ベルギーのシルキュス・ワンティゴベールがUCIワールドチーム昇格に向けて動き出した

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ベルギーのUCIプロチーム(旧UCIプロコンチネンタルチーム)であるシルキュス・ワンティゴベールの運営母体であるウォンチュー・サイクリングは、9月29日にCCCチームの運営母体であるコンティニュアム・スポーツを買収し、同チームが保有するUCIワールドツアー・ライセンスを引き継いで、2021年シーズンにUCIワールドチームへ昇格する手続きを開始したと発表した。

シルキュス・ワンティゴベール

ビッグニュースはビンクバンク・ツール(UCIワールドツアー)のレース中に飛び込んできた(©Bettiniphoto)

ベルギー人のジャンフランソワ・ブールラールがゼネラルマネージャーを務めるウォンチュー・サイクリングは、シルキュス・ワンティゴベールとトルマンスシクロクロスチームを運営している。

シルキュス・ワンティゴベールは、2001年にベルギー南部ワロン地方のクラブチーム『VCアト』としてスタート。自転車競技の階段を一段ずつ上り、2008年にUCIコンチネンタルチームとして登録し、2011年にはUCIプロコンチネンタルチームに昇格して現在に至っている。2016年にはイタリア人のエンリーコ・ガスパロットがアムステル・ゴールド・レースで優勝し、2017年から3年間、ツール・ド・フランスの主催者招待も受けていた。

CCCチームの運営母体を買収した事で、ウォンチュー・サイクリングはUCIワールドツアー・ライセンスも引き継く事になる。今後行われる登録プロセスを経て、12月にUCIライセンス委員会の承認が得られれば、シルキュス・ワンティゴベールは2021年シーズンから正式にUCIワールドチームとして活動する。

今シーズンはイスラエル・スタートアップネイション(イスラエル)が、チームカチューシャ・アルペシンのワールドツアー・ライセンスを引き継ぎ、UCIワールドチームへの昇格を果たした。


CCCチームは活動終了?

ポーランド登録のUCIワールドチームであるCCCチームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミック(世界的な大流行)の影響で、タイトルスポンサーであるCCC社が経済的に大きな打撃を受け、今季いっぱいで契約を終了する事を6月上旬に発表していた。その時、チームのジム・オコビッツ会長は新しいスポンサーを探していると言っていたが、結局見つからなかったようだ。

CCCチームは、2007年に米国登録のBMCレーシングチームとして活動をスタートし、2011年にはオーストラリアのカデル・エヴァンスがツール・ド・フランス総合優勝をチームにもたらした。しかし、2018年4月に自転車メーカーのBMCのオーナーでもあったスイス人オーナーのアンディ・リース氏が他界し、CCC社のダリウシュ・ミレク社長が新しいオーナーになって昨年からポーランド登録のCCCチームに生まれ変わっていた。

現在68歳のオコビッツ会長は「2007年にコンティニュアム・スポーツが始動して以来、我々はBMCレーシングチームとCCCチームとして自転車競技界に足跡を残してきた。そして我々は、シルキュス・ワンティゴベールのワールドツアー昇格を支援する立場にある。野心的な長期展望の目標と共通の視点で、ジャンフランソワ・ブールラールが率いるシルキュス・ワンティゴベールはコンティニュアム・スポーツの遺産を引き継ぐのに理想的なチームであると信じている。我々は必要に応じて、彼らの努力をサポートする立場にある」と、コメントしているが、現在CCCチームに所属している選手やスタッフが、シルキュス・ワンティゴベールに移籍するかどうかについては、まだ発表されていない。

チームのエースであるグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)は、8月にフランスのAG2R・ラモンディアル(UCIワールドチーム)と3年契約を結んだ事が発表されている。

シルキュス・ワンティゴベールの公式サイト

CCCチームの公式サイト


NTTも今季いっぱいでスポンサー契約終了

NTTプロサイクリング

今年のツール・ド・フランスでは活躍の場がなかったNTTプロサイクリング(©Bettiniphoto)

南アフリカのNTTプロサイクリングは、タイトルスポンサーであるNTTリミテッド(所在地:英国)が、今季いっぱいで契約を更新しない事が確定したため、新しいタイトルスポンサーを探していると9月28日に発表した。

NTTプロサイクリングは、昨年までIT企業のディメンションデータがタイトルスポンサーだったが、親会社である日本のNTTが昨年6月にディメンションデータを含めた海外事業を統合し、NTTリミテッドを設立した事に伴い、チーム名称も変更していた。この発表は、昨年11月に東京で大々的に行われていた。

NTTリミテッドはツール・ド・フランスを主催するアモリー・スポール・オルガニザシオン(ASO)の公式パートナーも務めていて、その契約は2024年まで結ばれている。

NTTプロサイクリングには今季、日本チャンピオンの入部正太朗が所属している。

NTTプロサイクリングの公式サイト