ジロ・デ・イタリア2021第9ステージはベルナルが制して総合首位
イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月16日にカステル・ディ・サングロから、標高1655mでカテゴリー1のカンポ・フェリーチェ(ロッカ・ディ・カンビオ)頂上までの158kmで、アペニン山脈山岳区間の第9ステージを競い、コロンビアのエガン・ベルナル(イネオス・クレナディアズ/24歳)が独走でゴールし、グランツールの区間で初優勝を果たした。
総合リーダーのマリア・ローザを着ていたハンガリーのアティラ・ヴァルタ(グルパマ・FDJ)は、49秒遅れでゴール。ベルナルが総合首位に立ち、マリア・ローザに初めて袖を通した。
アペニン山脈越えでフランスのブシャールが健闘
第9ステージは175選手が出走。ポーランドのトマシュ・マルチンスキー(ロット・スーダル)がスタートしなかった。チーム発表によれば、彼は頭痛、不眠、めまいといった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症に苦しんでおり、安全上の理由とさらなる検査のため、チームドクターが彼を棄権させる事にしたという。
いくつもの峠を越えた第9ステージは、スタートから激しく動き、地元出身のダリオ・カタルド(モビスターチーム)、ジョフレ・ブシャール(AG2R・シトロエンチーム)、山岳賞のマリア・アッズーラを着たジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス)らがアタックを試みた。
最初に越えた35.6km地点のパッソ・ゴーディ峠(カテゴリー2)はマリア・アッズーラのメーダーが先頭で通過した。集団では下りでマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)が落車し、そのまま救急車で搬送されてレースをリタイアした。パッソ・ゴーディ峠を3番手で通過したフランスのブシャールは単独で先頭を逃げ続けたが、61km地点で吸収された。
2つ目に越えたカテゴリーのない峠でサイモン・カー(EFエデュケーション・NIPPO)がアタックし、17人の逃げグループが形成された。ここにまたブシャールが加わっていた。彼はカテゴリー3のフォルカ・カルーゾ峠を先頭で通過した。
ゴールまで残り30kmのオヴィンドリ峠で、先頭の逃げではアタックがスタートし、山頂まで残り2kmでカーが先行し、ブシャールが追いついた。カテゴリー2の山頂はブシャールが先頭で通過し、彼は山岳賞総合で首位になった。
ゴールのカンポ・フェリーチェへと向かう残り9.5kmで、カーが遅れて先頭はブシャールだけになった。イネオス・グレナディアズが引く集団は2分後方だった。最後の登坂が始まり、残り3.3kmで長いトンネルに突入。残り2kmでトンネルを抜けた時、ブシャールはまだ単独で逃げていたが、すぐ後方にクーン・ボーマン(ユンボ・ヴィスマ)が迫っていた。
未舗装路でベルナルがアタック
残り1.6kmで未舗装路の茶色い土の道がスタートし、フラム・ルージュの手前でボーマンは先頭のブシャールに追いついた。しかし、その後方にはジャンニ・モスコン(イネオス・グレナディアズ)が引くメイングループが迫っていた。トンネルに入る前には後方で何とか残っていたマリア・ローザのヴァルタの姿は、すでにそのグループにはなかった。
そこからアタックしたベルナルは、残り300mで先頭の2人を追い抜いた。ジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレート)が彼のアタックに反応したが、すぐに引き離されてしまった。ベルナルは未舗装路を疾走し、単独でフィニッシュラインを通過。10秒のボーナスタイムも獲得した。
7秒遅れでチッコーネとアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プルミエテック)が続き、前日まで11秒遅れの総合2位だったレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、10秒遅れの区間4位になり、ボーナスタイムは獲得できなかった。
■今年最初のカテゴリー1頂上ゴールを制してマリア・ローザを着たベルナルのコメント
「精神的にも肉体的にも、難しい2年間だった。再び勝つ事は、ボクにとってもチームにとっても重要だった。(ゴールでは)まだ前に選手が居ると思っていた。完全に集中していた。自分の世界に入っていたんだ。自分が勝ったと告げられて、とても感動した。
最後の1.5kmの未舗装路は、純粋な苦しみの4分間で、他の選手は見ていなかった。ボクはまだ背中に問題を抱えている。各ステージの前後に理学療法を受けている。今はただ、この勝利とマリア・ローザを楽しみたいよ」
■第9ステージ結果
[5月16日/カステル・ディ・サングロ(ロッカ・ディ・カンビオ)~カンポ・フェリーチェ/158km]
1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 4:08:23
2. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +7
3. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +7
4. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +10
5. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +10
6. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +12
7. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +12
8. SOLER Marc (MOVISTAR TEAM / ESP) +12
9. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +12
10. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +12
12. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +12
14. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +12
21. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +35
25. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) +49
60. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +5:14
■第9ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 35:19:22
2. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +15
3. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +21
4. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +36
5. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) +43
6. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +44
7. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +45
8. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +51
9. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +55
10. FORMOLO Davide (UAE TEAM EMIRATES / ITA) +1:01
13. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +1:20
16. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:12
95. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +1:00:51
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MERLIER Tim (ALPECIN-FENIX / BEL)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUCHARD Geoffrey (AG2R CITROEN TEAM / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
※第10ステージは EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) が着用
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)
第10ステージはラクイラがスタート
5月17日は、2009年の地震で大きな被害を受けたアブルッツォ州のラクイラから、ウンブリア州のフォリーニョまでの139kmで第10ステージが行われる。