【東京オリンピック トラック競技3日目】またしても世界記録!イタリアがチームパシュートで金 スプリントでは脇本、ケイリンでは小林が明日へ勝ち上がり
目次
8月4日、東京オリンピック、トラック競技3日目。15時30分から、
・男子スプリント予選、1/32決勝、1/32敗者復活戦、1/16決勝、1/16敗者復活戦
・女子ケイリン1回戦、敗者復活戦
・男子チームパシュート決勝
の3種目が行われた。今日からは日本代表選手も登場。
男子スプリント
男子スプリントは日本の新田祐大、脇本雄太が出場。予選はフライング200mTTと呼ばれる助走ありの200mでのタイムで順位が付けられ、30人中24人が勝ち上がる。予選で上位にいるほど、その後の勝ち上がり戦での組み合わせが優位となる。
世界記録は、ボリビアの高地のベロドロームでニコラス・ポール(トリニダードトバゴ)が出した9.100秒。オリンピックレコードは、ジェイソン・ケニー(イギリス)がリオで出した9.551秒だ。
8番出走のニック・ワムズ(カナダ)が9.587秒という好記録を出すと、11番出走のジャック・カーリン(イギリス)が9.306秒を出し、オリンピックレコードをいきなり更新。
14番目出走の脇本が9.518秒という日本記録を更新するタイムで走り切ったが、21番出走の新田は9.728秒。後の選手の結果を待つこととなった。
28番目のジェフリー・ホーフランド(オランダ)は9.215秒と今回最速タイムでさらにオリンピック記録を更新。その次のハリー・ラブレイセンもまさかのオランダ同タイムという結果。時速に換算すると脅威の78.133kmということになる。
昨日のチームスプリントではフライング2回で失格となり、悔しい結果となったデニス・ドミトリエフ(ロシア)は9.331秒。最終走者で、リオオリンピック王者のジェイソン・ケニー(イギリス)は、9.510秒というタイムを出して勝ち上がりを決めた。
全員が走り終え、9位で脇本は予選通過。26位で新田がまさかの予選敗退となった。
脇本は、1/32決勝の第9ヒートでケヴィン・サンチアゴ・キンテロ・チャヴァッロ(コロンビア)と当たることとなった。
男子スプリント予選タイム
1位 ジェフリー・ホーフランド(オランダ) 9.215秒
2位 ハリー・ラブレイセン(オランダ) 9.215秒
3位 ジャック・カーリン(イギリス) 9.306秒
4位 ニコラス・ポール(トリニダードトバゴ) 9.316秒
5位 デニス・ドミトリエフ(ロシア) 9.331秒
9位 脇本雄太(日本) 9.518秒
26位 新田雄大(日本) 9.728秒(予選落ち)
1/32決勝は1回のみの対戦形式。勝った方が1/16決勝へと進むことになる。
予選で同タイムの記録を出したオランダ2選手は、予選タイム下位の選手と対戦し、何の問題なく勝ち上がった。
なお、予選タイム1~5位までの選手は圧倒的強さを見せつけて、次の1/16決勝へと進むことに。
そして脇本の第9ヒート。キンテロに対して脇本が序盤から先行し、そのままラスト2周を逃げ切り、勝利。1/16決勝へと駒を進めた。1/16決勝で当たるのは、リオ五輪王者のケニー(イギリス)。
1/16決勝、優勝候補のオランダ人選手二人をはじめとし、これまで世界大会で結果を出してきている選手たちが順当に勝ち上がっていった。
脇本対ケニー。さすがの五輪王者の走りに揺さぶりをかけられた脇本は先行したものの、右側にいたはずのケニーは左から一気に加速をかけ、脇本を抜き去ってそのままフィニッシュした。
敗者復活戦に回った脇本は、今度はステファン・ボティシャー(ドイツ)と当たった。先行し、自身の強さを信じ切るかのように突き進み、ボティシャーを下した。
明日の1/8決勝、脇本は、フライング200mTTの世界記録を持つニコラス・ポール(トリニダードトバゴ)と対戦することとなる。
女子ケイリン
女子ケイリンの1回戦は5ヒートで行われ、2着までの入った選手が明日の準決勝へと進む。
第1ヒートでは全員が踏み合う展開で、ラスト1周先頭に立ったケイティ・マーチャント(イギリス)が先頭でフィニッシュラインに飛び込んだ。しかしマーチャントは内側追い抜きと見なされ降格。2位のローリンヌ・ヴァンリーセン(オランダ)、3着のゾン ・ティエンシ(中国)が勝ち上がることとなった。
