ツール・ド・フランス2019 第17ステージは欧州チャンピオンのトレンティンが逃げ切り区間優勝
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第106回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、2019年7月24日にポン・デュ・ガールからギャップまでの200kmで第17ステージを競い、ヨーロッパチャンピオンのマッテーオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)が独走で逃げ切り、3度目の区間優勝を勝ち取った。
これでオーストラリアのミッチェルトン・スコットは今大会で区間4勝を上げ、オランダのチームユンボ・ビスマに並んだ。
区間2位にはデンマークのカスパ・アスグレーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が入り、区間3位はゴールスプリントでベルギーのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(CCCチーム)が獲得した。
南仏からアルプスへの移動ステージで、メイン集団は20分10秒遅れでゴール。総合首位のマイヨ・ジョーヌは地元フランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が守り、着用日数は13日になった。
今年のツールもいよいよ終盤戦に突入。7月25日からはアルプス山岳3連戦がスタートする。初日の第18ステージは頂上ゴールではないが、カテゴリー1のバール峠、カテゴリ超級のイゾアール峠とガリビエ峠という、3つの2000m級の峠を超える厳しい一日だ。
33人の集団が逃げた
第17ステージは160選手が出走。ルイスレオン・サンチェス(アスタナプロチーム)と、前日に落車したセース・ボル(チームサンウェブ)が出走しなかった。南仏ニーム近郊にある古代ローマ時代の水道橋、ポン・デュ・ガールがスタート地で、前日同様気温は37℃だった。
酷暑対策で第17ステージのタイムカットは、先頭でゴールした選手のタイムではなく、優勝候補たちがいるメイン集団のタイムから計算される特別ルールが適用された。
この日は酷暑の南仏から脱出し、アルプスのふもとに位置するギャップへと移動するステージだった。今までにギャップはツールのゴール地に23回なっているが、ここでマイヨ・ジョーヌが変わったことは一度もなかった。
オフィシャルスタート後、2km地点で最初にアタックしたのはベルギーのトマス・デヘント(ロット・スーダル)だった。すぐに34人の大きな逃げ集団が形成されたが、マウヌス・コート・ニルスン(アスタナプロチーム)はパンクに見舞われて脱落してしまった。
33人の逃げには、トレンティン、ヴァンアーヴェルマート、ディラン・トゥーンス(バーレーン・メリダ)、ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグローエ)、アスグレーン、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)らが加わっていた。逃げに誰も送り込めなかったトタル・ディレクトエネルジーが集団を引いてこの逃げを捉えようとしたが、タイム差は開く一方だった。最初の1時間の平均時速は51.7km/hにもなった。
52km地点でタイム差は4分以上になり、集団はドゥクーニンク・クイックステップがコントロールを開始した。62km地点の中間スプリント地点はアンドレーア・パスクアロン(ワンティ・ゴベール)が先頭で通過。翌日からアルプス区間が始まることもあり、集団はすでに6分以上遅れていた。
95.5km地点のカテゴリー4の丘はデヘントが先頭で通過し、1ポイントを獲得した。後半戦に入り、レースは土砂降りの雨に見舞われたが、30℃を超える暑さの中を走る選手にとってはクールダウンになった。残り40kmで、タイム差は15分近くになっていた。
トレンティンが独走!
