ツール・ド・フランス2021第4ステージはカヴェンディッシュが復活優勝!
第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、6月29日にルドンからフジェールまでの150.4kmで、平坦区間の第4ステージを競い、英国のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団ゴールスプリントを制し、2016年以来、5年ぶりで区間優勝した。
これでカヴェンディッシュは、36歳でツール区間通算優勝数を31勝に増やし、ベルギーのエディ・メルクスが持つ最多区間優勝記録の34勝まであと3勝になった。彼はこの区間優勝でポイント賞総合首位になり、マイヨ・ベールも獲得している。
区間2位はフランスのナセル・ブアニ(チームアルケア・サムシック)、3位はベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)だった。マイヨ・ジョーヌはオランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)が守った。
ヴァンムールが残り200mで吸収された
第4ステージは177選手が出走。前日のゴールスプリントで転倒し、右鎖骨を骨折したオーストラリアのケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)がスタートしなかった。この日集団は、レースの安全を訴えるために、1km地点で1分間止まる抗議行動を行った。
10km地点でブレント・ヴァンムール(ロット・スーダル)がアタックし、ピエールリュック・ペリション(コフィディス)とともにこの日の逃げになった。2人は25km地点で2分40秒差を付けたが、集団はすぐにドゥクーニンク・クイックステップのティム・デクレルクがコントロールを開始し、差は広がらなかった。
114km地点の中間スプリント地点はヴァンムールが先頭で通過。集団は1分20秒後にカヴェンディッシュが先頭で通過し、ポイント賞のポイントを稼いだ。ゴールスプリントに向けて、集団はアルペシン・フェニックスやイネオス・グレナディアズが引き続け、ゴールまで残り16.4kmで逃げのタイム差は30秒を切っていた。
先頭ではまずペリションが仕掛けたが、ヴァンムールはそれを許さなかった。そしてゴールまで残り14kmで、今度はヴァンムールがアタックし、ペリションはついて行けなかった。ヴァンムールは一旦30秒を切ったタイム差を再び1分以上にして独走を続けた。
集団はドゥクーニンク・クイックステップだけでなく、トレック・セガフレードやチームDSMが必死に引き、フラムルージュの手前でヴァンムールを視界に捉えた。集団では、マイヨ・ベールを着た世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭を引く場面もあった。
ヴァンムールは1カ月前に開催されたクリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)の初日に逃げ切って区間優勝していたが、ツールでは残り200mで集団に飲み込まれてしまった。しかし、彼はこの日の敢闘賞を獲得できた。
逃げを捉えた集団は、チームからこの日のエースを任されていたフィリプセンが、残り200mでスパートしたが、それを後方から抜き去ったカヴェンディッシュが車体1つ分の差を付け、ガッツポーズでフィニッシュラインを通過した。その姿は、2015年のツール・ド・フランス第7ステージでフジェールがゴールになった時、彼が優勝した姿とそっくりだった。
現在36歳のカヴェンディッシュは、ここ数年勝ち星に恵まれていなかった。昨秋は所属していたバーレーン・マクラーレンとの契約更新ができず、10月のヘント~ウェヴゥルヘム(UCIワールドツアー)では、レース後のインタビューで引退を示唆する言葉まで口にしていた。しかし、彼は古巣のドゥクーニンク・クイックステップと契約する事ができ、今シーズンはツアー・オブ・ターキーで久々の勝利を上げていた。
それでもカヴェンディッシュは、今年のツールへの参加が元々決まっていた訳ではなかった。昨年のツールで区間2勝してポイント賞も受賞したアイルランドのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)の怪我が開幕までに回復しなかったため、彼は代わりでメンバー入りしていたのだ。
ツール序盤で5年ぶりの区間優勝を果たしたカヴェンディッシュは、ゴール地点でチームメートやスタッフ一人一人と長い時間をかけてハグし、その喜びをじっくり味わっていた。
■ツールで区間通算31勝目を上げたカヴェンディッシュのコメント
「ここに居るだけで特別だ。このレースにはもう戻って来られないだろうと思っていたんだ。ただただチーム全体に感謝している。最後の数kmで発射台のバッレリーニを失ってしまったが、マイヨ・ベールを着た世界チャンピオン(アラフィリップ)が自らボクのために働いてくれた。このチームはどんなチームか分かるだろう。たくさんの人たちがボクを信じてくれている。
世界最高の選手たちが揃っているドゥクーニンク・クイックステップに入ったら、ここに来るのは難しいだろうと分かっていた。他人に悪い事が起きるのを望むなんて決してしない。以前それが自分に起きたからね。あきらめない事だ。それは困難な状況を経験している全ての人たちへのメッセージだ。いつでもカムバックできるよ。あきらめないで。それがボクのメッセージだ」
■第4ステージ結果[6月29日/ルドン~フジェール/150.4 km]
1. CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR) 3:20:17
2. BOUHANNI Nacer (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA)
3. PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
4. MATTHEWS Michael (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS)
5. SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE / SVK)
6. BOL Cees (TEAM DSM / NED)
7. LAPORTE Christophe (COFIDIS / FRA)
8. PEDERSEN Mads (TREK – SEGAFREDO / DEN)
9. VAN POPPEL Boy (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NED)
10. GREIPEL André (ISRAEL START-UP NATION / GER)
11. COLBRELLI Sonny (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
12. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED)
■第4ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 16:19:10
2. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +08
3. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +31
4. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +31
5. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +38
6. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +39
7. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +40
8. QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) +40
9. LATOUR Pierre (TOTALENERGIES / FRA) +45
10. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +52
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):SCHELLING Ide (BORA – HANSGROHE / NED)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞:VAN MOER Brent (LOTTO SOUDAL / BEL)
第5ステージは27.2kmの個人タイムトライアル
6月30日はペイ・ド・ラ・ロワール地方のシャンジェからラヴァル(エスパス・マイエンヌ)までの27.2kmで、今年最初の個人タイムトライアル区間となる第5ステージが行われる。コースは山岳ポイントがなく平坦だ。