ツール・ド・フランス総合ディレクターのプリュドムが新型コロナ陽性
フランスで開催中の第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、最初の休養日に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査を実施し、総合ディレクターのクリスティアン・プリュドム(フランス)が陽性になった。彼は現在無症状だという。参加選手は全員が陰性だった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)が続くなか、フランスでも第2波の流行が本格的になり、9月5日は新規感染者が8900人を記録した。ツールの選手、チームスタッフ、レース・オフィシャルで構成された約650名のレース・バブル(安全圏グループ)は、休養日に全員がPCR検査を受け、その結果は9月8日の第10ステージのスタート前に発表された。
朝からツイッター上で様々な噂が飛び交うなか、スタート直前に選手は全員が陰性であった事が正式に発表された。しかし、チームスタッフはコフィディス(フランス)、AG2R・ラモンディアル(フランス)、イネオス・グレナディアズ(英国)、ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)でそれぞれ1人が陽性になり、彼らはバブルから離脱した。
主催者のアモリースポールオルガニザシオンが事前に決定した新型コロナウイルス感染症対策では、30人で構成される1チームのバブルの中で7日の間に2人の感染者が出た場合、そのチームは失格を言い渡される事になっていたが、今回のPCR検査で2人が陽性になったチームはなかったため、全チームがツールを続けられる事になった。主催者は技術サービス提供者の1人も陽性で、レースを離れたと発表している。
PCR検査は7日と8日に実施され、ニースの開幕前に検査を受けて陰性である事が認定されたレース・バブルの所属者全員が対象となった。開幕前には2回検査が実施されているため、これが今年のツールで3回目の検査だった。今回は841件の検査が実施され、2度目の休養日となる来週月曜日にも同じ条件で検査が行われる。
この発表の後、アモリースポールオルガニザシオンの総合ディレクターであるクリスティアン・プリュドム(フランス)が、今回の検査で陽性になったという衝撃的なニュースが発表された。彼はこの1カ月で4回目の検査を受けてていた。
主催者の発表によれば、プリュドム総合ディレクターは『レース・バブル(安全圏グループ)』には属しておらず、選手やそのスタッフとは直接接触していなかったが、今回のキャンペーンで検査を受けていた。彼は7日間の自主隔離をするそうだ。
プリュドム総合ディレクターが不在となる第10ステージからは、オフィシャルの先導車には元選手のフランソワ・ルマルシャンが代理で乗車する。彼はパリ〜ニースでも先導車に乗っていた。ルマルシャンの第3オフィシャルカーには、さいたまクリテリウムでおなじみのジャンミシェル・モナンが乗車する。
プリュドム総合ディレクターは主催者が行った電話によるインタビューで「私は8月6日、20日、27日にPCR検査と血液検査の両方を受け、全てが陰性だった。昨日行ったPCR検査は陽性だった。それはついさっき聞かされた。我々は私をレース・バブルの一員にはしたくなかった。私は選手たちよりもはるかに多くの人と接しているからだ。選ばれた役員、パートナー企業の人々、ジャーナリスト。競技ディレクターのティエリー・グブヌーはレース・バブルの一員だ。私は検査で陽性になったが、全く元気だ。最も重要なの事は選手が誰も検査で陽性にはならなかった事だ」と、語っている。
フランス首相が濃厚接触者
プリュドム総合ディレクターが乗車する第1オフィシャルカーと言えば、ツールの招待客を接待する特別な車両であり、新型コロナウイルス感染症のパンデミック下でもそれは変わらなかったようだ。
主催紙レキップによれば、9月5日に行われた第8ステージではフランスのジャン・カステックス首相が第1オフィシャルカーに乗車し、プリュドム総合ディレクターと一緒に2時間レースを観戦していたという。プリュドム総合ディレクターが陽性になった知らせを受け、カステックス首相も自主隔離し、PCR検査を受ける事になった。
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