ツール・ド・フランス2021第13ステージでカヴェンディッシュが最多優勝記録に並んだ!

第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月9日にニームからカルカソンヌまでの219.9kmで第13ステージを競い、マイヨ・ベールを着た英国のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、集団ゴールスプリントを制して今大会4勝目を上げ、遂にベルギーのエディ・メルクスが持つ、34勝の最多区間優勝記録に並んだ。
 

ツール・ド・フランス2021

遂にカヴェンディッシュがメルクスの最多記録に並ぶツール区間通算34勝目を上げた!

区間2位はカヴェンディッシュのスプリントの発射台を務めたデンマークのミケル・モルコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、3位はベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)だった。フィリプセンはこれで今大会区間2位が2回、3位が3回になった。マイヨ・ジョーヌはスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が守った。
 

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チームメートとの喜びのハグをするカヴェンディッシュ


落車でイェーツがリタイア

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●第13ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

第13ステージは154人が出走。ミヒャエル・ゴークル(チームクベカ・ネクストハッシュ)がスタートしなかった。オフィシャルスタートから高速ペースでアタックと吸収が続いた後、27km地点でショーン・ベネット(チームクベカ・ネクストハッシュ)、オメル・ゴールドスタイン(イスラエル・スタートアップネーション)、ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)が逃げ出した。

3人は4km地点で集団に4分20秒差を付け、この日唯一あったカテゴリー4の丘はラトゥールが頂上を先頭で通過した。集団はドゥクーニンク・クイックステップがコントロールを開始し、それ以上には開かなかった。104.2kmの中間スプリントは、ゴールドスタインが先頭で通過。集団は2分半後にイタリアチャンピオンのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過した。
 

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集団をコントロールするドゥクーニンク・クイックステップ

集団の先頭はアルペシン・フェニックスも加勢し、残り72kmで逃げのタイム差は1分半になっていた。ゴールまで残り66kmで、フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)が集団からアタックを試みたが、失敗に終わった。そのすぐ後に、集団では大きな落車事故が発生し、30人ほどが巻き込まれて遅れてしまった。最後まで立ち上がれなかったサイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)は、レースに一度復帰したが、結局リタイアしてしまった。この事故でチームバイクエクスチェンジは、ルーカス・ハミルトンも棄権している。

大きな落車事故があったにもかかわらず、集団は追走を止めず、逃げはゴールまで残り53kmで全員吸収された。集団は落車で遅れた選手たちを待ってスローペースになり、残り45kmで飛び出したカンタン・パシェ(B&Bホテルズ・P/B KTM)は追いかけなかった。

コースは路面のアスファルトが荒れたエリアにさしかかり、パンクに見舞われる選手が続出。マイヨ・ベールのカヴェンディッシュとフィリプセンが立て続けに自転車交換を行ったが、すぐ集団に復帰した。ドゥクーニンク・クイックステップはティム・デクレルクが落車に巻き込まれて遅れていたため、世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップがチームメートたちと一緒に集団を引き続け、残り19kmで逃げていたパシェを吸収した。

そこからイネオス・グレナディアズが集団の先頭を引き始めてペースが上がり、マイヨ・ジョーヌのポガチャルも前方に出てきたが、最後はスプリンターを擁するチームが手綱を奪い返した。そしてドゥクーニンク・クイックステップが、列車を組んで残り1kmのフラム・ルージュを通過した。

チームDSMがコーナーで先頭に出たのをきっかけに、混沌としたゴールスプリントになったが、ドゥクーニンク・クイックステップの列車は崩れていなかった。残り300mで先行したイバン・ガルシアコルティナ(モビスターチーム)を捕らえたモルコフの後方から、残り50mでスパートしたカヴェンディッシュが、僅差で勝利を収める事ができた。

カヴェンディッシュは2008年に初めてツールで区間優勝し、13年かけて36歳でメルクスの最多記録に並ぶ、区間通算34勝という偉業を達成した。しかも、2016年に30勝に到達した後、4年のブランクを経て今年、いっきに4勝を上げてしまったのだから、只々脱帽する。
 

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僅差の集団ゴールスプリントを制したカヴェンディッシュ

■遂にメルクスの記録に並んだカヴェンディッシュのコメント
「何て1日だ。あの暑さと風の中を220kmレースして死んだよ。そして何てゴールだったか。最後はすごく限界に達していたけど、チームメートたちがボクのためにどれだけ働いてくれたかを思うと、スプリントしなければならなかった。ゴールはちょっとアップヒルだった。コルティナが行って、ボクはモルコフが彼を連れ戻してくれるのを願った。最後の右コーナーで少し接点を失っていたからだ。

ボクにとっては、これはただのツール・ド・フランスでの区間優勝の1つにすぎない。最初の勝利と同じように感じる。これが記録のせいで特別だとはまだ実感がない。多くの努力の末に、子供の頃の夢が叶うようなものだ。もし、ボクの勝利の1つが、10人の子供たちに自転車レースを始める動機を与える事ができて、それで(彼らが)将来ツール・ド・フランスを走るなら、それこそがボクにとって最も重要な事なんだよ」
 

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マイヨ・ジョーヌはポガチャルが守った


■第13ステージ結果[7月9日/ニーム~カルカソンヌ/219.9 km]

1. CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR) 5:04:29
2. MØRKØV Michael (DECEUNINCK – QUICK-STEP / DEN)
3. PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
4. GARCIA CORTINA Ivan (MOVISTAR TEAM / ESP)
5. VAN POPPEL Danny (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NED)
6. ARANBURU DEBA Alex (ASTANA – PREMIER TECH / ESP)
7. LAPORTE Christophe (COFIDIS / FRA)
8. GREIPEL André (ISRAEL START-UP NATION / GER)
9. NIELSEN Magnus Cort (EF EDUCATION – NIPPO / DEN)
10. STUYVEN Jasper (TREK – SEGAFREDO / BEL)

■第13ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 52:27:12
2. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +05:18
3. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:32
4. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:33
5. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +05:58
6. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +06:16
7. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +06:30
8. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +07:11
9. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +09:29
10. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +10:28

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第14ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞:PACHER Quentin (B&B HOTELS P/B KTM / FRA)


[マーク・カヴェンディッシュのツール・ド・フランス区間優勝記録]

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カヴェンディッシュはポイント賞総合のリードも広げた

2008年(チームコロンビア)… 5、8、12、13ステージ
2009年(チームコロンビア・HTC)… 2、3、10、11、19、21ステージ
2010年(チームHTC・コロンビア)… 5、6、11、18、20ステージ
2011年(HTC・ハイロード)… 5、7、11、15、21ステージ ※ポイント賞受賞
2012年(スカイプロサイクリング)… 2、18、20ステージ
2013年(オメガファルマ・クイックステップ)… 5、13ステージ
2014年(オメガファルマ・クイックステップ)-
2015年(エティックス・クイックステップ)… 7ステージ
2016年(チームディメンションデータ)… 1、3、6、14ステージ
2017年(チームディメンションデータ)-
2018年(チームディメンションデータ)-
2019年(チームディメンションデータ)-
2020年(バーレーン・マクラーレン)-
2021年(ドゥクーニンク・クイックステップ)… 4、6、10、13ステージ


第14ステージは『ミニ・リエージュ~バストーニュ~リエージュ』

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●第14ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

ツール一行は2週目の週末、いよいよピレネーに到着する。7月10日はオード県のカルカソンヌからキヨンまでの183.7kmで、カテゴリー2と3の峠と丘を5カ所越える第14ステージが行われる。アップダウンが連続するローラーコースターの様なステージで、『ミニ・リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ』と呼ばれている。
 
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