ツール・ド・フランス2021第7ステージはモホリッチが優勝
第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月2日にヴィエルゾンからル・クルゾまでの249.1kmで今大会最長の第7ステージを競い、スロベニアチャンピオンのマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)が独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。
モホリッチは2017年にブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)、2018年にジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)でも区間優勝していて、これで3大ツアー全てで区間優勝した選手の仲間入りを果たした。
区間2位はベルギーのヤスペル・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)、3位はデンマークのマウヌス・コートニルスン(EFエデュケーション・NIPPO)だった。
マイヨ・ジョーヌを着たオランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)は、ゴール間近で1分40秒遅れの追走グループに追いつき、区間4位でゴール。総合首位の座を守る事ができた。
総合争いの選手たちが居たメイン集団は5分15秒遅れでゴールしたが、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)だけは終盤のシニャル・ドゥションの丘(カテゴリー2)で遅れてしまい、9分3秒遅れでゴールしている。
マイヨ・ジョーヌが逃げに加わった!
250km近い距離で、今大会最長区間だった第7ステージは、177選手が出走。オフィシャルスタートの合図から逃げ合戦が始まり、軽い向かい風だったにもかかわらず、最初の1時間の平均時速は55km/hになった。
たった30秒差で総合3位に付けていたベルギーチャンピオンのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が何度も逃げを試み、ファンデルプールは即座に反応した。この動きで、集団は早々に分断していた。
49km地点で形成された先頭グループには、ヴァンアールト、マイヨ・ジョーヌのファンデルプールとチームメートのクサンドロ・ムーリッセ(アルペシン・フェニックス)、マイヨ・ベールのマーク・カヴェンディッシュとカスパ・アスグレーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)、そしてモホリッチが加わっていたが、マイヨ・アポワのイーデ・スヘリン(ボーラ・ハンスグローエ)の姿はなかった。
メイン集団はUAEチーム・エミレーツがコントロールしたが、65km地点でタイム差はすでに2分開いていた。
115.4km地点の中間スプリント地点はマイヨ・ベールのカヴェンディッシュが先頭で通過し、ポイント賞のポイントを稼いだ。彼はしばらく逃げグループに留まっていたが、最後はメイン集団に戻った。中間スプリント地点でメイン集団は4分35秒遅れていた。
レース後半に入り、5カ所の丘越えがスタート。ゴールまで残り90kmで逃げグループとメイン集団のタイム差は6分40秒にまで開いていた。逃げグループでは、残り87.6km地点に設定された最初の丘だったシャトー・シノン(カテゴリー3)で、モホリッチとブレント・ヴァンムール(ロット・スーダル)がアタックして先行した。
ゴールまで残り46kmで、モホリッチとヴァンムールにストゥイベンとヴィクトール・カンペナールツ(チームクベカ・ネクストハッシュ)が合流し、先頭は4人になった。マイヨ・ジョーヌのグループは1分10秒差、メイン集団は7分30秒差だった。3つ目のクロワ・ド・ラ・リベラシオンの丘でカンペナールツが遅れ、先頭は3人になった。
ゴールまで残り23.7kmで、ツール初登場のシニャル・ドゥションの丘(カテゴリー2)の5.7kmの登坂がスタート。頂上まで残り1kmで、先頭はヴァンムールとストゥイベンが遅れ、モホリッチ1人になった。
メイン集団では、負傷しているログリッチがシニャル・ドゥションの上りで遅れてしまった。先頭ではシニャル・ドゥションの頂上目前で、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)がアタックし、ここで総合のライバルたちにタイム差を付ける作戦を決行した。
最後に越えたグルロワの丘(カテゴリー4)で、先頭のモホリッチは追走するストゥイベンにすでに1分以上のタイム差を付けていた。マイヨ・ジョーヌのグループでは、残り8kmでヴァンアールトがアタックしたが、ファンデルプールにはまだ反応する脚が残っていた。
モホリッチはそのまま独走で逃げ切り、両手で作ったハートマークを頭上に掲げ、フィニッシュラインを通過した。この日、5つの丘を全て先頭で通過したモホリッチは、山岳賞でも総合首位に立ち、マイヨ・アポワを獲得。彼は敢闘賞も獲得している。
一時は7分半も遅れていたメイン集団は、カラパスがアタックした後、モビスターチームが引き続け、最終的には5分15秒遅れでゴールした。カラパスはゴール目前でメイン集団に吸収され、奇襲作戦は失敗に終わった。
■ツールで区間初優勝したモホリッチのコメント
「間違いなく自分のキャリアで最高の日だ。ボクは他の2つのグランツールで区間優勝して、いつも最長距離のステージだった。持久力の労力は、ボクのキャラクターに合っているからね。この類の逃げには、常に沢山の戦略が仕掛けられている。だから早めに行く決断をした。予想外だったのは、グループの他の選手たちがとても早い段階で取り残された事で、それは残り88kmだった。
フラム・ルージュを通過するまで、自分が区間優勝するという実感はなかった。ボクは純粋な感動で泣き始めた。実際には、今日は山岳賞ジャージを取りに行った。スヘリンが逃げに入っていなかったから、それが手に入ると分かっていたからだ。今からは、このジャージを受賞する事にトライする。多分明日も逃げに入り、絶対に取るよ」
■マイヨ・ジョーヌを守ったファンデルプールのコメント
