サイスポ編集部員が雨天のMt.富士ヒルクライムに参戦!
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2020年は新型コロナウイルスの影響により中止。今年は感染症対策を行ったうえで、2021年6月6日(日)に日本最大級のヒルクライムレースである「第17回大会 Mt.富士ヒルクライム(以下、富士ヒル)」が開催された。
今年はその富士ヒルにサイクルスポーツ編集部員の越が急きょ参戦することになった。
大会一週間前に編集長から出場命令が!
大会約一週間前…
編集長:中島「ちょっと富士ヒルに行ってくれない?」
編集部員:越「はい?! はい!」
というわけで、急きょ富士ヒルに参加が決まる(逆らえる訳がない…)。コロナ禍の影響、他のヒルクライムレースでは県外からの参加はご遠慮くださいというものもあり、レイトエントリー締め切りまで出場するか悩んでいたところに声がかかり出場することになった。
本誌「サイクルスポーツ8月号」の締め切りが近く、持ち物の準備が進まず、前日受付の6月5日(土)になってしまったが、車で現地まで行くため必要そうなものは片っ端から持って行くことに。
10時に出発し、13時までに到着して、明日に備えてゆっくりしようと思っていたが、小仏トンネルで大渋滞が発生し、到着が16時になってしまい既に疲労困憊である。
受付会場では自転車の祭典「サイクルエキスポ」が実施
疲労困憊の状態で前日受付の会場に到着。入場するためにはサーモグラフィーによる体温検査とアルコール消毒が必要で、感染対策対策がしっかりと行われていた。手短に受付を済ませて、ホテルでゆっくりしようと思っていたが。なにやら楽しそうなイベントが開催されていたため、色々見て回ることに。会場では最新のバイクの展示と試乗があり、アミノバイタルが補給食を配ってくれていたりと、見て回るのが楽しくて終了時間ギリギリまでいてしまった。
受付を済ませ、明日使う予定の補給食をいくつか購入してホテルに向かう。ホテルに到着後は併設の食堂のほうとうで炭水化物をしっかりと食べ、ゼッケンやジャージの準備に取り掛かる。この日のレース当日の天気予報は気温5℃の雨と、かなりの寒さが予想されたので冬用のジャージを用意して、22時就寝する。
十分な睡眠、事前準備はバッチリ
深夜3時に目が覚める。レース前日は興奮して睡眠が浅いことしかなかったが、今日はなぜかよく眠れた。そして起床時の心拍数は61といつも通り。このいつも通りということがレース当日には凄く大事だと思う。7時スタート予定なので、スタート3時間前に食事を済ますこともでき、時間に余裕を持って準備と会場入りができた。食事は過去の富士ヒルで約1000kcalほど消費していたので、当日はスタート3時間前にコンビニパスタ、グラノーラなどで計600kcalほど、スタート前にゼリー系補給食1個150kcalを摂取。ボトルの水に前日受付の会場で購入したパラチノース2本150kcalを溶かし、レース中の補給食としてアミノバイタルのパーフェクトエネルギー3個450kcalを用意した。計1350kaclほどの摂取予定となったが、少し余裕を持った方がいいと考えてこれくらいにした。
ここまで準備をして安心と思いきや、唯一の不安要素があった。それはトイレ大である。今までのレース当日はすべてしてきたし、ヒルクライムなので数百グラムでも軽量化をしたかったが、でないものはでない。結局スタートまでに済ませることはできなかった。
そして肝心のレースの作戦だが、スタートは抑え気味に走り、アベレージでPWR3.0で走る作戦である。正直な所、ブロンズに届くかどうかが今の実力だと思う。
会場入りを果たし、スタートの準備をしていると思ったより暖かい。天気予報を見てみると雨予報は変わらないが気温が五合目でも10℃ほどと、前日の予報よりも暖かくなっていた。夏用ジャージに着替えるか、このまま冬用ジャージで行くか迷った末、冬用ジャージのままにスタートすることに。
四合目あたりから雨風が強くなる
ヒルクライムレースは基本的には「レース(他選手と競い合う)」となるのは上位陣のみ。それ以外は己との闘いとなり、レース展開などはなく、ただ淡々とパワーとケイデンスを意識してゴールに向かうのみ。なのだが、意外とレース中は色々あった。まずは記録計測開始地点が、3~4年前に出場した時の記憶よりも手前だったのである。私の記憶では料金所を過ぎた場所だったが、それより手前の上り坂の途中からだった。思いもよらぬ場所からスタートだったので多少驚いたが、サイクルコンピュータのスタートを押すのが少し遅れたくらいで済んだ。
記録計測開始地点を過ぎ、計測開始のピーという音を聞き、レースが始まったのだと実感した。序盤は抑えるというよりも、周りのスピードに惑わされないように、少し楽と感じるくらいのペースで上っていく。いい感じだ。今までは最初から突っ込み過ぎて後悔することが多かったが、今日はその経験が活かされていた。
順調にPWR3.0前後で上っていき、スタートから一時間経過くらいの四合目辺りからつらくなってきた。さらに雨風が出てきて、パワーは変わらないのにスピードが落ちてきたのである。基本的にペースの合う集団がなく、ここまで1人旅だったが、この風が出てきたタイミングで後ろに1人付いていた。ここは先頭を交代してもらおうと思い、肘をクイクイしてペースを落とすが……交代してくれない。仕方がない、もう少し先頭で走ろう。数分後にまた肘をクイクイするも先頭交代してくれる様子はない。少しは協力して欲しかったので後ろを振り返ったら、その人は千切れていた。気を取り直してゴールに向けてPWR3.0で上っていく。
五合目まで残り1kmほどになると平坦基調になる。ここからペースアップだと意気込んでみるも、脚はすでに限界近くだったようで、急激に疲れが出てしまった。余計なことをしなければよかった。それでもゴール近くは下山待ちの選手が沢山おり、応援をしてくれたので自然とペースが上がった。
そしてゴールフィニッシュ。ゴール後に急に雨が強くなってきたので、急いで着替え下山する。肝心のタイムは1時間36分でブロンズに届かなかった。この一年は思うようにトレーンングが出来なかったという言い訳はあるが、それでもブロンズは欲しかった。これをモチベーションに来年の富士ヒルリベンジに向けてトレーニングを開始だ。
主催者選抜クラスは池田隆人さんがコースレコードで初優勝!
2年ぶりに開催された第17回Mt.富士ヒルクライム。男子は池田隆人さん(Team ZWC)が56:21.56というコースレコードで単独フィニッシュを果たし、富士ヒルを制した。
「自分でも信じられないですが、勝てたことに嬉しく思います。次は8月の乗鞍のレースに向けて頑張ります。」「レースの感想は中盤までは前にいて、強力な逃げが出来たら飛び乗ること、終盤までに逃げが決まらなかった場合は自らアタックして集団から逃げる、逃げが決まらなかったらスプリントで勝負するという作戦で挑みました。」「2人逃げになった時は後方の集団が有利なので正直厳しと考えていましたが、一緒に逃げている加藤さんの走りが力強く、自身の調子も好調だったので、一合目を過ぎたあたりでいけるかもと感じました。」
池田隆人さんが所属するTeam ZWCは日本最強といっても過言ではないズイフトチームであり、最近さまざまなレースでこのチーム名を聞いたことがあると思う。今後も池田隆人さんやTeam ZWCから目が離せない。