新城が逃げきり区間2位 ツアー・オブ・タイランド2025 第1ステージ

タイとカンボジアの国境県のサケーオ県で開幕したツアー・オブ・タイランド2025(UCIアジアツアー2-1)。第1ステージはカンボジアの国境ぎりぎりを使用したコース。選手が滞在しているホテルからカンボジアまでは約5kmという近さの国境の街が舞台となった。

気温の上昇を考慮して、スタートは9時というヨーロッパの選手にとっては異例の朝の早さとの戦いでもある。平坦基調の121kmコースは途中2カ所の中間スプリントにボーナスタイムが設けられているため、総合優勝を狙ううえでは重要なポイントとなる。

チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニはエーススプリンターのフィリッポ・フォルティン(イタリア)のステージ優勝を狙い、他のメンバーは強いチームの動きをしっかりマークして逃げに乗るという作戦だった。

35度を超える暑さの中、ツール・ド・台湾と同じように新城幸也が積極的にレースを動かし、2回目の中間スプリントを過ぎた74km地点で単独でアタック。その動きに反応したTEAM Li Ning Starのシモン・ペロー(スイス)が新城に追いつき、2人でのエスケープに成功するが、集団とのタイム差が1分もないままレースが進み、ペローと新城は協調しながら先頭交代をし後続からの逃げ切りを目指す。

新城幸也 ツアー・オブ・タイランド2025 第1ステージ

2人で逃げる新城 Photo:Miwa ARASHIRO

 

新城とペローは協調体制で47km逃げ切って一騎打ちのフィニッシュとなり、途中で力を出し切っていた新城はスプリント勝負に負け2位となった。この成績により、総合もトップから4秒遅れの2位に付けている。

スプリントを託されていたフォルティンはラスト300mの最終コーナーで落車。肋骨骨折の怪我を負い、翌日のスタートが難しい状態になってしまった。チームは新城を含め実質4人で翌日からの総合争いをすることになる。

新城幸也 ツアー・オブ・タイランド2025 第1ステージ

2位でフィニッシュした新城 Photo:Miwa ARASHIRO

 

新城幸也のコメント:

第1ステージから激しいアタック合戦となった。総合が秒差争いになるであろう今大会を意識して、全チームが2回のボーナススプリントを狙っていた。

チームはフィニッシュにフィリッポ(フォルティン)を温存して、他のメンバーで逃げを選別した。なかなかアタック合戦が終わり見えなかったし、チームとして集団牽引をしたくなかったので、2回目のスプリントポイントが終わったらアタックしようと思っていた。皆が必死にボーナスポイントを狙っていたので、それが終われば集団は落ち着くと思った。

予定どおりアタックして抜け出すことに成功したのだが、1人になってしまった。いずれ誰か追いついてくるだろうと1人旅を始めた。

しばらくして1人追い付いてきたのが知り合いの選手だったので、「行くぞー!」と励ましあいながら逃げ始めた。最初は集団に泳がされている感じだったが、1分離せば追い付くのにも苦戦するだろうから、できるだけタイム差を広げる努力した。自分が逃げ続けることでチームメイトは仕事をしなくて済むので、他のチームを消耗させるべく逃げていた。

今となってみれば、この時に気温も高くボトルの水もない状態で体を追い込んだツケが最後にきたんだと思う。残り15kmでもメイン集団とは40秒差だったので、とにかく自分たちのペースを落とさないように走った。

残り7kmで34秒ぐらいまでメイン集団も迫ってきていて、前半から動いていたツケでペースを上げることができず、ここまできたら今日のステージ優勝よりも逃げ切ってタイム差を稼ぎ、総合を狙った方が良いと思い、できるだけタイム差をつけて逃げ切ることに切り替えた。

思惑どおり逃げ切りに成功。ステージは取れなかったが翌日に繋がる結果になった。久しぶりに集団との駆け引きや、優勝争いができて楽しかった。

総合争いで少し先行したので、1ステージ1ステージを大事に走りたいと思う。2位を守るのではなく、もちろんどこかでボーナスタイムを稼いで、総合優勝目指します。

 

チーム ソリューションテック・ヴィーニファンティーニの出場メンバー
ロレンツォ ・クアルトゥッチ(イタリア)
アレッサンドロ・イアッキ(イタリア)
アルノー・ティシエール(スイス)
新城幸也(日本)
フィリッポ・フォルティン(イタリア)

ツアー・オブ・タイランド(UCIアジアツアー2-1)
https://www.tourofthailand.in.th/en/home

新城幸也 公式X
https://x.com/YukiyaArashiro