ツール・ド・フランス2021第17ステージはポガチャルが優勝

第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、革命記念日の7月14日に、ミュレからサン・ラリー・スランにある標高2215mのコル・デュ・ポルテまでの178.4kmで、カテゴリー超級頂上ゴールの第17ステージを競い、マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が区間優勝した。
 

ツール・ド・フランス2021

ポガチャルは初めてマイヨ・ジョーヌを着て区間優勝した(©Bettiniphoto)

ポガチャルは第5ステージの個人タイムトライアルでも区間優勝していて、これで今大会区間2勝となった。彼は昨年初参加したツールの最終日前日に初めてマイヨ・ジョーヌを着用していて、今年も第8ステージで総合首位に立ったため、マイヨ・ジョーヌを着て区間優勝したのは初めてだった。

区間2位は新人賞総合2位でマイヨ・ブランを着ていたデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴール(ユンボ・ヴィスマ)、3位はエクアドルのリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)だった。
 

ツール・ド・フランス2021

ポガチャルは10日間マイヨ・ジョーヌを守っている


革命記念日の逃げにフランス人が加わった

ツール・ド・フランス2021

●第17ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

第17ステージは145選手が出走。スタートからアタックと吸収が続いた後、19km地点でルーカス・ぺストルベルガー(ホーラ・ハンスグローエ)、ダニー・ファンポッペル(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)、ドリアン・ゴドン(AG2R・シトロエンチーム)、アントニー・ペレス(コフィディス)が逃げ出した。

30km地点でアントニー・テュルジス(トタルエナジーズ)とマキシム・シュヴァリエ(B&Bホテルズ・P/B KTM)が追いつき、先頭は6人になった。革命記念日の逃げには地元フランスの選手が4人加わり、総合成績で上位の選手は居なかった。

集団では、ひどい頭痛に悩まされたスティーフェン・クラウスウェイクがレースを棄権し、オランダのユンボ・ヴィスマは4人になってしまった。113.4km地点の中間スプリントはファンポッペルが先頭で通過。ここで集団は8分半遅れていた。

この日最初の峠だったカテゴリー1のペイルスールド峠で、UAEチーム・エミレーツが引く集団からエリー・ジェベールとナイロ・キンタナ(チームアルケア・サムシック)がアタックし、マイヨ・アポワを着たウァウテル・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)が続き、ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)も合流した。

しかし、彼らは集団に十分なタイム差を付けられず、吸収する前にラトゥールがアタックして単独で逃げを追った。ゴールまで残り49kmのペイルスールド峠頂上はテュルジスが先頭で通過。メイン集団はここで4分7秒遅れだった。集団から飛び出していたラトゥールは、次の峠が始まる前に吸収された。
 

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革命記念日に独走で逃げ続けたフランスのペレス

次のヴァルルロン・アゼ峠(カテゴリー1)の頂上まで5.5kmで、先頭の逃げからペレスがアタックし、ゴドン、テュルジスは追走したが、他の3人は集団に吸収された。頂上はペレスが先頭で通過し、10秒遅れでゴドンが続いた。残り22kmでゴドンがペレスに追いつき、先頭はフランス人2人になった。

しかし、16km続く最後のコル・デュ・ポルテのふもとで、2人とメイン集団のタイム差は4分を切っていた。コル・デュ・ポルテの登坂が始まると、UAEチーム・エミレーツが引くマイヨ・ジョーヌ集団からは次々と選手が遅れ始めた。先頭では残り13.4kmでペレスがアタックし、単独で革命記念日の区間優勝を目指して坂を上り続けた。

ペレスが残り10kmを通過する頃、1分半後方のマイヨ・ジョーヌ集団は15人ほどに絞られていた。タイム差は無情に縮まり続け、ペレスは残り8.4kmで攻撃を開始したマイヨ・ジョーヌのポガチャルにあっさり追い抜かれてしまった。それでもペレスはこの日の敢闘賞を受賞する事ができた。
 

