ジロ・デ・イタリア2021第14ステージはフォルトゥナートが初優勝
イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月22日にチッタデッラから標高1730mでカテゴリー1のゾンコラン山頂までの205kmで第14ステージを競い、地元イタリアのロレンツォ・フォルトゥナート(エオロ・コメータ サイクリングチーム)が独走で逃げ切り、グランツール初参加で区間初優勝の大金星を上げた。
区間2位はスロベニアのヤン・トラットニック(バーレーン・ヴィクトリアス)、3位はイタリアのアレッサンドロ・コーヴィ(UAEチーム・エミレーツ)だった。
マリア・ローザを着たコロンビアのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)は、ライバルたちよりも先行してゴールし、総合成績でのリードを広げた。
昨年総合2位のヒンドリーが不出走
第14ステージは161選手が出走。デーヴィッド・デッケルとディラン・フルーネウェーヘン(ユンボ・ヴィスマ)、ジャイ・ヒンドリー(チームDSM)がスタートしなかった。オーストラリアのヒンドリーは昨年総合2位になったが、今年は第13ステージ終了時点で17分42秒遅れの総合25位だった。
ゾンコランを目指すステージは、スタート直後からアタックが続き、すぐに11人の逃げ集団が形成された。フォルトゥナートはここにチームメートのヴィンチェンツォ・アルバネーゼと一緒に加わっていた。総合成績が最も上位のジョージ・ベネット(ユンボ・ヴィスマ)でも11分21秒遅れの総合23位だったため、集団はこの逃げを許した。残り134kmで、逃げと集団のタイム差は7分20秒に開いていた。
ゴールまで残り58kmのフォルカ・モンテ・レスト峠(カテゴリー2)は、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)が先頭で通過。集団はアスタナ・プルミエテックが先頭を引き、まだ7分以上後方を走っていた。
14km続くゾンコラン山のふもとで、9人に減った逃げグループはまだ6分以上のタイム差を持っていた。雨はさほど強くはなかったが、予報通りに降っていた。上りが始まり、残り11kmで逃げグループからトラットニックがアタックし、10数秒差を付けて独走を続けた。1km先で後続グループからフォルトゥナートがアタックし、先頭のトラットニックを追いかけた。
メイン集団はゾンコランに入るとマリア・ローザを擁するイネオス・グレナディアズが先頭を引き始め、次第に小さくなっていった。第12ステージで終盤にアタックを見せたヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)は、ここでマリア・ローザ集団には残れなかった。
先頭では、ゴールまで残り7kmでフォルトゥナートがトラットニックに追いついた。ゾンコラン山の斜面にはまだ雪が残り、山頂の気温は4℃しかなかった。ゴールまで残り2.3kmで、フォルトゥナートがアタックし、トラットニックは付いて行けなかった。マリア・ローザの集団は、まだ3分半後方だった。
フォルトゥナートは最大27%の傾斜を必死で上り、ゴールまで600mでトラットニックが後方に迫ってきたが、何とか逃げ切り、ジロ初参加のUCIプロチームであるエオロ・コメータ サイクリングチームに初区間優勝をもたらした。
フォルトゥナートが残り1kmのフラム・ルージュを通過していた頃、3分後方のマリア・ローザ集団からはサイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)がアタックしたが、すぐにマリア・ローザのベルナルが付いて行った。2人はそのままゴールを目指し、最後はベルナルがイェーツを置き去りにし、区間4位でゴールした。
イェーツの攻撃でマリア・ビアンカを着たロシアのアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プルミエテック)は遅れてしまい、総合2位から4位へと後退した。ゾンコランでアタックしたイェーツは、総合5位から2位に浮上したが、マリア・ローザのベルナルとのタイム差は1分33秒に開いてしまった。
■ゾンコラン区間優勝の大金星をチームにもたらしたフォルトゥナートのコメント
「自分が今成し遂げた事を完全には理解できていない。調子が良いのはわかっていたから、今朝は本当に逃げに加わりたかった。チームメートのアルバネーゼが逃げでボクのために一生懸命働いてくれた。彼に感謝しなければならない。最後の3kmが最も厳しいのは知っていた。その理由で、ゾンコランの最後の部分までアタックするのを待ち、それからフィニッシュラインまで全力を出し尽くしたんだ」
■第14ステージ結果[5月22日/チッタデッラ~モンテ・ゾンコラン/205km]
1. FORTUNATO Lorenzo (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA) 5:17:22
2. TRATNIK Jan (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) +26
3. COVI Alessandro (UAE TEAM EMIRATES / ITA) +59
4. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +1:43
5. MOLLEMA Bauke (TREK – SEGAFREDO / NED) +1:47
6. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +1:54
7. BENNETT George (JUMBO-VISMA / NZL) +2:10
8. OLIVEIRA Nelson (MOVISTAR TEAM / POR) +2:18
9. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +2:22
10. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +2:22
11. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +2:22
12. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +2:27
13. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +2:29
14. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +2:37
15. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +2:45
16. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +2:55
18. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +3:11
19. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +3:13
45. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +12:04
86. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +31:45
■第14ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 58:30:47
2. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +1:33
3. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:51
4. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +1:57
5. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +2:11
6. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +2:36
7. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +3:03
8. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +3:52
9. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +3:54
10. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +4:31
19. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +14:25
85. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +1:54:16
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUCHARD Geoffrey (AG2R CITROEN TEAM / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
※第15ステージは VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS)が着用
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)
第15ステージは隣国スロベニアに越境する山岳区間
5月23日はフリウリ・ベネツィア・ジュリア州のグラードから、スロベニア国境の都市ゴリツィアまでの147kmで第15ステージが行われる。コースは一部スロベニアへ越境する。距離は短いが、中盤にカテゴリー4の上りが含まれたサーキットコースを3周するコースになっている。