【東京オリンピック トラック競技6日目】男子ケイリンでは日本人2人が勝ち進む!男子マディソンは超高スピード展開でデンマークが勝利
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昨日の結果でオランダとイギリスが1個ずつ金メダルを獲得し、男子スプリントではオランダが銀メダル、イギリスが銅メダルを獲得したため、両国はメダル獲得数を2つ増やし総獲得数10個に。相変わらずの同率1位に位置し、他国と比べて群を抜いてオリンピックに向けての本気具合が伺える。
8月6日、東京オリンピックトラック競技5日目。15時30分から、
・女子スプリント1/8決勝、1/8決勝敗者復活戦、準々決勝(2本先取勝負)
・男子ケイリン1回戦、敗者復活戦、
・男子マディソン
の3種目が行われた。
女子スプリント
6ヒートで行われる1/8決勝。
昨日よりも予選タイム上で近い選手どうしが当たり、拮抗した勝負が見られた。
第1ヒートはリーソフィー・フリードリッヒ(ドイツ)と昨日小林優香との敗者復活戦で勝ち上がったアナスタシア・ボイノワ(ロシア)が当たると、フリードリッヒは1周目から一回も前を譲らず、そのままフィニッシュした。
第2ヒートは接戦に。アンドリューズ(ニュージーランド)が先行したがケルシー・ミッチェル(カナダ)が最後の最後で差し切り、勝ち上がりを決めた。
第3ヒートはエマ・ヒンツェ(ドイツ)とゾン・ティアンシー(中国)。ヒンツェが前に出るとそのままスピードに乗り、勝利した。
第4ヒート、リー・ワイジー(香港)対マチルダ・グロ(フランス)。
グロがブルーラインより内側を走り、一度レースが仕切り直された。やり直しされたレースでは、グロが最終周に先行したがワイジーも譲ることなく、追い上げ、最終ストレートでワイジーがグロを抜き去って勝ち上がりを決めた。
第5ヒートはローリーヌ・ジェネスト(カナダ)対ケイティー・マーチャント(イギリス)。最終コーナーで伸びたマーチャント(イギリス)が勝ち上がった
第6ヒートはケイリン勝者のシャネ・ブラスペニンクス(オランダ)がオレーナ・スタリコバ(ウクライナ)に勝利。
1/8決勝を勝ち進んだ選手で行われた準々決勝。2本先取で準決勝の4人が決まる。
3戦までもつれたのは、第1ヒートのみ。
敗者復活戦で勝ち上がってきたオレーナ・スタリコバは予選タイム1位のフリードリッヒと当たった。1本目を最後のストレートで差したスタリコバが取ると、2本目はフリードリッヒが先行して、スタリコバは今度は捲りきれずにフリードリッヒが取った。3本目は、1本目の焼き直しかのようにフリードリッヒが先行し、それをフィニッシュ間際でかわしたスタリコバが準決勝進出を決めた。
準決勝に進んだのは、単にタイムが出せるだけでなく、走り方の技術やうまさを持つ4人。スタリコバ、ヒンツェ、ミッチェル、ワイジーというメンバーが揃った。
明日の最終日には準決勝、決勝が行われる。ケイリンではいいところを見せられなかったドイツのヒンツェや香港のワイジーが本領発揮となるか、あるいはこの中で最も予選タイムがいいミッチェルが逃げ切るか、はたまたケイリンでも活躍を見せたウクライナからスタリコバが見せてくれるか。いよいよ勝者が決まる。
男子ケイリン
短距離勢最後のチャンスにして、日本ナショナルチームとしても最も高いプライオリティを置く男子ケイリンがこの日から始まった。
1回戦は、5つのヒートに分かれてレースが行われた。上位2人が準々決勝へ進出となり、その他は敗者復活戦へと回る。
日本からはスプリントでまさかの予選敗退と悔しい結果を喫した新田祐大がヒート4に、そしてケイリンでの金メダルを最大目標と置く脇本雄太がヒート5に登場。
リオオリンピック勝者のジェイソン・ケニー(イギリス)やサム・ウェブスター(ニュージーランド)などが走るヒート1では、ライアン・ヘラル(フランス)とマキシミリアン・レヴィ(ドイツ)が勝ち上がり。
ヒート2は、前日のスプリント3位のジャック・カーリン(イギリス)やケイリンだけ照準を絞るマティエス・ブフリ(オランダ)が登場。
最終周回に入る前のコーナーでムハマド・シャローム(マレーシア)が転倒。セルゲイ・ポノマリョフ(カザフスタン)も巻き込まれて落車。残りの4人は最終周回まで踏んだが、ヒート5の後にやり直しとなった。他の選手が走っているスプリンターレーンに侵入したとされたブフリには警告が与えられた。
