ツール・ド・フランス2021第9ステージはオコナーが逃げ切り優勝

  • photo ©Bettiniphoto / A.S.O.

第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月4日にクルーズからティニュまでの144.9kmで、アルプス山岳2日目の第9ステージを競い、オーストラリアのベン・オコナー(AG2R・シトロエンチーム)が雨の中を独走で逃げ切り、初参加で区間初優勝を果たした。
 

ツール・ド・フランス2021

ツール初参加のオコナーが逃げ切り、区間初優勝した(©Bettiniphoto)

区間2位はイタリアのマッティーア・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、3位はイタリアチャンピオンのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。

マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)は、6分2秒遅れの区間6位でゴール。総合でオコナーとのタイム差は8分13秒だったため、彼は総合首位の座を守る事ができた。

 

ツール・ド・フランス2021

チームUAE・エミレーツが集団を引いてタイム差を縮めた


ファンデルプールとログリッチが不出走

 

ツール・ド・フランス2021

●第9ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

第9ステージは175選手が出走。前日までマイヨ・ジョーヌを着ていたオランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)と、昨年総合2位だったスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)がスタートしなかった。

ファンデルプールはツールを続けるかどうかを休養日に決めると前日に話していたが、第9ステージのスタートに現われ、インタビューで「今日はスタートしない」と発表した。ツールを去ったファンデルプールは、MTB種目で出場を予定しているオリンピックの準備に集中する。
 

ツール・ド・フランス2021

スタート地点に現われたファンデルプールは、今日スタートしないと公表した

前日に続き、アルプス2日目も終日雨のレースになった。2km地点からアタックが始まり、6km地点でハリー・スウィーニー(ロット・スーダル)とダヴィデ・バッレリーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が逃げ出した。しかし、この日最初の峠だったコート・ド・ドマンシー(カテゴリー2)で、追走グループに捕まってしまった。

24kmの上りでコルブレッリがアタックし、6人の先頭グループが形成された。32.7kmの中間スプリントはコルブレッリが先頭で通過した。中間スプリント通過後、先頭の6人に37人の追走集団が追いつき、逃げ集団は大きくなった。

カテゴリー1のコル・デ・セズィエの頂上まで8kmで、先頭の逃げ集団からマイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネーション)、ナイロ・キンタナ(チームアルケア・サムシック)、オマール・フライレ(アスタナ・プルミエテック)が先行したが、マイヨ・アポワのウァウテル・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)が彼らを追い抜き、先頭で頂上を通過した。ここでマイヨ・ジョーヌの集団はすでに6分近く遅れていた。

コル・デ・セズィエの頂上を2番手で通過したキンタナは、下りでアタックして単独になったが、ゴールまで残り80kmでプールス、ウッズ、セルヒオ・イギタ(EFプロサイクリング・NIPPO)、オコナー、ルーカス・ハミルトン(チームバイクエクスチェンジ)に追いつかれ、先頭は6人になった。集団ではナンス・ペテルス(AG2R・シトロエンチーム)とティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)がレースを棄権した。
 

キンタナがマイヨ・アポワ獲得

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逃げに加わったキンタナは山岳賞ポイントを稼いだ(©Bettiniphoto)

レース中盤、12.6km続くカテゴリー超級のコル・デュ・プレ峠に入り、マイヨ・アポワを着たプールスは、頂上まで4kmで先頭グループから遅れてしまった。UAEチーム・エミレーツが引く集団は、すでに7分半遅れていた。

コル・デュ・プレ峠の頂上まで2kmで、先頭の逃げグループから再びキンタナがアタックし、カテゴリー超級の頂上を単独で通過した。ここで20ポイントを獲得したキンタナは、山岳賞総合で首位に立った。続くコルメ・ド・ロズラン峠に向かう途中で、キンタナにイギタとオコナーが追いつき、先頭は3人になった。

マイヨ・ジョーヌ集団は8分以上遅れ、前日までの総合成績で8分13秒遅れの14位だったオコナーは、一時バーチャル・リーダーになった。カテゴリー2のコルメ・ド・ロズラン峠の頂上もキンタナが先頭で通過し、山岳賞ポイントを稼いだ。下りでオコナーは一度遅れたが、最後の峠だったティーニュ山のふもとで先頭の2人に追いつく事ができた。

21km続くティーニュ山の上りがスタートし、最初に遅れたのはキンタナだった。ゴールまで残り17.5kmで、オコナーはイギタを追いて独走を開始。後続に大差を付け、ゴールまで1.9kmの頂上を通過した。彼はそのまま単独で逃げ切り、グランツール初優勝となる区間初優勝を勝ち取った。
 

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単独で逃げ切ったオコナー

マイヨ・ジョーヌ集団はUAEチーム・エミレーツがスピードを上げ、オコナーとのタイム差を縮めた。終盤はイネオス・グレナディアズが集団をコントロールし、アシストが居なくなったポガチャルに、ゴールまで残り4kmでリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)が攻撃を仕掛けた。しかし、ポガチャルはカウンターでアタックし、そのままライバルたちを残し、単独でゴールを目指し、総合でのリードを更に広げる事ができた。
 

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マイヨ・ジョーヌのアタックには誰もついて行けなかった(©Bettiniphoto)

第9ステージの制限時間は37分20秒で、マイヨ・ベールを着たマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、チームメートたちに守られ、35分49秒遅れでゴールする事ができた。しかし、アルノー・デマール(グルパマ・FDJ)ら7選手は制限時間内にゴールできず、タイムオーバーで失格となった。

序盤に落車が続いた今年のツールは、1週目を終えて19人がレースを去り、残っているのは165選手となった。

■初参加で区間初優勝したオコナーのコメント
「ツール・ド・フランスに参加するだけでも夢だ。そして、こんな勝利を達成するのは素晴らしい。長年サポートしてくれた全ての人たち、ガールフレンド、両親、オーストラリアにいる親友、ジローナにいる友人たちへの大きなお礼だ。

ワイルドな走りだった。とても満たされていて、すごい喜びだ。フィニッシュラインを通過した時に、涙を我慢できなかった。AG2R・シトロエンに感謝するよ。彼らは今年、ボクをとても信用してくれたんだ」
 

ツール・ド・フランス2021

マイヨ・ジョーヌはポガチャルが守った

■第9ステージ結果[7月4日/クルーズ~ティニュ/144.9 km]
1. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) 4:26:43
2. CATTANEO Mattia (DECEUNINCK – QUICK-STEP / ITA) +05:07
3. COLBRELLI Sonny (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +05:34
4. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +05:36
5. BONNAMOUR Franck (B&B HOTELS P/B KTM / FRA) +06:02
6. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +06:02
7. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +06:34
8. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +06:34
9. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +06:34
10. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +06:34

11. QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) +06:38
13. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +06:47
14. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +07:32
15. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +07:36
17. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +07:59
19. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +09:41
86. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +31:37

■第9ステージの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 34:11:10
2. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +02:01
3. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +05:18
4. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:32
5. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:33
6. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +05:47
7. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +05:58
8. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +06:12
9. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +07:02
10. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +07:22

11. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +08:38
16. QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) +24:25
28. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +39:42

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第10ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞:O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS)
 

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マイヨ・アポワを獲得したキンタナ


休養日明けは平坦ステージ

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●第10ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

7月5日は最初の休養日となり、6日はサヴォア県のアルベールヴィルからドローム県のヴァランスまでの190.7kmで、平坦区間の第10ステージが行われる。
 
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