2020UCIロード世界選男子ロードレースでフランスのアラフィリップが初優勝!
イタリア北部エミリア・ロマーニャ州のイモラで開催されていた2020年UCIロード世界選手権大会は、9月27日の最終日に男子エリートのロードレース(258.2km)を競い、フランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイッステップ)が独走で逃げ切って初優勝を果たした。
フランスは1997年のサン・セバスティアン大会で優勝したローラン・ブロシャール以来、実に23年ぶりの世界選制覇となった。
5選手で構成された追走グループは24秒後にゴールし、スプリント勝負でベルギーのウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ヴィスマ)が2位、スイスのマルク・ヒルシ(チームサンウェブ)が3位に入った。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的な大流行)の影響で、延期開催されたツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)閉幕の翌週に開催された今年のロード世界選は、トップ10の8人がツールに参加していた選手という結果になった。
新城が序盤の逃げに加わった
第87回大会となった男子エリートのロードレースは、43カ国の174選手が参加。カザフスタンのアレクセイ・ルツェンコ、ドイツのニキアス・アルント、エリトリアのナトナエル・ベルハネがスタートしなかった。このうちルツェンコは、25日に新型コロナウイルスの検査で陽性なった事をカザフスタン車連が発表している。
曇り空のイモラ・サーキットをスタートしてすぐに、7人の逃げグループが形成され、日本から唯一人参加していた新城幸也がそこに加わっていた。28.8kmのサーキットを1周した時、集団とのタイム差は5分54秒に開いていた。
集団はスロベニア、スイス、ベルギーがコントロールし、タイム差は3周目の終了時に7分7秒にまで開いたが、それ以上にはならなかった。集団のペースは6周目から加速し始め、7周目のチーマ・ガッリステルナの丘(残り68km)で逃げは全て吸収された。その時、フランスチームが引いていた集団は50人ほどに減っていた。
メイン集団は1つのまま、残り2周の8周目に突入。ゴールまで残り42kmのチーマ・ガッリステルナの登坂でアタックしたのは、一週間前にツール・ド・フランスで総合初優勝したスロベニアのタデイ・ポガチャルだった。そこは前日の女子エリートで逃げ切ったオランダのアナ・ファンデルブレヘンが、アタックを決めたのと同じ場所だった。
ポガチャルは25秒差を付けて最終周へと突入したが、集団はベルギーが引き続け、最後はオランダのトム・デュムランがツール勝者を捕まえた。残り20kmのマッツォラーノの登坂では、イタリアが攻撃を開始し、ヴィンチェンツォ・ニバリがアタックを試みたが、成功しなかった。
最後のチーマ・ガッリステルナに突入すると、リオ五輪金メダリストのグレッグ・ヴァンアーヴェルマートがペースを上げ、前方には精鋭だけが残っていた。そこからアラフィリップがアタックし、先頭で頂上を通過した。彼はゴールまで残り10kmで、追走グループに9秒差を付けていた。
後方で追いかけていたのは、デンマークのヤコブ・フルサン、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ、ポーランドのミハウ・クフィアトコフスキー、ヴァンアールト、ヒルシの5人だった。彼らは協力してアラフィリップを追い詰める事ができず、残り1kmのフラム・ルージュでタイム差は15秒にまで開いていた。アラフィリップはそのまま逃げ切り、イモラ・サーキットのフィニッシュラインに飛び込んだ。
28歳のアラフィリップは、2015年にUCIワールドツアーのリエージュ~バストーニュ~リエージュとフレッシュ・ワロンヌで2位になり、注目されるようになった。昨年はストラーデ・ビアンケ、ミラノ〜サンレモ、フレッシュ・ワロンヌで優勝し、ツール・ド・フランスでは第3ステージで区間優勝し、マイヨ・ジョーヌを合計14日間着る活躍を見せた。
アラフィリップは今年のツールでも第2ステージで区間優勝してマイヨ・ジョーヌを獲得したが、第5ステージで許可されていない場所で補給を受け、20秒のペナルティタイムを課されて総合首位から陥落してしまった。彼はその時、マイヨ・ジョーヌを取り戻すと宣言しながら果たす事ができなかったが、イタリアでさらに美しいジャージを手に入れ、フランスに持ち帰る事ができた。
■世界チャンピオンになったアラフィリップのコメント
「この感動を表現できる言葉が見つからない。今日、ボクは自分の競技キャリアで最大の目標を達成した。多くの事を犠牲にして、チャンスは決して逃さなかった。チームメートたちに感謝しなければならない。夢の1日だった。まだ自分たちが何を達成したのか実感できない。最後の上りで、下る前にいくらかのリードを得るために、ボクは全力で行った。考えるのは止めて、ただ突っ走った。残り200mで、もう彼らはボクを捕まえられないと分かり、夢は実現した。とても嬉しいよ」
■男子エリート ロードレース 結果
[9月27日/イモラ/258.2km]
1. ALAPHILIPPE Julian (FRA) 6:38:34 (38.869 km/h)
2. van AERT Wout (BEL) +24
3. HIRSCHI Marc (SUI) +24
4. KWIATKOWSKI Michal (POL) +24
5. FUGLSANG Jakob (DEN) +24
6. ROGLIC Primoz (SLO) +24
7. MATTHEWS Michael (AUS) +53
8. VALVERDE Alejandro (ESP) +53
9. SCHACHMANN Maximilian (GER) +53
10. CARUSO Damiano (ITA) +53
DNF ARASHIRO Yukiya (JPN)
[完走 : 88名]