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先頭で頂上を目指した3人。最後尾のカラパスは協力しなかった(©Bettiniphoto)

ポガチャルは攻撃を繰り返し、残り7.5kmで前日まで総合2位だったリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO)が脱落し、ヴィンゲゴールとカラパスだけが付いていく事ができた。後方ではダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)が単独で3人を追走したが、結局追いつく事はできなかった。

標高2215mで、ツールで使われるピレネーの山で2番目に標高が高いコル・デュ・ポルテの頂上付近には霧が出ていた。ゴールまで残り1.4kmで、最後尾を走り続けていたカラパスが反撃したが、ポガチャルはきっちり後ろに付いて行った。マイヨ・ブランのヴィンゲゴールは一度遅れたが、ゴールまで残り200mで先頭の2人に合流する事ができた。

しかし、残り100mでスパートしたマイヨ・ジョーヌのポガチャルには、カラパスもヴィンゲゴールもついて行けなかった。ポガチャルはヴィンゲゴールに3秒差、カラパスに4秒差を付けてゴールし、フィニッシュラインではマイヨ・ジョーヌの胸に付けられたチーム名を両手で引っ張って見せていた。

ウランは1分49秒遅れでゴールし、総合2位から4位へと後退した。代わってヴィンゲゴールが総合2位になったが、マイヨ・ジョーヌを10日間守っているポガチャルとのタイム差は、5分39秒に開いた。総合3位になったカラパスも、5分43秒遅れている。
 

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超級頂上ゴールで今年のトップ3が決まったようだ

■超級頂上ゴールで優勝したマイヨ・ジョーヌのポガチャルのコメント
「毎日がマイヨ・ジョーヌを守るのにとても大変だった。ほとんど毎日逃げるのに適していて、多くの事ができなかったから、我々は区間優勝のために戦えなかった。今日は最初からコントロールするのに良いステージで、逃げと集団は五分五分のようだった。最後にチームのみんなは調子が良いと感じ、何とか逃げを捕まえる事ができた。ボクは区間優勝を取りに行き、それはうまくいった。

カラパス、ヴィンゲゴール、そしてボクが行ったが、ヴィンゲゴールとボクだけが総合を争う他の選手たちとの差を広げるために協力した。ある時点で、ヴィンゲゴールが来てカラパスは騙していると思うとボクに言った。ボクもそれは分かっていた。それはプロの戦術だからだ。カラパスがアタックした時、彼を捕らえて後ろに付こうと駆り立てられた。そして最後の150mでスプリントした。マイヨ・ジョーヌで勝つのは、説明もできない程だ」
 

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ペレスは革命記念日に区間優勝できなかったが、敢闘賞を受賞した

■第17ステージ結果[7月14日/ミュレ〜サン・ラリー・スラン(コル・デュ・ポルテ)/178.4km]
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 5:03:31
2. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +03
3. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +04
4. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +01:19
5. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +01:26
6. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +01:40
7. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +01:44
8. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +01:49
9. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +01:49
10. TEUNS Dylan (BAHRAIN VICTORIOUS / BEL) +01:49
11. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +02:27
12. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +02:53
13. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +03:39

■第17ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 71:26:27
2. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:39
3. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:43
4. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +07:17
5. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +07:34
6. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +08:06
7. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +09:48
8. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +10:04
9. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +11:51
10. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +12:53
11. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +15:42

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第18ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞:PEREZ Anthony (COFIDIS / FRA)


第18ステージは最後の山岳決戦

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●第18ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

今年のツールも残り4ステージ。7月15日はポーからリュス・アルディデンまでの129.7kmで、今年最後の山岳区間となる超級頂上ゴールの第18ステージが行われる。山岳最終決戦は、後半標高2115mでカテゴリー超級のツールマレー峠を越えた後、標高1715mのリュス・アルディデンに挑む。最後のリュス・アルディデンは全長13.3kmで、平均勾配は7.4%だ。
 
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