リエージュ~バストーニュ~リエージュ2020でログリッチが初優勝

  • photo ASO/Gautier Demouveaux

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)で延期になっていた第106回リエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)が、10月4日にベルギー南部のワロン地方で開催され、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ヴィスマ)が初参加で初優勝を果たした。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ2020

左から2位のヒルシ、初優勝したログリッチ、3位のポガチャル

2位には4日前にフレッシュ・ワロンヌで初優勝したスイスのマルク・ヒルシ(チームサンウェブ)が入り、3位にはツール・ド・フランス・ウイナーであるスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が入った。5人のゴールスプリントで2位になった世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、結局降格処分を受けてしまった。


ヴァンアーヴェルマートが落車リタイア

第106回大会は雨のリエージュを175選手が出走。9km地点で9選手が逃げ出し、76km地点で最大5分45秒差を付けて逃げ続けた。集団はドゥクーニンク・クイックステップ、イネオス・グレナディアズ、チームサンウェブがコントロールし続けた。

ゴールまで残り96km地点で、集団では道路中央の交通島でグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(CCCチーム)とジェイ・マッカーシー(ボーラ・ハンスグローエ)が落車する事故が発生。2人はレースを棄権し、病院へ搬送された。今年は落車が続出し、アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)もリタイアした。

85km地点の落車では、リエージュがアルカンシエルのお披露目レースだったアラフィリップも巻き込まれてしまった。彼は走りながらシューズを交換した後、集団に復帰した。

先頭の逃げ集団はミヒャエル・シェール(CCCチーム)か最後まで逃げ続けていたが、ゴールまで残り35kmのルドゥトの丘のふもとでメイン集団に捕まってしまった。ここでメイン集団はすでに50人ほどになっていた。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ2020

ジルベールは怪我で欠場した為、彼の実家に近いルドゥトの坂にもフィルのペイントはなかった

続くフォルジュの丘でスイスのミヒャエル・アルバジーニ(ミッチェルトン・スコット)がアタックし、単独で先行した。彼は今季6月のツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)が引退レースになるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で引退は延期になっていた。しかし、スペインチャンピオンのルイスレオン・サンチェス(アスタナプロチーム)とポルトガルチャンピオンのルイ・コスタ(UAEチーム・エミレーツ)がアタックし、アルバジーニを吸収してしまった。


最後の丘でアラフィリップがアタック

最後の丘越えだったロッシォ・オー・フォコンがゴールまで残り14.6kmで始まると、トム・デュムラン(チームユンボ・ヴィスマ)が先頭を引き始め、集団はさらに小さくなっていった。ここでアラフィリップが満を持してアタックを決め、ついて行けたのはヒルシ、ログリッチ、ポカチャルだけだった。

ロッシォ・オー・フォコンの丘を越えた後の下り坂でミハウ・クフィアトコフスキー(イネオス・グレナディアズ)が先頭に合流。しかし、残り11kmを切った所でヒルシがアタックした後、クフィアトコフスキーは遅れてしまった。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ2020

ロッシォ・オー・フォコンの丘でアタックしたアラフィリップ

その後方では、前日にビンクバンク・ツール(UCIワールドツアー)で50kmの単独逃げを決めて総合優勝したオランダチャンピオンのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)が10数人のグループの先頭を引いて追走していたが、昨年のアムステル・ゴールド・レース(UCIワールドツアー)のような奇跡は起こらなかった。

アラフィリップ、ヒルシ、ポガチャル、ログリッチの4人は、ファンデルプールが引く追走集団に20秒前後のタイム差を付け、リエージュ郊外の新しいゴール地に到着。ここで驚いた事に、スロベニアのマテイ・モホリッチ(バーレーン・マクラーレン)が単独で先頭の4人を追い上げ、残り500mで追いついてしまった。

最後は5人でのゴールスプリントになり、フィニッシュライン目前で勝利を確信したアルカンシエルのアラフィリップが両手を上げたすきに、右側から車体を投げ出してゴールしたログリッチがビッグタイトルを掠め取ってしまった。アラフィリップはフィニッシュラインの手前で斜行し、ヒルシのスプリントを妨害していたため、結局は5位に降格されてしまった。

■巧妙なスプリントでビッグタイトルを獲得したログリッチのコメント
「信じられない。僅差だった。信じる事を止めず、最後までずっと踏み続けた。それが数センチの差になった! 信じられない気分だ。ボクにとって、家を離れた本当に長い期間だった。ほとんど3カ月だ。とても幸せで、チーム全員を本当に誇りに思っている。最後にデュムランは本当に良かった。でも、彼だけではなく、チームメート全員がレース中ずっとボクを守る仕事をしてくれた。

勝てて本当に嬉しい。ついに何とか勝つ事ができた! ラ・ドワイヨンヌ(リエージュ~バストーニュ~リエージュの愛称。長老の意味)を走ったのは初めてだ。モニュメント・レースで勝つ事は自分の希望リストにあった事で、それにチェックを入れられて満足だ」

リエージュ~バストーニュ~リエージュ2020

最後まで勝利を諦めなかったログリッチがアラフィリップを差した


■第106回リエージュ~バストーニュ~リエージュ 結果

[10月4日/UCIワールドツアー/ベルギー/257km]
1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) 06H 32′ 02”
2. MARC HIRSCHI (TEAM SUNWEB / GER)
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
4. MATEJ MOHORIC (BAHRAIN – MCLAREN / SLO)
5. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) *降格
6. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN – FENIX / NED) + 14”
7. MICHAEL WOODS (EF PRO CYCLING / CAN) + 14”
8. TIESJ BENOOT (TEAM SUNWEB / BEL) + 14”
9. WARREN BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 14”
10. MICHAL KWIATKOWSKI (INEOS GRENADIERS / POL) + 14”

リエージュ~バストーニュ~リエージュ2020

新型コロナウイルス第2波はベルギーでも始まっているが、サンロッシュの激坂には例年通り大勢の観客が来ていた

リエージュ~バストーニュ~リエージュ公式サイト