ツール・ド・フランス2021第16ステージはコンラートが初優勝

2021.07.14
レース

第108回ツール・ド・フランス（ＵＣＩワールドツアー）は、２回目の休養日明けの７月13日に、アンドラのパ・ド・ラ・カーズからフランスのサン・ゴダンスまでの169kmで第16ステージを競い、オーストリアチャンピオンのパトリック・コンラート（ボーラ・ハンスグローエ）が独走で逃げ切り、ワールドツアー初優勝となる区間初優勝を果たした。

独走で逃げ切り、ワールドツアー初優勝となる区間初優勝を果たしたコンラート

オーストリア出身の選手がツールで区間優勝したのは、1931年のマックス・ブラ、2005年のゲオルグ・トーチュニッヒに続いて3人目だった。

区間２位はイタリアチャンピオンのソンニ・コルブレッリ（バーレーン・ヴィクトリアス）、３位はマイケル・マシューズ（チームバイクエクスチェンジ）だった。マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル（ＵＡＥチーム・エミレーツ）は、13分49秒遅れのエリート集団でゴールし、総合首位の座を守った。

ニバリが不出走

●第16ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

今年のツールもいよいよ最終週がスタート。休養日明けの丘越え区間だった第16ステージは145選手が出走。五輪の準備を始めるイタリアのヴィンチェンツォ・ニバリ（トレック・セガフレード）と、ノルウエーのアムンドグローンダール・ヤンセン（チームバイクエクスチェンジ）がスタートしなかった。

この日のスタート地だったパ・ド・ラ・カーズは標高2080mで寒く、標高1134mのオフィシャルスタート地点までは19km下らなければならなかった。そのため、主催者は0km地点に到着する前に一度止まり、選手たちがジャケットを脱いでチームカーに渡す時間を設けていた。

スタートしてすぐにカスパ・アスグレーン（ドゥクーニンク・クイックステップ）がアタックし、42km地点で集団に1分35秒差を付けた。カテゴリー２のコル・ド・ポール峠の頂上まで残り3.5kmで、アスグレーンにミハウ・クフィアトコフスキー（イネオス・グレナディアズ）とマッティーア・カッタネオ（ドゥクーニンク・クイックステップ）が追いつき、先頭は３人になった。しかし、３人は下りでメイン集団に吸収された。

79km地点でメイン集団からヤン・バーケランツ（アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）、クリス・ユールイェンセン（チームバイクエクスチェンジ）、ファビアン・ドゥベ（トタルエナジーズ）がアタックし、新たな逃げグループを形成した。

カテゴリー１のコル・ド・ラ・コール峠のふもとで、先頭の３人は11人に追走グループに9秒差を付けていた。この追走グループに加わっていたコンラートは、コル・ド・ラ・コール峠でアタックし、頂上まで残り4kmで先頭の３人に追いついた。ユールイェンセンは遅れ、頂上を通過した時に先頭はコンラート、バーケランツ、ドゥベの３人になっていた。メイン集団はコル・ド・ラ・コール峠で７分以上遅れ、ＥＦエデュケーション・NIPPOが引き始めた。

オーストリアチャンピオンのコンラートがアタック

残り36.5kmでアタックし、独走を続けたコンラート

カテゴリー２のポルテ・ダスペット峠の登坂が始まり、頂上まで4kmの残り36.5kmでコンラートがアタックし、独走を開始した。後方ではダヴィド・ゴデュ（グルパマ・ＦＤＪ）とコルブレッリが追走を続けたが、残り32kmのポルテ・ダスペット峠頂上でコンラートとのタイム差は25秒あった。メイン集団はここで既に11分近く遅れていた。

後半は雨が降り出したが、コンラートは順調に逃げ続け、最後に越えたコート・ド・アスプレット・サラ（カテゴリー４）では、ゴデュとコルブレッリが吸収された追走グループに、1分以上のタイム差を付けていた。コンラートはそのまま逃げ切り、区間初優勝を果たした。

14分半遅れていたメイン集団では、ゴールまで残り7kmのコート・ド・アスプレット・サラでコフィディスがアタックしたのをきっかけに、総合争いがスタート。ベルギーチャンピオンのウァウト・ヴァンアールト（ユンボ・ヴィスマ）が先頭を引き続けたが、総合上位の選手は誰も遅れず、休養日明けの番狂わせは起こらなかった。

マイヨ・ジョーヌはポガチャルが守った

■区間初優勝したコンラートのコメント
「これはワールドツアーで初めての優勝で、それは世界最大の自転車レースでもたらされた。言葉を失うよ。これは家族、友人、そしてボクを信じてくれた人たち、そしてボーラ・ハンスグローエの為のものだ。チームはいつもボクを信じてくれた。しかも、これはオーストリアチャンピオンジャージを着ている正しい瞬間にもたらされた。

このツールでは既に３回逃げていた。いつも最後まで待っていて、それはいつも最高の決断ではなかった。モホリッチが早めに行ったのを見た。モレマにも同じ事が起きた。もし、それがもう一度起きるとしたら、早めにトライする人になろうと自分自身に言い聞かせていた。それを最後までやり遂げられる脚があって嬉しいよ」

コンラートは敢闘賞も獲得した

■第16ステージ結果［７月13日／パ・ド・ラ・カーズ（アンドラ）～サン・ゴダンス／169km］
1. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) 4:01:59
2. COLBRELLI Sonny (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +42
3. MATTHEWS Michael (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS) +42
4. PERICHON Pierre Luc (COFIDIS / FRA) +42
5. BONNAMOUR Franck (B&B HOTELS P/B KTM / FRA) +42
6. ARANBURU DEBA Alex (ASTANA – PREMIER TECH / ESP) +42
7. SKUJINS Toms (TREK – SEGAFREDO / LAT) +45
8. BAKELANTS Jan (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / BEL) +45
9. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +47
10. ROTA Lorenzo (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / ITA) +01:03
14. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +13:49

■第16ステージまでの総合成績（マイヨ・ジョーヌ）
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 66:23:06
2. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +05:18
3. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:32
4. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:33
5. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +05:58
6. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +06:16
7. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +07:01
8. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +07:11
9. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +08:02
10. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +10:59
11. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +14:13

［各賞］
■ポイント賞（マイヨ・ベール）：CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞（マイヨ・アポワ）：POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED)
■新人賞（マイヨ・ブラン）：POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
（※第17ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用）
■チーム成績：BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞：KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT)

第17ステージはピレネー超級頂上ゴール