ツール・ド・フランス2021第8ステージはトゥーンスが優勝/ポガチャル総合首位

  • photo ©Bettiniphoto / A.S.O.

第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月3日にオヨナからル・グラン・ボルナンまでの150.8kmで、アルプス山岳初日の第8ステージを競い、ベルギーのディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス)が雨の中を独走で逃げ切り、2019年に続いて2度目の区間優勝を果たした。
 

ツール・ド・フランス2021

他界した祖父に区間優勝を捧げたトゥーンス(©Bettiniphoto)

区間2位は44秒遅れでスペインのヨン・イサギレ(アスタナ・プルミエテック)、3位は47秒遅れでカナダのマイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネーション)だった。

マイヨ・ジョーヌを着ていたオランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)は、21分47秒遅れでゴール。49秒遅れの区間4位でゴールしたスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が、早くも総合首位に立っただけでなく、ライバルたちに大差を付けてしまった。
 

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第8ステージで早くもマイヨ・ジョーヌを着たディフェンディングチャンピオンのポガチャル


雨に見舞われたアルプス山岳ステージ初日

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●第8ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

第8ステージは177選手が出走。アルプス山岳初日はスタートから雨が降り続いた。カテゴリーのない上り坂スタートで最初にアタックしたのは、マイヨ・アポワを着たマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。

2km地点で今度はチームメートのウァウテル・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタック。彼は14km地点の下り坂でメイン集団に吸収された。スタートからスピードが上がった集団は、すでにプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)やゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)を含めた大勢の選手が遅れていて、67人になっていた。

44km地点の中間スプリントは、イタリアチャンピオンのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過した。ここでログリッチはすでに1分50秒、トーマスは4分15秒遅れていた。50km地点でメイン集団から21人がアタックし、ポガチャルとプールスはそこに加わっていたが、マイヨ・ジョーヌのファンデルプールやリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)は入っていなかった。

このグループがマイヨ・ジョーヌ集団に捕まる前に、56km地点でプールスが再度アタックし、コポネックスの丘(カテゴリー3)を先頭で通過した。彼は次のマントネックス・アン・ボルヌの丘(カテゴリー4)も先頭で通過し、中間地点で50秒差を付けて逃げ続けた。

メイン集団からはトゥーンス、イサギレ、ウッズを含めた18人がアタックし、ゴールまで残り57kmで先頭のプールスを捕まえた。しかし、プールスにはまだカテゴリー1のコート・ド・モン・サクソネックスの頂上を先頭で通過する力が残っており、ここで山岳賞総合首位になった。彼はこの日、敢闘賞も獲得している。

コート・ド・モン・サクソネックスの下りで先頭グループからセーアン・クラーウアナスンとティシュ・ベノート(チームDSM)がアタック。カテゴリー1のコル・ド・ロム峠はクラーウアナスンが単独で上り始めた。しかし、彼は山頂まで6.7kmでウッズに追い越されてしまった。
 

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ファンデルプールは雨のアルプスでマイヨ・ジョーヌを失った


ポガチャルがアタック!

コル・ド・ロム峠の登坂では、メイン集団からマイヨ・ジョーヌのファンデルプールやウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が遅れた。この集団から、山頂まで残り4kmでマイヨ・ブランを着たポガチャルがアタックし、付いて行けたのはカラパスだけだった。しかし、後方を確認したポガチャルはもう一度攻撃し、カラパスを追いて一人旅を開始した。

ゴールまで残り28.7kmのコル・ド・ロム峠山頂は、ウッズが先頭で通過。ポガチャルは3分40秒遅れていたが、カラパスにはすでに1分以上のタイム差を付けていた。

最後のコロンビエール峠(カテゴリー1)の山頂まで残り3.3kmで、先頭を単独で逃げ続けていたウッズは、トゥーンスに追いつかれてしまった。トゥーンスはゴールまで残り14.6kmの山頂を単独で通過し、ゴールを目指して坂を下り続けた。

そのすぐ後方では、ポガチャルが逃げていた選手を次々と追い抜き、ボーナスタイムがかけられていたコロンビエール峠の山頂を2番手で通過し、5秒のボーナスを獲得した。ゴールまで残り10kmで、トゥーンスとポガチャルのタイム差はたった20秒だった。

ゴールまで残り7kmで、ポガチャルにイサギレとウッズが追いついたが、トゥーンスとのタイム差は33秒に開いていた。トゥーンスはそのまま逃げ切り、右手で天を指差してからフィニッシュラインを通過した。

