雨のジロ・デ・イタリア2020 第12ステージはエクアドルのナルバエスが逃げ切り区間初優勝

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イタリアで開催中の第103回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、10月15日にマルコ・パンターニの故郷チェゼナーティコがスタートとゴールの第12ステージ(204km)を競い、エクアドルのジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアズ)が冷たい雨の中を独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア2020

区間優勝したナルバエスはゴールでレインジャケットのファスナーを開け、グレナディアのロゴを見せた

区間2位に入ったウクライナのマルク・パドゥン(バーレーン・マクラーレン)は、ナルバエスと一緒に逃げていたが、ゴールまで残り25kmでパンクに見舞われ、区間優勝のチャンスを失ってしまった。区間3位にはオーストラリアのサイモン・クラーク(EFプロサイクリング)が入った。

過酷な丘越え区間メイン集団は20人ほどに減り、8分25秒遅れでゴールしたが、マリア・ローザを着たポルトガルのジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)を筆頭に、総合トップ10の選手たちはほぼ顔を揃えていた。アルメイダはこの日、ジロで10日間マリア・ローザを守った選手の仲間入りを果たした。

 
冷たい雨のステージ

カテゴリー3と4の丘を5カ所越える第12ステージは144選手が出走。スタートからアタックと吸収が続き、ナルバエスを含めた13人が逃げ出したのはスタートして22km走った後だった。集団はこの逃げを許し、50km地点でタイム差は10分を超えていた。

レースは中盤から雨が降り出した。この日4つ目の峠だったカテゴリー3のマッドンナ・ディ・プリヤーノを越えた後、ゴールまで残り58kmの下りで先頭の逃げからクラークがアタックしたが、ナルバエスとパドゥンが追いつき、彼を追いて2人でゴールを目指した。

メイン集団はマッドンナ・ディ・プリヤーノ峠でNTTプロサイクリングが先頭を引き、クラークがアタックした頃にはたった21人に減っていた。しかし、マリア・ローザのアルメイダには、ドゥクーニンク・クイックステップのチームメートたちがまだ3人付いていた。

総合上位の選手が揃っていたマリア・ローザの集団では、ヤコブ・フルサン(アスタナプロチーム)が機材故障で自転車を交換しなければならなかったが、無事ライバルたちに追いつく事ができた。

最後のカテゴリー4の丘を越えた時、ナルバエスとパドゥンはクラークに2分10秒、マリア・ローザの集団には6分52秒差を付けていた。ゴールまで残り25kmの下り坂で、先頭を走っていたパドゥンはパンクに見舞われ、自転車を交換しなければならなくなった。

ジロ・デ・イタリア2020

パドゥンは不運なパンクで勝機を失った

そこからナルバエスは雨の中を単独でゴールを目指した。パドゥンは残り11kmで10秒差にまでナルバエスを追い詰めたが、そこで力尽き、タイム差は広がる一方になった。ナルバエスは結局、パドゥンに1分以上のタイム差を付けてゴール。フィニッシュラインではレインジャケットのファスナーを開け、グレナディアのロゴマークをしっかり見せていた。

総合リーダーのゲラント・トーマス(英国)を序盤の落車事故で失っていた英国のイネオス・グレナディアズは、第1ステージと第5ステージを制したフィリッポ・ガンナに続き、ナルバエスの優勝で今大会区間3勝になった。

マリア・ローザの集団では、最後のカテゴリー4の丘でドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(NTTプロサイクリング)が先頭を引いたが、ライバルたちを蹴落とす事はできなかった。彼らはゴールでもスプリントを競い、最後の最後まで気を抜くことがなかった。

ジロ・デ・イタリア2020

スプリントでゴールしたマリア・ローザ集団

■ジロ区間初優勝した23歳のナルバエスのコメント
「ボクはジロ・デ・イタリアの良いステージで勝った。幸いボクは雨も寒さも問題ない選手だ。長いステージだったけど、やり遂げた! パドゥンがパンクした時、監督からちょっと待つようにと言われたが、レースの最中でアドレナリンが出ていて、区間優勝を目指して行くように感じていた。十分に補給していたから、残り10kmの飲食は十分だった。困難な1年だった。我々は長い間家に居たから、本当にジロを楽しんでいる。本当に素晴らしいレースだ」

ジロ・デ・イタリア2020

エクアドルのナルバエスが雨の中を独走で逃げ切った

■マリア・ローザを10日間守ったアルメイダのコメント
「この区間は過酷だった。レース中ほとんど雨で寒く、ほぼ6時間のレースだった。精神面で我々は強くなければならず、このための準備ができていなければならなかった。今日の区間優勝者も(自分が所属していた)アクセル・メルクスの養成チーム出身で、そのチームはボクにとってワールドツアーへの正しいステップだった。このチームが今後も才能ある選手を育て続ける事を願っているよ」

ジロ・デ・イタリア2020

アルメイダはこれで10日間マリア・ローザを守った

 
■第12ステージ結果[10月15日/チェゼナーティコ~チェゼナーティコ /204km]

1. NARVAEZ Jhonatan (INEOS GRENADIERS / ECU) 5:31:24
2. PADUN Mark (BAHRAIN – MCLAREN / UKR) +1:08
3. CLARKE Simon (EF PRO CYCLING / AUS) +6:50
4. ROSSKOPF Joseph (CCC TEAM / USA) +7:30
5. PELLAUD Simon (ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC / SUI) +7:43
6. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES / USA) +8:25
7. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +8:25
8. GUERREIRO Ruben (EF PRO CYCLING / POR) +8:25
9. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) +8:25
10. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +8:25
11. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +8:25
12. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +8:25
13. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +8:25
16. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +8:25
17. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +8:25
18. HONORÉ Mikkel (DECEUNINCK – QUICK – STEP / DEN) +8:25
20. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +8:25
21. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +8:25
22. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +8:25
101. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +30:31

■第12ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) 49:21:46
2. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +34
3. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +43
4. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +57
5. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:01
6. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +1:15
7. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +1:19
8. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +1:21
9. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +1:36
10. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +2:20
90. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +1:40:02

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):GUERREIRO Ruben (EF PRO CYCLING / POR)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR)
(※第13ステージは HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) が着用)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)

ジロ・デ・イタリア2020

ジロ・デ・イタリア公式サイト