ティレーノ~アドリアーティコ2020はサイモン・イェーツが総合初優勝
9月7日からイタリアで開催されていた第55回ティレーノ~アドリアーティコ(UCIワールドツアー)は、最終日の14日に個人タイムトライアルを競い、英国のサイモン・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が総合初優勝した。
総合2位は英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)、総合3位はポーランドのラファウ・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ)だった。
イェーツは標高1335mのサッソテット山頂にゴールした第5ステージで、ライバルたちに35秒差を付けて独走で区間初優勝し、総合リーダーのマリア・アッズーラを獲得した。彼は最終日の個人タイムトライアルでわずかなタイム差を守り、総合初優勝を手中に収めた。彼はティレーノ~アドリアーティコの55回の歴史上、初の英国人勝者になった。
来季、双子のアダム・イェーツは英国のイネオス・グレナディアズへ移籍するが、サイモン・イェーツはオーストラリアのミッチェルトン・スコットに残留する事が決まっている。ティレーノ~アドリアーティコの後、彼はジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)に参加する予定だ。
■ティレーノ~アドリアーティコで総合初優勝したサイモン・イェーツのコメント
「ボクは今、(ジロで総合優勝を逃した)2018年の自分とは異なった選手だ。歳を取り、より経験を得て、ストレスにどう対処するかを学んだ。ティレーノ~アドリアーティコでそれを見せたと思う。状況をより良く処理し、冷静で居られるから、結果としてチームもずっとボクを信頼してくれると思う。
今日は素晴らしいタイムトライアルを走った。トーマスやマイカに対して、どれくらいのタイムを得られるのか、あるいは失うのか確信はなかった。ボクは時々タイムトライアルでよく走れるけど、事前に言うのは難しい。この成績の後、数日間休むのが楽しみだ。その後、ボクはジロのためのトレーニングを行い、レース開幕に向けてコンディションを上げる。ジロではいくつかの大きな山岳があるから、高地トレーニングがしたい」
■17秒差で総合2位になったトーマスのコメント
「今週の経過には満足している。2位は良い結果だ。ジロではより強くなるだろうと感じているが、他の大勢の選手たちも同様だろう。タイムトライアルはうまくいった。とても良くペースを合わせられた。おそらく海岸線でもう少し稼げたかもしれないが、17秒は無理だった。だから、総合優勝を逃しても気分は良い。今はジロを走るのが楽しみだ。アスタナの選手たちは脅威になるだろう。ケルデルマンもだ。多くのビッグネームと非常に強いチームが参加する。ヴィンチェンツォ・ニバリも間違いなくジロではより良くなっているだろう。とても激しい競争になるだろう」
第55回ティレーノ~アドリアーティコ 個人総合最終成績
1. YATES Simon (MITCHELTON – SCOTT / GBR) 32:07:34
2. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +17
3. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +29
4. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +56
5. VLASOV Aleksandr (ASTANA PRO TEAM / RUS) +58
6. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +1:18
7. KNOX James (DECEUNINCK – QUICK – STEP / GBR) +1:41
8. WOODS Michael (EF PRO CYCLING / CAN) +2:12
9. BRAMBILLA Gianluca (TREK – SEGAFREDO / ITA) +3:02
10. HAIG Jack (MITCHELTON – SCOTT / AUS) +3:10
[各ステージの優勝者]
■第1ステージ:ACKERMANN Pascal (BORA – HANSGROHE / GER)
■第2ステージ:ACKERMANN Pascal (BORA – HANSGROHE / GER)
■第3ステージ:WOODS Michael (EF PRO CYCLING / CAN)
■第4ステージ:HAMILTON Lucas (MITCHELTON – SCOTT / AUS)
■第5ステージ:YATES Simon (MITCHELTON – SCOTT / GBR)
■第6ステージ:MERLIER Tim (ALPECIN – FENIX / BEL)
■第7ステージ:VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN – FENIX / NED)
■第8ステージ:GANNA Filippo (INEOS GRENADIERS / ITA)
[各賞]
■ポイント賞 : ACKERMANN Pascal (BORA – HANSGROHE / GER)
■山岳賞 : CARRETERO Hector (MOVISTAR TEAM / ESP)
■新人賞 : VLASOV Aleksandr (ASTANA PRO TEAM / RUS)
チッコーネが新型コロナ陽性で不参加
イタリアではまだ新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行の第2波は始まっていないが、ティレーノ~アドリアーティコ開幕前の8月31日に行われたPCR検査で、イタリアのジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)が新型コロナウイルスの陽性と判定され、今大会に参加できなくなってしまった。
チッコーネは10月3日に開幕するジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)の準備のために、ティレーノ~アドリアーティコへ参加する予定だった。彼は8月23日までチームキャンプに参加していたが、疲労の兆候が出たため、個別トレーニングに切り替えて帰宅していた。その間、チッコーネはシングルルームを使用し、ソーシャル・ディスタンシングが遵守されていた。チームキャンプに参加した選手とスタッフは全員が到着時にPCR検査を受け、全員が陰性だった。
チッコーネが陽性になった事を受けて、キャンプに参加していた全メンバーは再度検査を受けたが、結果は全て陰性だった。UCIルールに準じ、ティレーノ~アドリアーティコ参加メンバーは9月3日に2度目のPCR検査を受け、全員クリアしている。
ヴィシニオウスキは新型コロナ陽性の疑いで第7ステージ棄権
ポーランドのCCCチームの発表によれば、ティレーノ~アドリアーティコに参加していたポーランドのウーカシュ・ヴィシニオウスキは、第7ステージのレース中に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われる軽度の症状が出たため、レースを棄権し、その日の夜に新型コロナウイルスの即日検査を受け、陽性の結果が示されたという。彼は確認の為にPCR検査を受けるそうだ。
この結果を受けて、大会期間中にヴィシニオウスキのルームメートだったポーランドのシモン・サイノックも、チームのCOVID-19ポリシーに基づき、レースを自動的に棄権し、最終日の個人タイムトライアルには参加しなかった。彼もPCR検査を受けるそうだ。