ポガチャルは区間4位でボーナスタイムを獲得できなかったが、すでに十分なタイム差を総合争いのライバルたちに付けていた。アルプス初日に健闘したヴァンアールトだけは、1分48秒遅れの総合2位に留まったが、総合3位以下の選手は、ポガチャルよりも4分半以上遅れてしまった。
 

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ポガチャルは雨のアルプス初日にアタックし、総合のライバルたちに大差を付けた

第8ステージの制限タイムは37分33秒だったが、マイヨ・ベールを着たマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)を含めたグルッペットは35分1秒遅れでゴールし、タイムオーバーを辛くも免れた。

オランダのTV局NOSによれば、マイヨ・ジョーヌを失ったファンデルプールは、このままツールに留まるか、リタイアしてMTBの準備をするのかを、7月5日の休養日に決めるそうだ。

■区間優勝したトゥーンスのコメント
「とても素晴らしかった。狙っていた全ての目標を達成できない困難な1年だったから、やっと祝う事ができるよ。ツールの前に亡くなった祖父にこの勝利を捧げたい。それを残り10kmで考えていた。とても感動していた。

戦術的には簡単なステージではなかった。レース開始はとてもストレスが多かった。60人くらいの選手がいたから、逃げ出すのはとても難しかった。我々の場合は、プールスが山岳賞ジャージを狙っていて、とても攻撃的だったから、ボクは付いていくだけだった。

最後から2番目の上りでは、多くの選手がふもとから速いペースを設定したから、付いていくのはとても大変だった。でも後から適切なペースを見つけて、それで良くなった。最後の上りでは、ポガチャルに捕まるんじゃないかと心配したよ」

■早くもマイヨ・ジョーヌを獲得したポガチャルのコメント
「朝には今日、激しく打ち負かす計画ではなかった。我々はむしろ、このステージがどう動くか待つ事を考えていた。スタートはとてもハードで、とても目まぐるしく、逃げにすら加わってしまった。この天気で最高だと感じ、最後の3つの上りの前に皆が苦しんでいたのを見たので、チームメートたちにレースを壊そうと伝えた。

フォルモロ、コスタ、マックナルティは、ボクが飛び出すために素晴らしい仕事をしてくれて、ボクは最後までずっとエンジン全開で走った。ライバルたちはチームとして我々を壊せると考えていたが、彼らは我々が素晴らしい仕事ができるのを見た。多くの選手は、昨日のツケが回ったんだと思う。自分の最大のライバルは誰なのかを、日々見ていくよ。今のところ、我々はマイヨ・ジョーヌを取り、とても強いチームである事を証明した」
 

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チームメートのモホリッチからマイヨ・アポワを引き継いだプールス

■第8ステージ結果[7月3日/オヨナ~ル・グラン・ボルナン/150.8 km]
1. TEUNS Dylan (BAHRAIN VICTORIOUS / BEL) 3:54:41
2. IZAGUIRRE INSAUSTI Ion (ASTANA – PREMIER TECH / ESP) +44
3. WOODS Michael (ISRAEL START-UP NATION / CAN) +47
4. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +49
5. POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED) +02:33
6. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +02:43
7. PARET PEINTRE Aurélien (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +03:03
8. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +03:03
9. CATTANEO Mattia (DECEUNINCK – QUICK-STEP / ITA) +04:07
10. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +04:09

11. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +04:09
12. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +04:09
13. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +04:09
14. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +04:09
21. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +05:45
22. QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) +08:34
44. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) +21:47

■第8ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 29:38:25
2. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +01:48
3. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +04:38
4. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +04:46
5. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:00
6. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:01
7. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +05:13
8. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +05:15
9. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +05:52
10. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +06:41
23. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) +17:20

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第9ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞:POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED)
 

第9ステージはアルプス山岳2日目

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●第9ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

7月4日はオート・サヴォア県のクルーズから、サヴォア県のティニュまでの144.9kmで、アルプス山岳2日目の第9ステージが行われる。コースには4カ所の峠越えが設定され、中盤には標高1748mでカテゴリー超級のコル・デュ・プレ峠を通過する。最後は標高2089mでカテゴリー1のティニュ山を上るが、ゴールは山頂ではなく、トンネルを抜けた1.9km先にある。ティニュ山は全長21kmの登坂で、平均勾配は5.6%だ。

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