富士クリテリウムチャンピオンシップ2025 ブリヂストン松田がスプリントで勝利

目次

4回目となる富士山サイクルロードレース2025「富士クリテリウムチャンピオンシップ」が3月1日に予選、2日に決勝という形で開催された。レースの模様をレポート。

 

快晴で温暖な2日間

3月1日~2日、Jatco presents 富士山サイクルロードレース2025「富士クリテリウムチャンピオンシップ」が行われた。

初日は昨年同様、1周1.5㎞の富士川滑空場特設周回コースを使って3組に分けて予選が組まれた。それぞれ30周で競われ、各組上位25人の選手が翌日への決勝へ、26位以下の選手たちは翌日の交流戦へと振り分けられた。

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

国内UCIチーム、クラブチーム、学連チームがそれぞれ3組に振り分けられて予選が行われた

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

初日は、快晴で富士山に雲が全くかからない一日だった

 

2日目は、富士市道臨港富士線、通称青葉通りの富士市役所特設周回コース(1周1.8㎞)を使って、朝から様々なカテゴリーでのレースが行われた。この日も春のような暖かな陽気となり、多くの観客が会場を訪れ、選手たちに声援を送っていた。

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

男子エリートには、NHK「チャリダー」のメンバーとして佐野淳哉が走る姿も

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

12時45分からの交流戦は15周の27㎞で争われ、加藤快介(新潟食料産業大学)が勝利

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2日間の合計順位で競われた女子カテゴリーでは両日ともトップでフィニッシュした池田瑞紀(チーム楽天Kドリームス)が勝利

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池田が優勝、2位は、水谷彩奈(チーム楽天Kドリームス)、3位は鈴木奈央(JPCU静岡)

 

逃げの展開

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

レバンテフジ静岡とチームブリヂストンサイクリングを先頭にスタートが切られた

 

この日最後のレースである富士クリテリウムチャンピオンシップの決勝は14時25分から30周の54㎞で行われた。スタートラインには、地元チームであるレバンテフジ静岡と同じ静岡県に拠点を置くチームブリヂストンサイクリングが先頭に並んだ。

スタートからアタックの動きも多くあったが、集団に吸収される展開が続く。

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レース中盤にできた4人の逃げ

 

レース中盤の12周目に横塚浩平(VC FUKUOKA)、白川幸希(ヴィクトワール広島)の飛び出しがあり、床井亮太(レバンテフジ静岡)、林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)が合流し、4人の逃げが形成された。

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集団前方を位置取って牽引するシマノレーシング

 

集団はシマノレーシングを中心に牽引を行った。

シマノレーシングとしては、昨年このレースを勝ったスプリント力のある寺田吉騎が今年移籍。大きな戦力を失ったかと思われたが、前週のJBCFのJプロツアー、志布志クリテリウムでは中井唯晶がスプリント勝負での勝利を収め、さらに石原悠希と共にワンツーを飾って存在感を示した。今回も中井をエースとしてスプリントでの勝利を狙っていた。

中井はこう話す。

「去年も寺田選手がここで勝っていますし、先週の志布志のクリテリウムでもチームで本当に連携がうまく取れて、勝たせてもらえました。そのときは僕エースという形で、石原くんとワンツー。チームとしてすごくいい形だったので、今回もそれやろうということで、そのまま僕がエース、石原くんがその前(発射台)という形でやらせてもらいました。

逃げができて、チームの判断としては、とりあえずを追いかける動きを見せたら、前も位置取れるし、周りが多分協力してくれるであろうと思っていて。でもそこがうまく協調が取れなくて……」

集団は4人の逃げを終盤まで容認することとなった。

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バイク交換で集団に追いつくのに脚を使った兒島

 

チームブリヂストンサイクリングは、過去3度でも優勝候補と言われ続けていたが、この大会での勝利をまだつかめておらず。宮崎景涼監督は、「今度こそ」と語り、チーム全体でアタックの打ち合いの展開からの逃げ切りパターンとスプリント勝負パターンを用意していた。

しかし、まさにその打ち合いを所望した兒島直樹が序盤にメカトラブルでバイク交換。追いつくのに脚を使ってしまったことで、理想とする展開には持ち込むことはできなかった。

 

最後はトルク勝負

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

松田と宮崎が集団から抜け出そうとする

 

途中、逃げを追いかけて宮崎泰史(キナンレーシングチーム)と松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)が集団から飛び出す展開もあったが、集団はそれを許さずすぐさま吸収。

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

先頭4人に徐々に迫る集団

 