改めて落車した2人を除く4人でヒート2が行われると、今度はラスト2周に今度はヒューゴ・バレッテ(カナダ)が落車。トップ2内でフィニッシュしたブフリだったが、ここでも反則を取られたブフリが2回目の警告を出され、降格となり、カーリンとマシュー・リチャードソン(オーストラリア)の勝ち上がりとなった。
ヒート3は、フィニッシュ際で伸び切った、アズジルハスニ・アワン(マレーシア)とニコラス・ポール(トリニダードドバゴ)が準決勝進出を決めた。
新田が出場するヒート4は強豪揃いのメンバーが揃った。スプリントで勝利を掴んだハリー・ラブレイセン(オランダ)に加えて、スプリント4位のデニス・ドミトリエフ(ロシア)、さらにはマシュー・グレーツァー(オーストラリア)やマテウス・ルディク(ポーランド)など強豪メンバーばかり。
最も内側からスタートした新田は、重いギヤを低ケイデンスで回しながら一番前で受ける形となった。先に仕掛けたズ・チャオ(中国)とドミトリエフ(ロシア)の後ろで仕掛けどころを見定める。
最終ラップのバック側で動いた新田は、中国をパスし、最終コーナーにかけて先頭のドミトリエフに並ぶ。ホームストレートでさらに伸びた新田はドミトリエフをも差し切り、首位でフィニッシュし、大きく右拳を掲げた。ラブレイセンらが内側で埋もれる中、勝負どころを見逃さずに大きいギヤを回し切り、強い新田を再び見せた。
最終ヒート5では、脇本の実力が一人抜けるようなメンバー構成。他の組の強豪たちが落ちたことで、敗者復活戦はかなり厳しいメンバー構成になることは避けられないため、ここでしっかりと準々決勝進出を決めたいところだ。
4番手でスタートした脇本は、周りが仕掛ける中、冷静に仕掛けどころを見極める。4人が先行する中、脇本は最終ラップで一気に加速すると、前に仕掛けた4人を全て抜き去り、新田に続いて1番にフィニッシュラインに飛び込んだ。大きな拍手に包まれた会場で脇本は拳を握り、雄叫びをあげた。
敗者復活戦では、ケニー(イギリス)やラブレイセン(オランダ)なども勝利を挙げ、準々決勝進出を決めている。
明日は、準々決勝、準決勝、決勝と行われる。日本勢が強い気持ちを持って最高のレースをしてくれることを期待したい。
男子マディソン
16カ国の選手たちが2人1組となって交代しながらポイント数を争うマディソン。昨日の異常とも言えるような速さで展開した女子マディソンの後だけに、どんな高いレベルの戦いとなるのか期待が高まる。
なお、日本からの出場はなし。
男子オムニアムでは、ロードレースのトップカテゴリーで走る選手たちが表彰台を独占した。金メダルを獲得したマシュー・ウォールズ(イギリス)は、ボーラ・ハンスグローエ、銀メダルのベンジャミン・トマ(フランス)はグルパマ・FDJ、銅メダルのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)はコフィディスで走る選手だ。もちろん上位3人もこのマディソンに出場。
さらには、今年のツール・ド・フランスでマーク・カヴェンディッシュの4勝に深く貢献したミケル・モルコフ(デンマーク)もマディソン現世界王者としてこのマディソンに参戦した。もともとのスタートリストにはモルコフの名前がなかったが、デンマークはチームパシュートを走ったラッセノーマン・ハンセンとともに世界選王者ペアで出場となった。
50km、200周のレースが始まると、女子と同様にいきなりのスピーディーな展開が繰り広げられた。
オムニアムでは悔しい結果となったベンジャミン・トマ(フランス)はいきなり逃げを打った。
逃げたフランス、それを追ったイギリス、オランダ、イタリアの順で1回目のポイント周回を通過した。
フランスはポイント周回を過ぎると集団に一度吸収される。
2回目のポイント周回は、集団一つのままフランス、デンマーク、イギリス、イタリアの順で通過。
前半は特にフランス、イギリス、デンマーク、オランダが常に前方に位置しながらポイント周回前になると先頭争いを繰り広げるといった様相が続いた。
また、男子は、狭いスペースで交代をしながら衝突をうまく避けながら止まることなく動き続ける。
