ツール・ド・フランス2020 第10ステージはサム・ベネットが区間初優勝
第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、最初の休養日明けの9月8日にオレロン島のル・シャトー・ドレロンからレ島のサン・マルタン・ド・レまでの168.5kmで第10ステージを競い、アイルランドチャンピオンのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団ゴールスプリントを制して区間初優勝を果たした。
マイヨ・ジョーヌはスロベニアチャンピオンのプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ヴィスマ)が守った。
PCR検査は全員陰性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で、最初の休養日には選手全員がPCR検査を受け、第10ステージのスタート前には全員が陰性だった事が発表された。
初日の落車で負傷していたイタリアのドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)が出走せず、165選手がスタート。フランス中西部の大西洋にある島と島を結ぶステージは、カテゴリーの付く丘が一つもない、いわゆるパンケーキ・フラットなコースだった。
スタートしてすぐにシュテファン・キュンク(グルパマ・FDJ)とミヒャエル・シェール(CCCチーム)のスイス・コンビが逃げ出し、3km地点で1分差を付けたが、この日は集団ゴールスプリントに持ち込みたいドゥクーニンク・クイックステップとロット・スーダルが集団を引き、69km地点で2人を吸収した。
最初の1時間の平均時速は49.3km/hで、高速レースについて行けない負傷者たちが集団から遅れる場面もあった。逃げを吸収した後は、チームユンボ・ヴィスマが集団の先頭をコントロール。69km地点で発生した落車では、巻き込まれたサム・ビューリー(ミッチェルトン・スコット)がリタイアした。彼は左手首を骨折していた。
この日は落車が続出し、ゴールまで残り65kmでは総合3位のギヨーム・マルタン(コフィディス)、タデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)、ダヴィデ・フォルモロ(UAEチーム・エミレーツ)が巻き込まれた。ポガチャルはすぐ集団に追いついたが、マルタンは自転車を交換しなければならず、チームメートの助けを借りて、13km先で合流した。
ゴールまで残り39kmの中間スプリントはマッテーオ・トレンティン(CCCチーム)が先頭で通過し、マイヨ・ベールのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)は2位に甘んじなければならなかったが、ポイント賞総合首位は守る事ができた。
終盤に入り、集団の先頭はイネオス・グレナディアズが引き始め、この日4回目の落車事故が発生し、巻き込まれたジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)やアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が遅れてしまった。
レ島へと渡る橋の上で、序盤に逃げたキュンクが再度アタックしたが成功はしなかった。しかし、彼はこの日の敢闘賞を獲得できた。レース後のインタビューでキュンクは「敢闘賞と赤ゼッケン獲得を確実なものにするためだけに、橋の上でアタックした」と、明かしていた。
最後はチームサンウェブが先頭を引いて残り1kmのフラム・ルージュを通過したが、ミケル・モルコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)の後方からスパートしたベネットが先頭に立ち、オーストラリアのケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)の猛追を寄せ付けず、区間初優勝を手中に収めた。
区間3位にはマイヨ・ベールのサガンが入ったが、ゴールのポイントでベネットに抜かれてしまい、ポイント賞総合首位の座を奪われてしまった。29歳でついにツールの区間優勝を得られたベネットは、勝利者インタビューで感極まってむせび泣いていた。彼は2018年にジロ・デ・イタリア、2019年にブエルタ・ア・エスパーニャでも区間優勝していて、これでグランツール全てで区間優勝した選手の仲間入りを果たした。
■ツールで区間初優勝したサム・ベネットのコメント
「ショックだ。チーム全体に感謝したい。とりわけここに居るチャンスをくれたルフェヴル(ゼネラルマネージャー)に。少し時間がかかったが、ツールで区間優勝するのをずっと夢見ていた。それはどんなものか想像できなかった。それが起こるとは思わなかった。向かい風だったから、ボクは待っていた。待ちすぎたかと思った。勝つためには、あまりにも大きなギヤだった。でも勝てたんだ!」
■第10ステージ結果[9月8日 / イル・ドレロン・ル・シャトー・ドレロン~イル・ド・レ・サン・マルタン・ド・レ / 168.5km]
1. SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL) 03h 35′ 22”
2. CALEB EWAN (LOTTO SOUDAL / AUS)
3. PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
4. ELIA VIVIANI (COFIDIS / ITA)
5. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN)
6. ANDRÉ GREIPEL (ISRAEL START-UP NATION / GER)
7. BRYAN COQUARD (B&B HOTELS – VITAL CONCEPT P / B KTM / FRA)
8. CEES BOL (TEAM SUNWEB / NED)
9. JASPER STUYVEN (TREK – SEGAFREDO / BEL)
10. LUKA MEZGEC (MITCHELTON – SCOTT / SLO)
■第10ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) 42h 15’ 23’’
2. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL) + 21”
3. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA) + 28”
4. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 30”
5. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 32”
6. RIGOBERTO URAN (EF PRO CYCLING / COL) + 32”
7. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 44”
8. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 01′ 02”
9. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01′ 15”
10. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) + 01′ 42”
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績:MOVISTAR TEAM (ESP)
■敢闘賞:STEFAN KÜNG (GROUPAMA – FDJ / SUI)
第11ステージも平坦区間
ツール一行は大西洋沿岸部を離れて東へと進路を取り、内陸部に向かう。9月9日はシャトライヨン・プラージョからポワティエまでの167.5kmで平坦区間の第11ステージが行われ、再び集団ゴールスプリントになる事が予測されている。
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