ツール・ド・フランス2020 第11ステージはユアンが区間2勝目/サガン降格!
第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、9月9日にシャトライヨン・プラージョからポワティエまでの167.5kmで平坦区間の第11ステージを競い、オーストラリアのケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)が集団ゴールスプリントを制し、第3ステージに続いて今大会2勝目を上げた。
区間2位にはスロバキアのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が入ったが、スプリントで違反行為があったため、降格処分を受けてしまった。マイヨ・ジョーヌはスロベニアチャンピオンのプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ヴィスマ)が守った。
地元フランスのラダニュスが単独アタック
第11ステージは163選手が出走。前日に落車したダヴィデ・フォルモロ(UAEチーム・エミレーツ)は、ゴール後の検査で鎖骨を骨折していた事が判明し、スタートしなかった。彼は手術を受ける予定だ。これでタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)は大切な山岳アシストを失ってしまった。
スタートの合図と共に地元フランスのマチュー・ラダニュス(グルパマ・FDJ)が単独でアタック。15km地点で3分35秒差を付けて逃げ続けた。集団からは20km地点で6人が飛び出して追走を試みたが、集団はそれを許さず、31km地点で彼らを吸収した。
35歳のラダニュスはその後も向かい風の中を単独で逃げ続け、108km地点の中間スプリントでは、まだ集団に1分45秒差を付けていた。集団はマイヨ・ベールを着たアイルランドチャンピオンのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭で通過し、17ポイントを加算した。
ラダニュスはゴールまで残り43kmで吸収されてしまったが、この逃げで敢闘賞を獲得できた。集団の後方では、遅れていたグレゴール・ミュールベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)がレースを棄権した。残り30kmを切った町中で落車があり、ヨン・イサギレ(アスタナプロチーム)が救急車で病院へ搬送され、リタイアを余儀なくされた。
集団はドゥクーニンク・クイックステップとチームユンボ・ヴィスマが引き続け、後方ではマイヨ・アポワのブノワ・コスヌフロワ(AG2R・ラモンディアル)が遅れていた。その集団からゴールまで残り6.3kmで、ルーカス・ぺストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)がアタック。すぐにドゥクーニンク・クイックステップのカスパ・アスグレーンとボブ・ユンゲルスが追いつき、レースをコントロール下に置いた。
残り2.2kmで逃げは全て吸収され、先頭を完全に支配するチームがないまま最後の1kmに突入。残り600mでマイヨ・ベールのベネットが先頭に立ったが、スプリントを開始するにはまだ早すぎた。最後は右からスプリントを開始したウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ヴィスマ)を、サガンが後方から頭で押しのけて割り込み、フィニッシュラインに飛び込んだが、左側からゴールしたユアンに軍配が上がった。これでユアンのツール区間通算優勝回数は5勝になった。
競技審判はゴール後に映像を確認した後、サガンに降格処分を下した。彼は2位から85位まで落ち、区間順位で与えられるポイントを1ポイントも稼げなかった。サガンの降格で、区間2位にはベネットが入り、ポイント賞総合でのリードを大きく広げることができた。
■今大会2勝目を上げたユアンのコメント
「とても目まぐるしいスプリントで、残り2kmでは前方に近すぎた。自分が居たい場所より前だったから、後ろに戻った。全くクレイジーだった。自分が勝った最初のステージから、冷静で居る事を学んだ。それ以来プレッシャーは減ったが、昨日負けた後、勝ちたいという強い欲求があった。チームメートたちのために勝ちたかった。勝っていた場合のためにアピールしたけど、本当は分からなかった。時には勝ったと分かるが、今日は本当に僅差だった。区間2勝はスーパーハッピーだ。次はパリで3勝目を上げたい」
■逃げて敢闘賞を獲得したラダニュスのコメント
「今朝、逃げたいと思った。向かい風だったけど、ボクは先頭で自分の1日を楽しもうとトライした。6人の選手が橋渡しをしようと試みた時、ちょっと期待したが、うまく行かなかった。だからボクは1人で走り続けた。8回目のツールだけど、単独で逃げたのは初めてだと思う。我々は友人が集まったチームで、ティボ・ピノーで総合争いをする野望を抱いていた。もうその目標は持てなくなってしまったが、モチベーションを持てる別の方法を探している。素晴らしい山岳ステージを当てにしていて、勝利を目指すつもりだ」
■第11ステージ結果[9月9日 / シャトライヨン・プラージョ~ポワティエ / 167.5km]
1. CALEB EWAN (LOTTO SOUDAL / AUS) 04h 00′ 01”
2. SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
3. WOUT VAN AERT (TEAM JUMBO – VISMA / BEL)
4. BRYAN COQUARD (B&B HOTELS – VITAL CONCEPT P / B KTM / FRA)
5. CLÉMENT VENTURINI (AG2R LA MONDIALE / FRA)
6. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN)
7. LUKA MEZGEC (MITCHELTON – SCOTT / SLO)
8. HUGO HOFSTETTER / FRA)
9. OLIVER NAESEN (AG2R LA MONDIALE / BEL)
10. RYAN GIBBONS (NTT PRO CYCLING TEAM / RSA)
■第11ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) 46h 15’ 24’’
2. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL) + 21”
3. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA) + 28”
4. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 30”
5. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 32”
6. RIGOBERTO URAN (EF PRO CYCLING / COL) + 32”
7. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 44”
8. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 01′ 02”
9. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01′ 15”
10. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) + 01′ 42”
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績:MOVISTAR TEAM (ESP)
■敢闘賞:MATTHIEU LADAGNOUS (GROUPAMA – FDJ / FRA)
第12ステージは終盤にカテゴリー2の峠を越える丘越え区間
9月10日はショビニーからサラン(コレーズ県)までの218kmで、今大会最長で丘越え区間の第12ステージが行われる。中盤にはカテゴリー4の丘が2カ所あり、後半にはカテゴリー3の丘を越えた後、カテゴリー2のシュック・オー・メ峠に挑む。全長3.8kmで平均勾配7.7%の峠の頂上には、ボーナスタイムが儲けられていて、レース展開次第では総合争いの選手たちが動く可能性もある。