ツール・ド・フランス2021第2ステージはファンデルプールが優勝
第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、6月27日にペロス・ギレックからミュール・ド・ブルターニュ(ゲルレダン)までの183.5kmで、カテゴリー3頂上ゴールの第2ステージを競い、ツール初参加のマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス/オランダ)が独走で区間初優勝を果たした。
区間2位はマイヨ・ブランを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)、3位はスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)だった。
第1ステージで区間優勝し、この日マイヨ・ジョーヌを着用していた世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ/フランス)は、8秒遅れの区間5位でゴール。ファンデルプールはボーナスタイムを区間1位で10秒稼いだだけでなく、終盤のボーナス地点でも8秒稼いでいたため、アラフィリップに8秒差を付けて総合首位になり、念願のマイヨ・ジョーヌも獲得した。
ミュール・ド・ブルターニュでファンデルプールが2度アタック
第2ステージは180選手が出走。前日の落車事故で両肘を骨折したスペインのマルク・ソレル(モビスターチーム)がスタートしなかった。11km地点でアントニー・ペレス(コフィディス)、エドワード・トゥーンス(トレック・セガフレード)、サイモン・クラーク(チームクベカ・ネクストハッシュ)、ヨーナス・コッホ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が集団からアタックしてこの日の逃げになった。
18km地点でマイヨ・アポワを着たイーデ・スヘリン(ボーラ・ハンスグローエ)とジェレミー・カボ(トタルエナジーズ)が合流し、逃げは6人になった。48km地点でタイム差は4分になったが、ティム・デクレルク(ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団を引いてコントロールし、タイム差はそれ以上にならなかった。
レース中盤、サン・ブリューの丘の手前で逃げグループからトゥーンスがアタック。ゴールまで残り60kmでカボが追いついたが、他の選手たちは集団に吸収された。集団とのタイム差が30秒を切った残り21.3kmで、先頭からトゥーンスがアタックして独走を開始したが、彼もすぐに吸収され、集団は1つになった。トゥーンスはこの日の敢闘賞を獲得した。
ゴールまで残り17kmで、ミュール・ド・ブルターニュの1回目の登坂がスタート。ここでアタックしたファンデルプールは、そのままボーナスタイムがかけられたコントロールラインを先頭で通過し、8秒を獲得した。
集団はUAEチーム・エミレーツが引き、ポガチャルが2位通過で5秒、ログリッチが3位通過で2秒を獲得。コントロールラインを通過後、ファンデルプールは集団に戻った。集団の先頭はイネオス・グレナディアズがコントロールし、残り2kmで2回目のミュール・ド・ブルターニュの登坂がスタートした。
残り1.3kmで、ナイロ・キンタナ(チームアルケア・サムシック)がアタックしたが、すぐにファンデルプールが反応した。残り1kmのフラム・ルージュを通過した後、今度はイタリアチャンピオンのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタックしたが、それを交わしてアタックしたファンデルプールには、誰も追いつけなかった。
この日はアルペシン・フェニックスの通常チームジャージを着ていたファンデルプールは、そのまま後続に大差を付けてミュール・ド・ブルターニュを駆け上がり、フィニッシュラインでは右手で空を指差し、2019年に他界した祖父レイモン・プリドール(フランス)に勝利を捧げた。
プリドールは60年代から70年代に活躍し、ツール・ド・フランスで総合2位に3回、総合3位に5回なり、区間優勝も7回したが、14回の参加でマイヨ・ジョーヌを着た事は一度もなかった。それを孫のファンデルプールは、初参加のツールで成し遂げたのだ。念願を達成したファンデルプールは優勝インタビューで感極まって咽び泣いていたが、表彰台では満面の笑みを天国の祖父に届けていた。
■念願のツール区間初優勝とマイヨ・ジョーヌを獲得したファンデルプールのコメント
「何よりもまず、これがボクの流儀だ。こういう事は計画なんてできない。ボクは最初の(ミュール・ド・ブルターニュの)上りで得た全ての物でプレイした。これはマイヨ・ジョーヌを得る最後のチャンスだったから、必要だったボーナスタイムを獲得したかった。残り800mでアタックを開始した時、誰も付いてこなかった。だから走り続けた。最後の500mは本当に苦痛だったが、勝つためには全力で行かなければならないと分かっていた。
ゴールして5分経つまで、マイヨ・ジョーヌを獲ったとは知らなかった。こんな風に仕上げるのは素晴らしい事だ。今日は昨日よりもずっと調子が良かった。昨日は多分、ちょっとストレスがあったのかもしれない。残念なことに、祖父はもうここにはいない。でも、彼がここにいたら、どれだけ誇らしく思ってくれたか。ボクは母と何度もそれについて話していたんだ」
■第2ステージ結果
[6月27日/ペロス・ギレック~ミュール・ド・ブルターニュ(ゲルレダン)/183.5 km]
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 4:18:30
2. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +06
3. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +06
4. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +06
5. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +08
6. MOLLEMA Bauke (TREK – SEGAFREDO / NED) +08
7. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +08
8. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +08
9. LATOUR Pierre (TOTALENERGIES / FRA) +08
10. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +08
■第2ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 8:57:25
2. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +08
3. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +13
4. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +14
5. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +24
6. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +26
7. MOLLEMA Bauke (TREK – SEGAFREDO / NED) +26
8. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +26
9. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +26
10. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +26
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED)
(第3ステージは SCHELLING Ide (BORA – HANSGROHE / NED) が着用)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞:THEUNS Edward (TREK – SEGAFREDO / BEL)
第3ステージはスプリント・ステージ
6月28日はロリアンからポンティビーまでの182.9kmで第3ステージが行われる。今年最初の平坦区間で、スプリンターにとっては最初の見せ場になるだろう。