとなった。
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だるま自転車でのパレードも
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渡辺航先生もパレードラン
レース前には、出走メンバーだけでなくインフルエンサーや元選手などもパレードランとして2周を走り、改めて出走メンバーが、先頭にはトラック世界選手権でアルカンシェルを獲得した窪木一茂(愛三工業レーシングチーム)がスタートラインへと並び、13時15分にJプロツアーがスタート。
レースは、序盤から抜け出そうと様々なメンバーが飛び出そうとするが集団は一つのまま逃げは決まらない。
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単独で抜け出した兒島
ラスト5周で一人抜け出したのは、チームブリヂストンサイクリングの兒島直樹。もともとチームの作戦として、逃げに乗って逃げ切るというプランもあったそうだが、抜け出せたのは終盤となった。600Wものパワーで抜け出したと兒島は話していたが、集団も縦一列になりながらシマノレーシングや愛三工業レーシングチームらが懸命に追う。
兒島は2周で集団へと吸収された。しかし、その間にチームブリヂストンサイクリングは集団先頭にメンバー全員を集めて態勢を整えた。
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兒島の後ろにつける窪木
ラスト1周に入る頃、元チームメイトでもある窪木が集団の先頭を走る兒島の後ろまでポジションを上げてくる。
先頭の兒島が踏みやめた瞬間、集団で牽制が入り、横に広がる。窪木と岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が見合った隙に今度は松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が単独で抜け出した。松田はラスト1周に入ってからのコーナーでの抜け出しを考えていたという。スプリント勝負になったとしてもブリヂストンにはその役を担っていた岡本勝哉が集団に残った。
勢いをつけた松田が集団との差を保ったまま最後のコーナーを単独で抜ける。「もう余裕なくて。もしかしたら差されるんじゃないかなと思いました」と振り返る松田は、後ろを全く見ることもなく突き進む。岡がその背中を追うが、集団を僅かに離した状態で松田が両手を掲げ、今シーズンの初勝利を呼び込んだ。
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逃げ切る松田
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集団の頭も岡本が取り、ブリヂストンのワンツーフィニッシュに
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出走人数は限られたが、11人の選手全員がチームプレゼンテーションにそろったチームブリヂストンサイクリング
入れ替えにより今年は若手が揃ったチームブリヂストンサイクリングだが、脚は揃っている印象だ。チーム最年長となる松田は、まとめ役というわけではないがこれまで培ってきた対応力を若手に伝えていきたいと話す。
「僕らは状況に応じて変えるということができるので、レース中にまとめるということはするかもしれないですけど、今の走り方だとまとめ役というのはいらないかなと。
監督がしっかり道筋を立ててくれているので、それに向かって走るだけですね。それだけじゃもちろん駄目なんすけどね。僕は海外でレースも走っていて、そうやって臨機応変に対応するのがロードレースだと思うので、そこら辺も新しく入ってきた子たちに教えらればなと思います」
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アルカンシェルをまとって今回のレースを走った窪木
長年ブリヂストンに所属し、今年愛三工業レーシングチームへと移籍した窪木は、「松田みたいな動きをしたかったんですけどね」とレース後に話した。
「ブリヂストンは本当に1人1人の選手が強いので、全然僕たちのチームワークだけじゃまだ敵わなかったです。今回はうちの岡本(隼)くんとか草場(啓吾)くんが出ていないので、次回また、みんなで協力して勝利を目指したいなと思います」
チームとしては、UCIレースでの勝利を目指しつつ、Jプロツアーのレースも積極的に走りたいと話した。
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岡本、松田、窪木のトップ3
また、都心部での開催ということで観客も非常に多く盛り上がりを見せた今回のイベント。松田も走っていて、「特にホームストレートとかで自分の名前を呼ぶ声が聞こえてくるのが分かりました。すごくエキサイティングでした」と話す。
窪木もまた、「どんどん東京でのクリテリウムを増やしてほしいなと思います。レース前に自転車を始めたいと話す人もいましたし、普段来られないような方も、東京だと来やすいので、この開催はすごくよかったなと思います。(今後も)東京での開催のために選手たちで声かけできることがあれば」と語った。
Jプロツアー(1周1㎞×40周)特別戦リザルト
1位 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)51分27秒
2位 岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
3位 窪木一茂(愛三工業レーシングチーム)+0秒
E、Fはシーズン初戦の戦い
エリートカテゴリーやフェミニンカテゴリーでは、シリーズ戦の初戦となった今回。E3は二組に分かれるなど、非常に多くの選手たちがこのコースを走った。
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先頭で動くシーンが多かった高岡
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中川と大前のスプリント勝負
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わずかに中川が先着
E1カテゴリーでは、高岡亮寛(Roppongi Express)を中心として数名が積極的に先頭で攻撃を仕掛ける中、最後は集団スプリント勝負に。中川由人(SBC Vertex Racing Team)と 大前翔(Roppongi Express)がラインギリギリまで横並びとなり、ハンドル投げの勝負に勝ったのは中川だった。
E1(1周1㎞×22周) リザルト
1位 中川由人(SBC Vertex Racing Team)29分9秒
2位 大前 翔(Roppongi Express)+0秒
3位 石倉龍二(VELONUTS RACING TEAM)+0秒
フェミニン(1周1㎞×16周) リザルト
水谷彩奈(チーム楽天Kドリームス/日本体育大学)24分38秒 ※オープン参加のため順位付かず
岡本美咲(チーム楽天Kドリームス/早稲田大学)+0秒 ※オープン参加のため順位付かず
1位 仲村陽子(フィッツ)+2秒
2位 南 芙美子(TeamZenko)+2秒
3位 阿部花梨(イナーメ信濃山形-F)+2秒
サイクルチャレンジ神宮外苑
JBCFサイクルロードシリーズ 第1回 東京クリテリウム
日程:2025年2月16日(日)9時〜17時
会場:東京・神宮外苑(絵画館周辺特設コース1.0km 右回り)
https://jbcfroad.jp/ccj/