ツール・ド・フランス2021第３ステージはメルリールが初優勝
第108回ツール・ド・フランス（ＵＣＩワールドツアー）は、６月28日にロリアンからポンティビーまでの182.9 kmで、平坦区間の第３ステージを競い、ベルギーのティム・メルリール（アルペシン・フェニックス）が集団ゴールスプリントを制し、区間初優勝した。
メルリールがジロに続いてツールでも区間初優勝した(©Bettiniphoto)
区間２位はメルリールを最後まで牽引したベルギーのヤスペル・フィリプセン（アルペシン・フェニックス）、３位はフランスのナセル・ブアニ（チームアルケア・サムシック）だった。
マイヨ・ジョーヌを着ていたオランダのマテュー・ファンデルプール（アルペシン・フェニックス）は、メルリールのために残り1kmまで集団を引き、区間７位でゴールして総合首位の座を守った。彼はチームメートの勝利を祝福するために、右手を上げながらフィニッシュラインを通過した。
メルリールの勝利に貢献したマイヨ・ジョーヌのファンデルプール(©Bettiniphoto)
第３ステージは序盤と終盤に落車事故が相次ぎ、オランダのロベルト・ヘーシンク（ユンボ・ヴィスマ）とオーストラリアのジャック・ヘイグ（バーレーン・ヴィクトリアス）が途中リタイアした。集団ゴールスプリントでは、区間優勝候補だったオーストラリアのケイレブ・ユアン（ロット・スーダル）が残り150mで転倒。彼はそのまま救急車で搬送され、右の鎖骨を骨折したと発表されている。
落車事故が続出
●第3ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)
第３ステージは180選手が出走。最初の1kmでイェーレ・ワライス（コフィディス）、ミヒャエル・シャール（ＡＧ２Ｒ・シトロエンチーム）、イーデ・スヘリン（ボーラ・ハンスグローエ）、マキシム・シュヴァリエ（Ｂ＆Ｂホテルズ・P/B ＫＴＭ）、シリル・バルト（Ｂ＆Ｂホテルズ・P/B ＫＴＭ）がアタックし、この日の逃げグループになった。５人は13km地点で3分15秒差を付けていた。
集団では37km地点で大きな落車事故が発生し、ヘーシンクがリタイアした。肩を負傷したゲラント・トーマス（イネオス・グレナディアズ）はレースを続行し、チームメートたちの助けで集団に戻る事ができた。
91.1km地点のカドゥダルの丘（カテゴリー4）は、山岳賞総合で首位のファンデルプールと、同ポイントの２位でマイヨ・アポワを着ていたスヘリンが先頭で通過し、1ポイントを獲得した。これで山岳賞総合首位に返り咲いたスヘリンは集団に戻った。
118.3km地点の中間スプリント地点で、タイム差は1分に縮まっていた。狭くうねったブルターニュ地方特有の田舎道で、終盤は落車事故が続出。ゴールまで残り10kmでは、プリモシュ・ログリッチ（ユンボ・ヴィスマ）が転倒した。彼はすぐにレースを続行したが、1分先行した集団を追い続けなければならなくなった。
逃げグループはゴールまで残り5.3kmで捕まり、集団はゴールスプリントに向けてさらに加速した。残り4.1kmの左コーナーでまた落車が発生し、大勢の選手が足止めを食らってしまった。その中にはタデイ・ポガチャル（ＵＡＥチーム・エミレーツ）やアルノー・デマール（グルパマ・ＦＤＪ）も含まれていた。この事故では、ヘイグがレースを棄権した。
落車を免れた集団は、ブレント・ヴァンムール（ロット・スーダル）が先頭を引き続けた後、残り2kmからはマイヨ・ジョーヌのファンデルプールが先頭に立ち、そのスピードにチームメートたちが置いていかれそうになる場面もあった。
残り1kmでファンデルプールは仕事を終え、ヨナス・リカールト（アルペシン・フェニックス）が残り500mまでそれを引き継いだ。アルペシン・フェニックスは完璧な列車でメルリールをゴールまで運び、最後は残り150mのカーブで、フィリプセンの後ろからメルリールがスパートした。
その後方に付いていこうとしたユアンは転倒し、すぐ左側を走っていたペテル・サガン（ボーラ・ハンスグローエ）を巻き込んでしまった。辛くも難を逃れたブアニがスプリントを続けたが、アルペシン・フェニックスのワンツーフィニッシュを阻む事はできなかった。
ツール初参加で区間初優勝したメルリールは、５月にジロ・デ・イタリア（ＵＣＩワールドツアー）でも区間初優勝していて、これで早くも２つのグランツールで区間優勝したスプリンターになった。
■ツール区間初優勝したメルリールのコメント
「これは今までの競技キャリアで最大の勝利だ。夢が叶った。ジロ・デ・イタリアで勝った後、ボクはもう幸せだった。今は世界最大のレースで区間優勝した。ただ信じられない。ファンデルプールはあんな風に引いてくれた。彼はああするのが大好きなんだ。フィリプセンは最後の700mで素晴らしい仕事をしてくれて、ボクはただ150mでスパートするだけで済んだ。誰も付いて来なかったのには驚いた。でも、落車があったと聞いて、そのせいだと思う。我々アルペシン・フェニックスにとって、このツールはもうすでに成功だ。パリに到着して、シャンゼリゼでの勝利を競いたいね」
ファンデルプールがマイヨ・ジョーヌを守った
■第３ステージ結果［６月28日／ロリアン～ポンティビー／182.9 km］
1. MERLIER Tim (ALPECIN-FENIX / BEL) 4:01:28
2. PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
3. BOUHANNI Nacer (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA)
4. BALLERINI Davide (DECEUNINCK – QUICK-STEP / ITA)
5. COLBRELLI Sonny (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
6. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA)
7. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED)
8. BOL Cees (TEAM DSM / NED)
9. TURGIS Anthony (TOTALENERGIES / FRA)
10. WALSCHEID Maximilian Richard (TEAM QHUBEKA NEXTHASH / GER)
35. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +26
48. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +26
92. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +01:21
■第３ステージまでの総合成績（マイヨ・ジョーヌ）
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 12:58:53
2. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +08
3. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +31
4. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +31
5. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +38
6. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +39
7. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +40
8. QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) +40
9. LATOUR Pierre (TOTALENERGIES / FRA) +45
10. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +52
18. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +01:07
20. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +01:35
［各賞］
■ポイント賞（マイヨ・ベール）：ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA)
■山岳賞（マイヨ・アポワ）：SCHELLING Ide (BORA – HANSGROHE / NED)
■新人賞（マイヨ・ブラン）：POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績：BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞：SCHÄR Michael (AG2R CITROEN TEAM / SUI)
第４ステージは山岳ポイントのない平坦区間
●第4ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)
６月29日は今年のグラン・デパール（開幕地）になったフランス北西部ブルターニュ地方の最終日で、ルドンからフジェールまでの150.4 kmで、山岳ポイントが１つもない平坦区間の第４ステージが行われる。