先頭の逃げ集団では、ゴールまで残り37kmでモレマが最初にアタックし、区間優勝争いが始まった。残り30kmで逃げから11人がアタックして先行し、さらに6人に絞られた。そこからゴールまで残り14kmでトレンティンがアタックし、カテゴリー3のサンティネルの丘を独走で駆け上がった。
それをピエールリュック・ペリション(コフィディス)が追いかけたが、サンティネルの丘の頂上近くでアスグレーンに追い越されてしまった。山頂はトレンティンが先頭で通過し、30秒遅れでアスグレーン、ペリションが続いた。下りでアスグレーンはトレンティンを追い続けたが、タイム差は広がる一方だった。
最後はトレンティンが独走で逃げ切り、2013年、2014年に続いて3度目のツール区間優勝を成し遂げた。ツールでヨーロッパチャンピオンの選手が優勝したのは、2017年のペテル・サガン、昨年のアレクサンダー・クリストフに続き、3年連続だった。
メイン集団は最後のサンティネルの丘でもアタックはなく、ドリース・デヴェニンス(ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭を引き続けた。集団は20分以上遅れてゴールしたが、総合上位に変動はなかった。
■区間優勝したトレンティンのコメント
「この勝利には2勝の価値がある。アルビにゴールした第10ステージの後で、区間優勝のチャンスは今日だと思っていたからだ。バニェール・ド・ビゴールがゴールの第12ステージも念頭に置いていて、それはチームメートのサイモン・イェーツがボクたちの逃げグループから出て優勝したので、うまくいった。
今日はとてもキツい3日間の前の、ボクにとっては間違いなく最後のチャンスだった。脚よりも精神力が助けになった。独走で勝つのは決して想像していなかった。ボクは2〜3回アタックして、上りの前に1人で行こうと試みた。アップヒルでアタックする誰かに付いて行くよりも、先行して自分のペースで走ることができるようにするためだった。
この独走優勝は、集団ゴールスプリントで2回勝った後で、特別な味わいだ。ボクは全ての種類のステージでトップ10に入り、やっと勝った。素晴らしい瞬間だよ」
■マイヨ・ジョーヌを守ったアラフィリップのコメント
「今日ボクは集中し続け、マイヨ・ジョーヌでギャップに到着しなければならなかった。それを持つことは非常に名誉なことだ。純粋な幸せではあるが、重荷でもある。今日のステージでは集団に緊張状態があり、ボクはその状況を鎮めようとした。ボクはアタックするつもりがないから、危険を冒さないようにと他の選手たちに話した。
明日はアルプスで最も過酷なステージだ。自分の脚が痛むだろうとはわかっているが、今までにこれほど精神的に強く動機づけられた事はない。ボクはツール・ド・フランスのこのステージで自分が持っていると想像もしたことがないマイヨ・ジョーヌを守るためにここにいる。それを楽しみにしているよ」
■山岳賞総合首位のウェレンスのコメント
「明日は重要になるだろう。たくさんの幸運が必要だろう。もしボクが良い脚を持って逃げに加われれば、何かをすることは可能だ。でもそれは確かに容易ではない。ボクは今日苦しんだが、それは皆同じたと思う。気温は非常に高い。調子は良いと感じているが、明日はすば抜けて良くなければだめだ。明日は(山岳賞ポイントを)90ポイント獲得できるので、マイヨ・アポワの為のレースは別の方向に進むことができる。ボクにはたくさんのライバルがいるよ」
■第17ステージ結果[7月24日/ポン・デュ・ガール〜ギャップ/200 km]
1. MATTEO TRENTIN (MITCHELTON – SCOTT / ITA) 04H 21′ 36”
2. KASPER ASGREEN (DECEUNINCK – QUICK – STEP / DEN) + 37”
3. GREG VAN AVERMAET (CCC TEAM / BEL) + 41”
4. BAUKE MOLLEMA (TREK – SEGAFREDO / NED) + 41”
5. DYLAN TEUNS (BAHRAIN – MERIDA / BEL) + 41”
6. GORKA IZAGUIRRE INSAUSTI (ASTANA PRO TEAM / ESP) + 41”
7. DANIEL OSS (BORA – HANSGROHE / ITA) + 44”
8. PIERRE LUC PERICHON (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / FRA) + 50”
9. TOMS SKUJINS (TREK – SEGAFREDO / LAT) + 50”
10. JESUS HERRADA (COFIDIS, SOLUTIONS CREDITS / ESP) + 55”
■第17ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) 69H 39’ 16’’
2. GERAINT THOMAS (TEAM INEOS / GBR) + 01’ 35’’
3. STEVEN KRUIJSWIJK (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 01’ 47’’
4. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 01’ 50’’
5. EGAN BERNAL (TEAM INEOS / COL) + 02’ 02’’
6. EMANUEL BUCHMANN (BORA – HANSGROHE / GER) + 02’ 14’’
7. MIKEL LANDA (MOVISTAR TEAM / ESP) + 04’ 54’’
8. ALEJANDRO VALVERDE (MOVISTAR TEAM / ESP) + 05’ 00’’
9. RIGOBERTO URAN (EF EDUCATION FIRST / COL) + 05’ 33’’
10. RICHIE PORTE (TREK – SEGAFREDO / AUS) + 06’ 30’’
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):TIM WELLENS (LOTTO SOUDAL / BEL)
■新人賞(マイヨ・ブラン):EGAN BERNAL (TEAM INEOS / COL)
■チーム成績(黄色ゼッケン):TREK – SEGAFREDO (USA)
■敢闘賞(赤ゼッケン): MATTEO TRENTIN (MITCHELTON – SCOTT / ITA)