第2ヒートには、元世界王者のリー・ワイジー(香港)や、若手有力選手であるリーソフィー・フリードリッヒ(ドイツ)が出場。フリードリッヒがラスト2周の途中で先頭に立つと、そのまま譲らず、最後は緩める余裕すら見せて1着でフィニッシュした。2位は、ダリア・シュメルレバ(ロシア)。ワイジーは敗者復活戦に回ることとなった。
第3ヒートは、現世界チャンピオンのエマ・ヒンツェ(ドイツ)が出走。余裕を持たせながら最後尾からタイミングを見計らう。誘導が外れるとともに先頭に立ったヒンツェだが、さらにうしろからケルシー・ミッチェル(カナダ)が逃げる。ミッチェルの後ろを追ったルス・ダニエラ・ガシオラ・ゴンザレス(メキシコ)がハンドル投げの差で2着をもぎ取った。追いきれなかったヒンツェは敗者復活戦へと回ることに。
第4ヒートでは小林優香が出走。闘志を持ちつつ落ち着いた表情を見せていた小林はスタートから2番手を取った。先頭を走ったオレナ・スタリコバ(ウクライナ)が逃げ切ったが、小林がそれを追う形で2番手を死守し、そのままフィニッシュ。小林は1回戦を通過し、明日の準決勝へと進む。
最終第5ヒートは、終盤後方から一気に加速したローリアン・ジェネスト(カナダ)が勝利。マダリン・ゴドビー(アメリカ)が2着に。
なお、敗者復活戦でリー・ワイジー(香港)やエマ・ヒンツェ(ドイツ)はしっかりと勝ち上がりを見せている。
明日、女子ケイリン準々決勝が行われる。小林はヒート3に登場する。なお、各ヒートごと4選手が準決勝へと勝ち上がる。
男子チームパシュート
一昨日予選、昨日1回戦と行われてきた男子チームパシュート。
昨日はイタリアがデンマークの世界記録を上回るタイムを出した。
今日行われたのは順位決定戦。7-8位決定戦をイギリスが制し、5-6位決定戦をカナダが取った。
オーストラリア対ニュージーランドの銅メダル争いは拮抗した戦いに。わずかなタイム差で逆転し合いながら中盤まで進んでいく。しかし、終盤を過ぎたところで四番目を走っていたニュージーランドの選手が自国の3番目の選手の後輪と接触し、落車。3人になったニュージーランドから1人が遅れ、その1人をオーストラリアが追い抜いたことで、オーストラリアの勝利となり、銅メダルを獲得した。
そしてデンマーク対イタリアの頂上決戦。まさに頂上決戦の名にふさわしい戦いだった。現世界記録を持つイタリアと新たな世界記録の上書きを狙うデンマーク。メンバーはお互いに昨日までと同様だ。
スタート1周はデンマークが早いタイムを刻んだが、そこから序盤はイタリアが上回った。16周中の9周目に入ったタイミングでデンマークが0.1秒ほど上回ると、そのまま差を広げていく。しかしどんなに開いても1秒の差がつくことはなく、0.1~0.8秒あたりのタイム差をいったりきたり。
デンマークがこのままフィニッシュに向けてさらに引き離すかと思われたが、最後の最後でイタリアはフィリッポ・ガンナが先頭固定で鬼引き。
13周目で0.714秒差、14周目時点で0.492秒差、15周目時点で0.285秒差、そしてラスト半周まで0.055秒デンマークが上回ったが、最後の最後で帳尻を合わせ、わずか0.122秒の差でイタリアが勝利をもぎ取った。
さらには昨日イタリアが出した世界記録、3分42秒307を上回り、3分42秒032でフィニッシュ。なお、銀メダルとなったデンマークも3分42秒198と、前世界記録を上回るタイムだった。
まさに世界トップのこの2組で戦ったからこそ出た世界記録だったといってもいいはずだ。
男子チームパシュート 決勝リザルト
金メダル イタリア(ジョナサン・ミラン、フランチェスコ・ラモン、フィリッポ・ガンナ、シモーネ・コンソンニ) 3分42秒032(決勝タイム・世界記録)
銀メダル デンマーク(ラスムス・ピーダスン、フレデリック・マドセン、ニキアス・ラーセン、ラッセノーマン・ハンセン) 3分42秒198(決勝タイム)
銅メダル オーストラリア(ルーカス・プラップ、レイ・ハワード、サム・ウェルスフォード、ケランド・オブリーン)