カテゴリー1頂上ゴールのツール・ド・フランス2020第4ステージはログリッチが優勝
第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、9月1日にシステロンから標高1825mでカテゴリー1のオルシエール・メルレットまでの160.5kmで、今年最初の頂上ゴールとになった第4ステージを競い、スロベニアチャンピオンのプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ヴィスマ)がゴールスプリントを制して区間優勝した。
30歳のログリッチはツールで2017年と2018年にも区間優勝していて、これが通算3勝目だった。
総合リーダーの証であるマイヨ・ジョーヌを着た地元フランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、ログリッチと同タイムの区間5位でゴールし、総合首位の座を守った。これでアラフィリップのマイヨ・ジョーヌ通算着用日数は17日になった。
丘越えの高速ステージ
第4ステージは172選手が出走。スタートの合図と同時に6選手がアタックを決め、この日の逃げグループになった。メンバーはニルス・ポリッツとクリッツ・ネイランズ(イスラエル・スタートアップネイション)、マテュー・ビュルゴドー(トタル・ディレクトエネルジー)、アレクシー・ヴュイエルモ(AG2R・ラモンディアル)、ティシュ・ベノート(チームサンウェブ)、カンタン・パシェ(B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)だった。
6人はドゥクーニンク・クイックステップがコントロールする集団に、18km地点で4分差を付けていた。この日はスタートから高速のステージになり、最初の1時間の平均時速は43.7km/hだった。
51.5kmの中間スプリントはポリッツが先頭で通過。集団はアイルランドチャンピオンのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が7位通過で9ポイントを獲得。マイヨ・ベールを着たスロバキアのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)は12位通過で4ポイントしか稼げなかった。この日ベネットはポイント賞のポイントが首位のサガンと同じ83ポイントになった。
逃げグループではパシェが山岳ポイントのかかった丘を3カ所先頭で通過したが、マイヨ・アポワを着たブノワ・コスヌフロワ(AG2R・ラモンディアル)を脅かす存在にはならなかった。逃げは残り28kmでタイム差が2分を切っていた。
オラニエール峠の下りカーブでベノートが転倒する事故が発生したが、幸い大きな怪我はなかった。ここで先頭はパシェ、ネイランズ、ヴュイエルモの3人になった。ゴールになっていたオルシエール・メルレットの手前にあった丘で、先頭の3人からラトビアのネイランズがアタックして独走を開始。彼はオルシエール・メルレットのふもとで、ドゥクーニンク・クイックステップが引く集団に吸収されてしまったが、この走りで敢闘賞を獲得し、ツール初出場のイスラエル・スタートアップネイションに初の表彰台をもたらした。
7.1km続くオルシエール・メルレットの登坂が始まっても、集団はまだドゥクーニンク・クイックステップがコントロールし、ドリース・デヴェニンス、ボブ・ユンゲルスが先頭で仕事を続けていた。そして残り4.5kmでピエール・ローラン(B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がアタックし、闘いが始まった。
ローランはすぐに吸収され、35人ほどのマイヨ・ジョーヌ集団はウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ヴィスマ)が引き続けた。一日中仕事を続けていたドゥクーニンク・クイックステップは、もう先頭にマイヨ・ジョーヌのアラフィリップしか残っていなかった。
ヴァンアールトはゴールまで残り1.4kmまで先頭を引き続け、集団は次第に小さくなっていった。その仕事はセップ・クース(チームユンボ・ヴィスマ)が引き継ぎ、残り1kmのフラム・ルージュを通過した。そこから残り600mで最初にアタックしたのは地元フランスのギヨーム・マルタン(コフィディス)だったが、残り200mのカーブでログリッチが先頭に立ち、そのまま区間優勝をもぎ取った。
区間2位にはタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が入り、第4ステージはスロベニア勢のワンツーフィニッシュになった。アラフィリップはスプリントに加わって先頭グループでゴール。区間5位でボーナスタイムは獲得できなかったが、マイヨ・ジョーヌを守る事はできた。
ログリッチは区間1位で10秒のボーナスタイムを獲得し、アラフィリップに7秒差の総合3位へと浮上した。区間2位で6秒獲得したポガチャルは11秒差の総合4位になり、新人賞首位に立ってマイヨ・ブランに袖を通した。
■区間優勝したログリッチのコメント
「全く高速の一日で、厳しいステージだった。チームメートたちはボクのためにまた良い仕事をしてくれた。お陰でボクはずっと良い位置にいた。ゴールは良いスピートを出せた。とても嬉しい。マイヨ・ジョーヌは取れなかったが、それは受け入れなければならないニュースだ。我々は安全で居続け、勝利のお陰で良い一日になった。これを続けて行かなければならない。ドーフィネでの落車から復帰できて良かったが、ボクはすでに第2ステージでこのツールの準備が出来ていることを証明している」
■最初の頂上ゴールでマイヨ・ジョーヌを守ったアラフィリップのコメント
「マイヨ・ジョーヌをキープして、区間も勝ち取るという二重の目標を持っていた。2つ目の区間優勝は特別だった事だろう。でも後悔はしていない。チームはその計画を完璧に遂行したし、ボクは全力を尽くしたからだ。自分より強い者に打ち負かされただけさ。それに、去年とは比べ物にはならないが、自分の状態にも満足している。我々はそのリズムを3週間維持することはできない。すぐにレースをコントロールするのはボクたちの責任ではなくなるよ」
■第4ステージ結果[9月1日/システロン~オルシエール・メルレット / 160.5km]
1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) 04h 07′ 47”
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
3. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA)
4. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL)
5. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA)
6. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL)
7. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL)
8. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA)
9. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP)
10. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR)
■第4ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) 18h 07′ 04”
2. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 04”
3. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 07’’
4. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 11’’
5. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA) + 13’’
6. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL) + 17”
7. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 17”
8. ESTEBAN CHAVES (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 17”
9. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 17”
10. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 17”
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:EF PRO CYCLING (USA)
■敢闘賞:KRISTS NEILANDS (ISRAEL START-UP NATION / LAT)
第5ステージは平坦区間
9月2日はガップからプリバまでの183kmで第5ステージが行われる。平坦区間だが、終盤にカテゴリー4の丘越えがあり、残り1kmのフラム・ルージュまでの数kmはなだらかな上り坂だ。
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