ツール・ド・フランス2020 第14ステージはクラーウアナスンが残り3kmから逃げ切って区間初優勝

第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、9月12日にクレルモン・フェランからリヨンまでの194kmで第14ステージを競い、デンマークのセーアン・クラーウアナスン(チームサンウェブ)が、残り3kmで単独アタックを決め、そのまま逃げ切って区間初優勝を果たした。

ツール・ド・フランス2020

残り3kmのアタックを決め、独走で区間優勝したクラーウアナスン

マイヨ・ジョーヌはスロベニアチャンピオンのプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ヴィスマ)が守った。


バルデが不出走

ツール・ド・フランス2020

●第14ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

第14ステージは158選手が出走。前日のステージで落車したフランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)は、脳震盪を起こしていて、第14ステージはスタートしなかった。レキップ紙によれば、彼は落車の翌日も頭痛と吐き気が収まらず、MRIで小さな出血が見つかったという。バルデは第13ステージで総合4位から11位に後退していた。

スタートからアタックが始まり、シュテファン・キュンク(グルパマ・FDJ)とエドワード・トゥーンス(トレック・セガフレード)が逃げ出し、18km地点で集団に1分差を付けた。

中間スプリントが近づくと、集団からはペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)がチームメートのマクシミリアン・シャッハマン(ボーラ・ハンスグローエ)と一緒にアタックし、3位通過で15ポイントを稼いだ。マイヨ・ベールのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)は6位通過で10ポイントを獲得。ポイント賞総合で2人の差はまだ61ポイントあり、たとえサガンがこのステージで優勝しても、ベネットのマイヨ・ベールを奪い取る事はできなかった。

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序盤はキュンクとトゥーンスが逃げた

カテゴリー2のベアル峠の登坂がスタートすると、集団はボーラ・ハンスグローエが先頭を引き、マイヨ・ベールのベネットを集団から蹴落とした。ここからベネットは、チームメートたちと一緒にゴールを目指さなければならなかった。ボーラ・ハンスグローエの加速に耐えられなかったのはスプリンターだけではなかった。フランスのピエール・ラトゥール(AG2R・ラモンディアル)も集団から遅れ、途中リタイアとなってしまった。

68.5km地点の山頂はキュンクが先頭で通過し、集団とのタイム差は2分50秒あった。トゥーンスは集団に吸収されたが、キュンクは単独で逃げ続け、93km地点のクローの丘(カテゴリー3)も先頭で通過した。しかし、彼もゴールまで残り80kmのふもとで、90人ほどに減っていた集団に吸収された。アルプス山岳を目前に控え、リヨンまではアタックのないサイクリングになった。

ゴールまで残り11kmで、集団はリヨンに入った。フランスで3番目に人口が多いリヨンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が再拡大し、強い警戒が必要とされるレッドゾーンになっているが、沿道には大勢の観客が溢れかえっていた。


べノートがアタック

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均衡を破って最初にアタックしたベノート

カテゴリー4の丘でレースは動き始めた。残り10kmでティシュ・べノート(チームサンウェブ)が集団から飛び出し、15秒差を付けて逃げ続けた。このタイミングでリッチー・ポート(トレック・セガフレード)は機材故障に見舞われてしまい、チームメートの自転車を借りなければならなかった。

ベノートは残り7.5kmで吸収されたが、カウンターでレナート・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)がアタックし、最後のカテゴリー4の丘を独走した。集団からはトマス・デヘント(ロット・スーダル)、ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が飛び出し、丘の上でケムナを捉えたが、集団から逃げ出す事はできなかった。

次々とアタックがかかる集団の先頭から、ゴールまで残り3kmで逃げ出す事に成功したのがクラーウアナスンだった。彼は残り2kmで8秒のタイム差を付けていた。クラーウアナスンはそのまま集団に15秒差を付けて逃げ切り、26歳でグランツール区間初優勝を手中に収めた。

■スリリングな逃げ切りでツール区間初優勝を果たしたクラーウアナスンのコメント
「言葉が出ない。様々な感動を感じている。これを夢見ていたが、ツールで勝つ前に、自分がそれをやり遂げるのに十分調子が良いかどうかは分からなかった。驚いているよ。一日中本当に脚は調子が良かったが、他の選手がどうなのかは分からないだろ。ツールで勝つための自信を得るには、しばらく時間がかかった。ヒルシがチーム全体にたくさんのモチベーションを与えた。その若者が信じられない事をやっているのは刺激的だった。我々はそんなにうまくいくとは思っていなかった。ツールで我々は最も若いチームだと思う。我々は将来のためにここへ来たのに、もうすでに成し遂げている!」

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マイヨ・ジョーヌはログリッチが守った

■第14ステージ結果[9月12日 / クレルモン・フェラン~リヨン / 194km]
1. SØREN KRAGH ANDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) 04h 28′ 10”
2. LUKA MEZGEC (MITCHELTON – SCOTT / SLO) + 15”
3. SIMONE CONSONNI (COFIDIS / ITA) + 15”
4. PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK) + 15”
5. CASPER PHILLIP PEDERSEN (TEAM SUNWEB / DEN) + 15”
6. JASPER STUYVEN (TREK – SEGAFREDO / BEL) + 15”
7. MATTEO TRENTIN (CCC TEAM / ITA) + 15”
8. OLIVER NAESEN (AG2R LA MONDIALE / BEL) + 15”
9. SONNY COLBRELLI (BAHRAIN – MCLAREN / ITA) + 15”
10. MARC HIRSCHI (TEAM SUNWEB / SUI) + 15”

■第14ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) 61h 03’ 00’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 44”
3. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL) + 59’’
4. RIGOBERTO URAN (EF PRO CYCLING / COL) + 01′ 10’’
5. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 01′ 12”
6. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01′ 31’’
7. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 01′ 42”
8. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) + 01′ 55’’
9. RICHIE PORTE (TREK – SEGAFREDO / AUS) + 02′ 06”
10. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 02′ 54”

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:EF PRO CYCLING (USA)
■敢闘賞:STEFAN KÜNG (GROUPAMA – FDJ / SUI)

日曜日はカテゴリー超級のグラン・コロンビエール頂上ゴール

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●第15ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

9月13日の日曜日は大都市リヨンをスタートし、標高1501mでカテゴリー超級のグラン・コロンビエール頂上にゴールするジュラ山脈山岳区間の第15ステージが行われる。前半は平坦だが、後半はカテゴリー1の峠も2つ越えなければならない。

ゴールのグラン・コロンビエールは全長17.4kmで、平均勾配は7.1%。途中、12%の難所が2カ所ある。レキップ紙によれば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染拡大防止策で、グラン・コロンビエール山と一つ手前のビシュ峠(カテゴリー1)は、県令によりレース前日の正午から観客の入山が禁止されている。

サイスポ・ニュース:新型コロナウイルス流行拡大のレッドゾーンに入ったツール・ド・フランスは観戦の規制を実施

 

ツール・ド・フランス2020

●グラン・コロンビエールのプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

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