パリ~ルーベ2025 はファンデルプールが3連覇
クラシックの女王の愛称を持ち、モニュメントと呼ばれる5大クラシックの1つである第122回パリ~ルーベ(UCIワールドツアー)が、4月13日に北フランスで開催され、オランダのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が独走で優勝して3連覇を果たした。
パリ~ルーベの長い歴史で、これまでに3連覇を達成できたのはフランスのオクタヴ・ラピーズ(1909〜1911年)とイタリアのフランチェスコ・モゼール(1978〜1980年)だけだった。
30歳のファンデルプールは、これでエディ・メルクス(ベルギー)やヨハン・ミュセーウ(ベルギー)らと並んで優勝数が歴代2位になり、来年はムッシュー・パリ〜ルーベと呼ばれるロジェ・ドブラミンク(ベルギー)とトム・ボーネン(ベルギー)が持つ歴代1位の4勝目に挑戦する事になった。
今年のパリ~ルーベは世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ/スロベニア)が初参加する事で大いに注目を集めたが、彼はゴールまで残り38kmで落車し、1分18秒遅れの2位でレースを終えた。
3位争いのゴールスプリントはデンマークのマス・ピーダスン(リドル・トレック)が制し、今年もヴェロドロームの表彰台に上がる事ができた。
第122回大会は雨の予報になっていたが、夜に降り続いた雨は朝には上がり、曇り空のコンピエーニュを175選手がスタートした。今年は石畳のセクターが30カ所に増え、総距離は55.3kmだった。最初の石畳はゴールまで残り163.4kmから始まり、集団はその直前に大きな落車事故が2回発生し、すでに50人ほどになっていた。
最初のセクター30の石畳では、イタリアのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)が機材故障に見舞われ、集団から遅れてしまったが、落車で遅れていたベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)らと共に、セクター25の石畳で集団に合流する事ができた。
ゴールまで残り103kmのセクター20の石畳で、集団ではピーダスン、ファンデルプール、ポガチャルが攻撃を開始し、20人ほどの精鋭グループが形成された。彼らは次のアランベールの石畳で逃げを吸収し、先頭に立った。次の石畳ではファンデルプールがアタックし、ピーダスン、ポガチャル、シュテファン・ビセッガー(デカトロン・AG2Rラモンディアル)、フィリプセンだけが付いていく事ができた。しかし、ピーダスンはゴールまで残り71kmのセクター15の石畳でパンクに見舞われ、先頭グループから脱落してしまった。
その石畳でアルカンシエルを着たポガチャルがアタックし、付いていけたのはファンデルプールだけだった。石畳を通過後、そこにフィリプセンが追いつき、先頭は3人になった。しかし、彼はセクター9の石畳で2人のアタック合戦に付いていけなかった。
1週間前にベルギーで開催されたロンド・ヴァン・ヴラーンデレン2025(ツール・デ・フランドル/UCIワールドツアー)では、病み上がりでポガチャルの攻撃に耐えられなかったファンデルプールだったが、この日は完全に復調し、決闘の準備はできていた。2人の闘いはルーベのヴェロドロームまで続けられるのかと期待されたが、それはゴールまで残り38kmのセクター9の石畳であっさり終わりを迎えてしまった。
先頭を走っていたポガチャルは、右コーナーを曲がり損なって落車してしまったのだ。すぐ後ろを走っていたファンデルプールは巻き込まれる事なく、そこから独走を開始した。ポガチャルは必死で追走し続けたが、機材故障でバイクを交換しなければならなくなり、タイム差は更に開いた。ファンデルプールも残り15.6kmの石畳でパンクしたが、バイク交換はスムーズに行われ、タイムを失う事はなかった。
ファンデルプールは結局1分以上のタイム差を付けてルーベのヴェロドロームに到着し、右手の指を3本立ててフィニッシュラインを通過した。
■3連覇を達成したファンデルプールのコメント
「この勝利はとても多くの意味を持つ。とてもハードなレースだった。自分のキャリアで最も苦しんだルーベだった。あんなに早く1人になるとは予想していなかった。ポガチャルはコーナーで判断を誤ったが、ボクはすぐに回避できた。それはレースの一部さ。そこからは長くても最後まで行くしかなかった。石畳では向かい風と闘ったが、ゴールまで全力を尽くした。
パリ〜ルーベで3回勝つのはとても特別だ。レースをスタートしたときには期待もしていなかった。このレースは運と同じ位に脚力が重要だからだ。全く並外れているよ」
■初参加で2位になったポガチャルのコメント
「落車した時は、モーターバイクに付いていく事に集中していて、コーナーがあるのを見ていなくて、落車を避けるためのブレーキが間に合わなかった。しょうがないよ。追いつけると思っていたが、タイム差は15秒くらいで、フロントブレーキがホイールに接触してしまっていた。その事が頭の中を駆け巡り、挫けそうになったよ。バイクを交換する頃にはもう限界で、とにかく早くゴールに到着したいとだけ願っていた」
第122回パリ~ルーベ 結果
[4月13日/コンピエーニュ~ルーベ(フランス)/UCIワールドツアー/259.2km]
1. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) 05h 31′ 27”
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) + 01′ 18”
3. MADS PEDERSEN (LIDL-TREK / DEN) + 02′ 11”
4. WOUT VAN AERT (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / BEL) + 02′ 11”
5. FLORIAN VERMEERSCH (UAE TEAM EMIRATES XRG / BEL) + 02′ 11”
6. JONAS RUTSCH (INTERMARCHÉ – WANTY / GER) + 03′ 46”
7. STEFAN BISSEGGER (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / SUI) + 03′ 46”
8. MARKUS HOELGAARD (UNO-X MOBILITY / NOR) + 03′ 46”
9. ALFRED WRIGHT (BAHRAIN VICTORIOUS / GBR) + 04′ 35”
10. LAURENZ REX (INTERMARCHÉ – WANTY / BEL) + 04′ 36”
◆「2025サイクルロードレース選手名鑑」発売中!
UCIワールドチーム&プロチーム全35チームのデータを完全掲載!