シマノレーシングが4人を吸収すべく集団先頭を牽引し続ける一方、逃げの4人は順調にローテーションを繰り返しながら残り距離を減らしていく。

ラスト2周に入る頃、河野翔輝を先頭にチームブリヂストンサイクリングが前に出ると、一気に逃げとの差は縮まった。スプリントに備え、後ろについていた松田が「本当に最後の河野選手の引きはやばかったですね。あのままぶっちぎれたと思いました」と言うほど速かったそうだ。

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ラスト2周で集団先頭に出たブリヂストン

 

富士市役所前の折り返し地点で先頭4人の逃げが吸収されると、そのままブリヂストンのメンバーが先頭を固めた。

最終周回に入り、先頭交代のタイミングで一度ペースダウンすると、キナンレーシングチームやヴィクトワール広島などが並びつつ主導権はシマノレーシングへと移った。最後の富士市役所前の折り返しをシマノレーシングの入部正太朗が先頭でクリアする。

「最後はミーティングどおり、コーナーを先頭で曲がってくださいという話をしていて、入部さん、ヴィクトワールの選手を挟んで、石原、僕で曲がって、完璧な形でした」と、中井は振り返る。

フィニッシュラインが見える直線に最初に現れたのは石原から発射された中井。だが飛び出してからの距離が少し長く、かつフィニッシュにかけての若干の上り勾配が中井の脚にきた。

その中井の右側から一気にスピードをつけて抜き去ったのは松田だった。

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

中井が先頭でもがく

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中井に松田が並ぶ

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松田が勝利を確信し両手を掲げた

 

「最後のスプリントはもうめちゃくちゃ自信ありました。トルク勝負は人よりちょっと得意なので」と松田は笑う。

左右を確認し、勝利を確信するとラインを切る前に両手を大きく掲げた。

「最終的にはプランにハマった」と松田は話したが、スプリントの隊列も予定どおりではなかったそうだ。

「臨機応変に。隊列も順番どおりじゃなかったですけど、いる人で経験値が多い河野選手と山本(哲央)選手と兒島選手に助けられて、だいぶ心にも余裕がありました。途中はどうしよう、やばいなと思ってたんすけども、最後はもう腹くくって」

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走り切ったブリヂストンのメンバー

 

結果的に4度目の正直で勝利には結びついたものの、やりたかった展開に対しての結果について宮崎監督はこう振り返った。

「まだまだすごく経験不足だし、課題はもちろんあります。抜け出すべきところで抜け出せなかった。当然、うちのチームが行ったら絶対マークされる。だけど、それでも本来やりたかった抜け出すことができなくて、結果(逃げと)あの差を開いちゃって、見る形になってしまったのと、シマノさんに助けてもらったのも課題です。

最後はトレインを組もうと思ったけど、うまく機能せず、最後、祥位のパワーで押し切った感じでした。結果的に勝たせてもらった感じで課題のあるレースだったなと思います」

 

2位、3位にはシマノレーシングの中井と石原が入り、前週に引き続き、チームでの連携の良さも見せた。スプリント力の面では中井が寺田の穴埋めを果たしている状態だ。

「寺田選手はやっぱりものすごくスプリントがあったので、戦力ダウンしてしまう可能性もあったんですけど、僕が今年スプリント練習を結構多くしていて。短いスプリントの練習をオフの間にして、ちょっと体も大きくしました。そこからうまくチームも連携取れて、レースではまってるなっていう感じなので良かったです」と、中井は話した。

これからトルコでの遠征と合宿を控えているシマノレーシング。国外ではどのような結果が残せるだろうか。

今回のレースは、愛三工業レーシングチームや宇都宮ブリッツェンなどの出場がなかったが、またクリテリウムの頂上決戦がここで見られることを期待したい。

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

10周目と20周目に設けられた周回賞は孫崎大樹(ヴィクトワール広島)と床井亮太(レバンテフジ静岡)が獲得。床井は敢闘賞も受賞した

 

 

富士クリテリウムチャンピオンシップ 決勝

富士クリテリウムチャンピオンシップ2025

1位 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)1時間16分17秒

2位 中井唯晶(シマノレーシング)+0秒

3位 石原悠希(シマノレーシング)+0秒

 

Jatco presents 富士山サイクルロードレース2025
第4回富士クリテリウムチャンピオンシップ

2025年3月1日(土)
静岡県航空協会富士川滑空場(静岡県静岡市清水区蒲原)
静岡市清水区蒲原 1.5km周回コース

2025年3月2日(日)
富士市道臨港富士線(通称:青葉通り/静岡県富士市永田町1-100地先周辺)
富士市永田町1-100地先周辺 1.8km周回コース

公式サイト