「とてもハードなステージだった。255kmを超える事はめったにない。特にグランツールではない。今日は多くの選手が逃げに加わりたいとは思わなかったと思う。今日は皆ぐっすり眠れるんじゃないかな。最後はかなり空っぽになっていた。限界に達したが、マイヨ・ジョーヌを守れて嬉しい。これをできる限り長く守りたい。明日は何ができるか見てみよう。あれらの上りを越えるには、ボクはちょっと重たすぎるだろうけどね」
■総合連覇を目指すポガチャルのコメント
「逃げが決まったのは不運な瞬間だった。ちょっと我々のミスだった。ファンデルプールとヴァンアールトは2人とも強く、まだ山岳ステージが始まっていなくても、彼らに7分のアドバンテージを許すのは危険だ。我々はすぐにタイム差を縮めようとしたが、うまく行かなかった。
それから我々は彼らのタイム差が広がらないように大変な仕事をして、引き続けた。チームメートたちを誇りに思う。チームの事はよく分かっていて、彼らがとても強いと分かっている。明日のステージを回復に当てる選手もいるだろう。確かに、今日苦しんだのは我々だけではない。着実に行くよ。明日は他の優勝候補たちにただ付き従うだけだろうと思う」
■第7ステージ結果[7月2日/ヴィエルゾン~ル・クルゾ/249.1 km]
1. MOHORIC Matej (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) 5:28:20
2. STUYVEN Jasper (TREK – SEGAFREDO / BEL) +01:20
3. NIELSEN Magnus Cort (EF EDUCATION – NIPPO / DEN) +01:40
4. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) +01:40
5. ASGREEN Kasper (DECEUNINCK – QUICK-STEP / DEN) +01:40
6. BONNAMOUR Franck (B&B HOTELS P/B KTM / FRA) +01:40
7. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +01:40
8. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +01:40
9. VAN MOER Brent (LOTTO SOUDAL / BEL) +01:44
10. GODON Dorian (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +02:45
19. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +05:15
21. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:15
26. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +05:15
34. PORTE Richie (INEOS GRENADIERS / AUS) +05:15
41. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +05:15
65. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +09:03
■第7ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 25:39:17
2. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +30
3. ASGREEN Kasper (DECEUNINCK – QUICK-STEP / DEN) +01:49
4. MOHORIC Matej (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) +03:01
5. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +03:43
6. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +04:12
7. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) +04:23
8. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +04:56
9. LATOUR Pierre (TOTALENERGIES / FRA) +05:03
10. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +05:04
12. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:19
13. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +05:29
14. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +05:31
25. PORTE Richie (INEOS GRENADIERS / AUS) +07:33
33. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +09:11
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):MOHORIC Matej (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞:MOHORIC Matej (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO)
第8ステージはアルプス山岳初日
7月3日はオヨナからオート・サヴォア圏のル・グラン・ボルナンまでの150.8kmで、最初のアルプス山岳区間となる第8ステージが行われる。コースには5カ所の丘と峠が設定され、後半にはカテゴリー1の峠が3カ所ある。
最後に越えるのは標高1618mのコロンビエール峠(カテゴリー1)で、上り全長は7.5km、平均勾配は8.5%。頂上通過にはボーナスタイムがかけられている。