ジロ・デ・イタリア2020 第14ステージの個人TTはガンナが3勝目/アルメイダがマリア・ローザを守った
イタリアで開催中の第103回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、10月17日にコネリャーノからバルドッビアーデネまでの34.1kmで、個人タイムトライアルの第14ステージを競い、イタリア出身でTT世界チャンピオンのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)が、今大会3勝目となる勝利を修めた。
区間2位は26秒遅れでオーストラリアのローハン・デニス(イネオス・グレナディアズ)、3位には1分9秒遅れで米国のブランドン・マックナルティ(UAEチーム・エミレーツ)が入った。
未経験の長距離個人タイムトライアルにマリア・ローザを着て挑んだポルトガルのジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、TT世界チャンピオンのガンナに1分31秒遅れの区間6位でゴール。彼は前日までの総合トップ10の中で最も上位に入り、総合首位の座を守った。
総合2位のウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)は、アルメイダよりも16秒遅く、総合でのタイム差は56秒になった。第13ステージ終了時点で2分45秒遅れの総合11位だったマックナルティは、個人タイムトライアルの好成績で総合4位まで成績を上げている。彼は新人賞総合で2位になり、第15ステージはマリア・ビアンカを着ることになった。
追加のPCR検査は全員陰性
選手やスタッフの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性が相次いだ事を受けて、米国のEFプロサイクリングは10月15日に国際自転車競技連合(UCI)、主催者のRCSスポルト、チーム関係者に対し、今年のジロを短縮し、2度目の休養日で終了するように提案したが、これはUCIによって却下された。
この騒動を受けて、RCSスポルトは15日と16日に選手とスタッフを対象に追加のPCR検査を行った。17日の第14ステージのスタート前に、UCIとRCSスポルトは512件の検査が全て陰性だったと共同発表を出している。次の検査は予定通り、10月19日の2度目の休養日に行われる。
チッコーネが不出走
第14ステージの個人タイムトライアルは142選手が出走したが、イタリアのジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)は、急性気管支炎でスタートしなかった。彼は8月末の検査で新型コロナウイルスに感染している事が判明し、9月のティレーノ~アドリアーティコ(UCIワールドツアー)に参加できなかった。
チーム発表によれば、チッコーネはジロ開幕以来、新型コロナウイルスの検査では全て陰性で、17日の朝に病院で受けた検査でも陰性だったという。チームドクターは「チッコーネは9月に新型コロナウイルス感染症で苦しんだ。彼の体調はジロに参加するのには十分ではあるが、最適ではない。過去の困難な日々が影響した。既に疲労した肉体を過負荷にする事は避けた」と、説明している。
チッコーネは昨年のジロで区間1勝し、山岳賞のマリア・ローザも受賞していた。総合優勝を目指すチームリーダーのヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)は、厳しい山岳ステージを前に重要なアシストを失ってしまった。
10月18日の日曜日は、3つのカテゴリー2の峠を越えた後、標高1290mでカテゴリー1のピアンカバッロ頂上にゴールする第15ステージが行われる。ドロミテ山塊のスキーリゾートであるピアンカバッロは全長14.5kmで、平均勾配は7.8%、中盤に14%の難所がある。
■今大会区間3勝目を上げたガンナのコメント
「確かに今日はパレルモ(第1ステージ)よりも難しいタイムトライアルだった。レースは40分以上あったし、丘もあったからね。だからまた勝てたのを誇りに思う。論理的には、ゲラント・トーマスがまだレースに居れば、ボクのジロは異なったものになっていただろう。でも、彼が落車して以来、チームとして行ってきた事には満足している。誰もトップ10に入らなかった日はなかった。ローハン・デニスのような別の偉大なリーダーがチームに居るのは良い事だ。我々は友達だが、(個人TTで)背中にゼッケンが付いた時は、ライバルになるのさ」
■長距離個人TTでマリア・ローザを守ったアルメイダのコメント
「思ったよりもタイムが稼げた。実際にはウィルコ・ケルデルマンに対していくらかのタイムを失い、ヴィンチェンツォ・ニバリのタイムに近づくだろうと思っていた。だから、とてもリラックスして、プレッシャーの全くない山岳を楽しみにする事ができる。計画があって、それは今日報われた。上りでは踏み続け、下りでは少し休むように努力した。中盤ではちょっと苦しんだけど、それも計画の一部だった。これは今までで最も長い個人タイムトライアルだった」
■第14ステージ結果[10月17日/コネリャーノ~バルドッビアーデネ/34.1km(個人TT)]
1. GANNA Filippo (INEOS GRENADIERS / ITA) 42:40
2. DENNIS Rohan (INEOS GRENADIERS / AUS) +26
3. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES / USA) +1:09
4. DE GENDT Thomas (LOTTO SOUDAL / BEL) +1:11
5. ČERNÝ Josef (CCC TEAM / CZE) +1:16
6. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) +1:31
7. KANGERT Tanel (EF PRO CYCLING / EST) +1:33
8. CASTROVIEJO NICOLAS Jonathan (INEOS GRENADIERS / ESP) +1:44
9. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +1:47
10. TRATNIK Jan (BAHRAIN – MCLAREN / SLO) +2:00
16. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +2:37
22. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +2:53
23. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:54
27. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +3:01
29. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +3:13
33. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +3:31
34. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +3:39
72. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +5:39
■第14ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) 54:28:09
2. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +56
3. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +2:11
4. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES / USA) +2:23
5. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:30
6. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +2:33
7. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +2:33
8. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +3:11
9. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +3:17
10. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +3:33
12. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +4:08
93. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +1:57:36
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):GUERREIRO Ruben (EF PRO CYCLING / POR)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR)
(※第15ステージは MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES / USA) が着用)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)