ミラノ~サンレモ2025 はファンデルプールが2度目の優勝
春の訪れを告げるレースとして親しまれ、『ラ・プリマヴェーラ(イタリア語で春)』の愛称を持つモニュメント・クラシックのミラノ~サンレモ(UCIワールドツアー)が、3月22日に北イタリアで開催された。
第116回大会はミラノ郊外のパヴィアからサンレモまでの289kmで競われ、オランダのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が、地元イタリアのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)と世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ/スロベニア)をゴールスプリントで打ち負かし、2023年に続いて2度目の優勝を果たした。
これでベルギーのアルペシン・ドゥクーニンクは、3年連続でミラノ~サンレモを制覇した。1チームがミラノ~サンレモを3年連続で勝ったのは、1970年にミケーレ・ダンチェッリ、1971年と1972年にエディ・メルクスが勝ったモルテニ以来の快挙だった。
冷たい雨のスタート
ミラノ~サンレモは2023年にスタート地がミラノから南へ30km下ったパヴィアに変わり、距離もわずかに短くなったが、それでも現存するレースで最長の289kmだった。UCIワールドチーム18チームと、UCIプロチーム7チームの173選手がパヴィアをスタートした時は気温7℃で曇りだったが、序盤は冷たい雨が降る厳しい闘いになった。
レースは今年もゴールまで残り27kmから始まったチプレッサの上り坂で動き出した。最後まで逃げ続けていたマルティン・マルチェッルージ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)をふもとで吸収した後、集団はティム・ウェレンス(UAEチーム・エミレーツ)が先頭を引き始め、選別が始まった。
ここでディフェンディングチャンピオンでゼッケン1を付けていたベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が集団から遅れてしまった。彼は3日前に開催されたベルギーのノークル・クルス(UCIプロシリーズ)でゴール目前の落車事故に巻き込まれ、万全な状態ではなかった。
ウェレンスに続いてエクアドルチャンピオンのジョナタン・ナルバエス(UAEチーム・エミレーツ)が集団の先頭を引いた後、チプレッサの頂上まで残り3kmでアルカンシエルを着たポガチャルがアタックし、ファンデルプールとガンナがすぐに付いていった。ロマン・グレゴワール(グルパマ・FDJ)もこのグループに加わろうとしたが、成功しなかった。
UAEチーム・エミレーツのマウロ・ジャネッティGMは、本来ならイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ)もチプレッサで集団を引く計画だったが、後方に取り残されてその仕事ができなかった、とゴール後のインタビューで語っていた。計画どおりであれば、そこでポガチャルは独走が実現したかもしれないが、実際にはファンデルプール、ガンナと協力してゴールを目指す事になった。
ゴールまで残り9kmで最後のポッジョの丘が始まった時、先頭の3人は50人ほどになった集団に44秒差を付けていた。上りが始まるとすぐにポガチャルが攻撃を開始し、ガンナは遅れたが、ファンデルプールは付いていった。ポガチャルは何度もアタックをかけたが、ファンデルプールを蹴落とす事はできなかった。
2人はポッジョの頂上でガンナに20秒差、集団に45秒差を付けていた。ポッジョを下り切った後、ガンナは必死で追い上げ、残り1kmのフラム・ルージュを通過した後、先頭の2人に追いつき、最後は3選手でのゴール勝負になった。そして残り300mで最初にスプリントを開始したファンデルプールは無敵だった。
■サンレモで2度目の勝利を手に入れたファンデルプールのコメント
「ボクは勝利を得ようと努力するためにとても集中していたが、この2人に対抗するのは簡単ではなかった。レースの序盤は雨と寒さで酷い気分だったが、海岸線に着いた後、最後はとても調子が良かった。チームとして我々がミラノ~サンレモで勝ったのは3年連続だ。
ポガチャルが上りで最強なのは分かっていた。チプレッサでの彼の走りは見事だった。先頭で3人になると、協力体制はとても良かった。それは表彰台確保を意味していた。(ポッジョで)ポガチャルはボクを蹴落とそうと努力したが、ボクはとても強いと感じていた。カウンターアタックをかけたが、彼は追い抜くのに十分な力があった。
(ゴールでは)2人がロングスプリントを仕掛けたいと望んでいると思った。彼らはボクがスプリントを可能な限り短くしたいと望んでいると思っただろう。彼らをちょっと驚かせようと思った。だから残り300mのサインを見てスプリントを始めた。最後までそれを維持するのが十分なくらい強いと感じていたんだ。それは正しい戦術だったと思う。
ミラノ~サンレモはただ勝つだけで特別だが、彼らのような素晴らしい選手たちを打ち負かしたからとても嬉しいし、彼らと一緒に表彰台に上がれて誇らしいよ」
第116回ミラノ~サンレモ 結果
[3月22日/UCIワールドツアー/イタリア/289km]
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) 6:22:53
2. GANNA Filippo (INEOS GRENADIERS / ITA)
3. POGACAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
4. MATTHEWS Michael (TEAM JAYCO ALULA / AUS) 0:43
5. GROVES Kaden (ALPECIN-DECEUNINCK / AUS) 0:43
6. NIELSEN Magnus Cort (UNO-X MOBILITY / DEN) 0:43
7. PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN) 0:43
8. KOOIJ Olav (TEAM VISMA – LEASE A BIKE / NED) 0:43
9. TRENTIN Matteo (TUDOR PRO CYCLING TEAM / ITA) 0:43
10. WRIGHT Fred (BAHRAIN VICTORIOUS / GBR) 0:43
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