ツール・ド・フランス2021第6ステージはカヴェンディッシュが2勝目!
第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月1日にトゥールからシャトールーまでの160.6kmで、平坦な第6ステージを競い、マイヨ・ベールを着た英国のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団ゴールスプリントを制し、第4ステージに続いて今大会区間2勝目を上げた。
シャトールーは奇しくもカヴェンディッシュが、2008年にツールで初めて区間優勝した町で、彼は2011年にもここで区間優勝していた。その両方とも、彼は両手でヘルメットを抱えるポーズでゴールしていたのだが、それを再現するように、この日も同じポーズを見せていた。
これでカヴェンディッシュのツール区間通算優勝数は32勝になり、ベルギーのエディ・メルクスが持つ34勝の最多区間優勝記録まで、あと2勝になった。
区間2位はベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)、3位はフランスのナセル・ブアニ(チームアルケア・サムシック)だった。マイヨ・ジョーヌはオランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)が守り、着用日数は5日になった。
五輪チャンピオンが逃げた
第6ステージは177選手が出走。前日に行われた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査は、全員が陰性だった。オフィシャルスタートからオリヴェル・ナーセン(AG2R・シトロエンチーム)がアタックしたが、2kmで捕まってしまった。
続いてグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(AG2R・シトロエンチーム)ら8選手が逃げ出したが、ここにはヨナス・リカールト(アルペシン・フェニックス)やカスパ・アスグレーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が加わっていたため、グルパマ・FDJが集団を引き、タイム差は一向に広がらず、17km地点で50秒だった。
集団はチームアルケア・サムシックも引き始め、30kmでタイム差は15秒になった。ここで先頭からヴァンアーヴェルマートがアタックし、独走で逃げる決断をした。他の7選手は集団に吸収されたが、ロジャー・クルーゲ(ロット・スーダル)がアタックし、42km地点で先頭のヴァンアーヴェルマートに合流した。
2人の逃げを集団は容認し、50km地点でタイム差は2分に開いた。しかし、先頭はいつものようにティム・デクレルク(ドゥクーニンク・クイックステップ)がコントロールして、それ以上には開かなかった。
104.3km地点の中間スプリント地点は、ヴァンアーヴェルマートが先頭で通過。集団ではポイント賞のポイントを争うスプリント合戦があり、イタリアチャンピオンのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過した。スプリントの直後、カヴェンディッシュにぶつかりそうになったブアニに対して、コルブレッリが抗議する一幕があった。
中間スプリント地点で逃げと集団のタイム差は一時30秒にまで縮まったが、ゴールまではまだ50km以上あり、その差は再び1分近くにまで開いた。しかし、集団はドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックスが引き、ヴァンアーヴェルマートとクルーゲはゴールまで残り2.5kmで吸収された。2016年のリオ五輪ロードレースで優勝したヴァンアーヴェルマートは、この日の敢闘賞を獲得した。
ゴールスプリントに向けて、集団の先頭はアルカンシエルのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が引く場面もあった。そこからダヴィデ・バッレリーニが引くドゥクーニンク・クイックステップの列車と、マイヨ・ジョーヌのファンデルプールが引くアルペシン・フェニックスの列車が2本形成され、残り1kmに突入した。
最後は2本の列車が合流し、第4ステージと同じようにティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)が先頭を引いてフィリプセンの発射台を務めた。しかし、シャトールーのゴールで無敵のカヴェンディッシュを、フィリプセンは打ち負かす事ができなかった。
■今大会区間2勝目をマイヨ・ベールで勝ち取ったカヴェンディッシュ
「素晴らしかった。ここで勝ってからもう10年も経っていて、また勝てるのはとても特別だ。今日は何年も前と同じやり方で勝った。実際、このホームストレートを知っていた事は役立った。チームミーティングでは、いかに高速の列車が多いかについて話し合い、スプリントをリードするのは難しいだろうという結論に至った。実際、アルペシン・フェニックスは今日最強のスプリント列車だった。最後1kmで、モルコフが道の右側を開けさせてくれたから、ボクは彼らの後方に付けられたんだ。
マイヨ・ベールは明確な目標ではない。ボクがそれを受賞した時(2011年)から大きく変わっている。中間スプリントではとても多くのポイントが獲得できるようになった。それはボクのお気に入りかもしれない。
(メルクスの記録については…)その名前を名前を言わないでくれ!(笑)何も考えていないよ。ただこのツールでいくつかの区間を勝ちたいだけさ。もし、50ステージ以上勝てたら素晴らしいだろう。もし、これが最後だったとしても、それでもいいさ」
■第6ステージ結果[7月1日/トゥール~シャトールー/160.6 km]
1. CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR) 3:17:36
2. PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
3. BOUHANNI Nacer (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA)
4. DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
5. SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE / SVK)
6. BOL Cees (TEAM DSM / NED)
7. MERLIER Tim (ALPECIN-FENIX / BEL)
8. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL)
9. MATTHEWS Michael (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS)
10. PEDERSEN Mads (TREK – SEGAFREDO / DEN)
■第6ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 20:09:17
2. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +08
3. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +30
4. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +48
5. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +01:21
6. LATOUR Pierre (TOTALENERGIES / FRA) +01:28
7. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +01:29
8. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +01:43
9. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +01:44
10. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +01:48
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):SCHELLING Ide (BORA – HANSGROHE / NED)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞:VAN AVERMAET Greg (AG2R CITROEN TEAM / BEL)
第7ステージは後半に丘越えが続く最長区間
7月2日はヴィエルゾンからル・クルゾまでの249.1 kmで、丘越え区間の第7ステージが行われる。今大会最長ステージは後半に5カ所のカテゴリーが付いた丘があり、中でもツール初登場のシニャル・ドゥション(カテゴリー2)はステージ勝者を決する重要なポイントになる可能性がある。
総合首位のファンデルプールは「何人かの選手は、総合成績の事を考えながらレースをするだろう。だからマイヨ・ジョーヌを守るのは簡単ではないだろう」と、語っている。