6回目のポイント周回は、ワールドツアーのロードレースでのスプリンターリードアウトマンどうしの戦いに。普段はマーク・カヴェンディッシュの発射台を担うミケル・モルコフ(デンマーク)とケイレブ・ユアンの発射台の役割を担うロジャー・クルーゲ(ドイツ)がスプリント。モルコフが先着すると、ドイツ、イギリス、オランダと続いた。
7回目のポイント周回ではヴィヴィアーニがスプリントし、イタリアが1着通過。8回目のポイント周回はフランスが先に飛び出したのをベルギーがかわし、先頭通過。
この時点で、絶対に先頭とはいかずとも、必ずポイントに絡み続けるイギリスやデンマークがポイント数を加算し、上位に位置する。
その後、ポイント周回前にイギリスが単独で飛び出すシーンが何度か見られたが全て吸収され、ポイント周回で先頭に立つことはできず。デンマークのハンセンが10回目のポイント周回を1位通過すると、そこでレースは折り返しとなった。
この時点でのトップはイギリスの20ポイント。次いでデンマークが19ポイント、フランスが14ポイント。
94周回を残したところで、一瞬集団が緩む。そのタイミングでフランスのトマが再び加速し、一気に半周ほど突き放す。フランスが単独で11回目のポイント周回をとると、後ろからはデンマークとイギリスが追う。
次の12回目のポイント周回を迎えてもなおフランスは単独先頭でポイントを稼ぐ。
フランスは集団に遅れを取ったアイルランドとポーランドと合流するが、その2チームは周回遅れのために先頭交代が許されず、フランスの一本引きが続く。
13回目のポイント周回もフランスが先頭通過。この時点でデンマークを逆転し、フランスが29ポイントと首位に躍り出た。
しかし、さすがに30周の間、先頭で走り続けるフランスにも疲労の色が見える。トマのときはスピードが上がるが、ドナヴァン・グロンダンに代わると速度が落ち、チーム内でも脚の差が見え始めた。
14回目のポイント周回を前にクルーゲ(ドイツ)が単独で抜け出し、一気にフランスを追い越す。さらにベルギーが集団から飛び出し、ドイツ、フランス、ベルギーの順で通過。
ポイント周回を終えると、さらに抜け出したドイツにベルギーが追いついたが、残り56周を残した段階で結局誰もラップすることなく全てが吸収され、集団は一塊に戻った。
ポイント周回はあと5回。ここでもイギリスとデンマークを中心にレースは展開する。オランダは疲労からか、前半のアグレッシブさを失った。
5回目のポイント周回は、ハンセンの腰をあげないスプリントで後ろを突き放すと、先頭をデンマークが取った。
ここでデンマークは33ポイントとまたフランスを逆転。
スイスがアタックしたのを利用しつつ、フランス、スペインがつき、3人の逃げができかける。スイス、デンマークの順で16回目のポイント周回を通過。
一方追う集団ではクルーゲがイギリスと絡み、前輪を取られ、単独で落車してしまう。
その後、スペインが単独で抜け出す。イタリアが追ったが、集団はすぐにイタリアを飲み込まれた。
その状態でスペイン、ニュージー、フランス、イタリアの順で17回目のポイント周回を通過。
スペインは単独先頭のまま、後ろからデンマーク、ベルギーがそれぞれ単独で飛び出すと、スペインに合流し、3人に。そこからフランスのトマもジャンプを試みる。トマはあれだけ逃げた後も脚がしっかりと回っていた。
3人の逃げの中から、さらにベルギーが最後の逆転をかけてラップを狙いに飛び出す。このために残していたかのようにキレのいいアタックで集団との差を引き離していく。
17回目のポイント周回は、ベルギー、デンマーク、スペイン、イギリスの順で通過。
ベルギーは集団に対して1/4周から半周ほどの差をつけたが、集団もスピードが上がっており、なかなかラップまでいくことができない。
19回目のスプリント周回をベルギーが先頭、集団からはイギリス、デンマーク、フランスがポイントを獲得。
集団からイギリスが大きくジャンプ。残り4周のところでベルギーに追いつくと、一気に抜き去った。そのままイギリスは最終ラップのポイントを先頭で通過。そして勝利を確信したデンマークはゆっくりとフィニッシュへと向かい、両手を突き上げた。
結局、ラップをするような動きはあったものの、全体のスピードが早く、ポイント周回をいかに前で展開できるかで勝負が決まった。
50km走っての平均時速はなんと59.690km/h。まさに世界一を決めるに相応しい戦いとなった。
男子マディソン 決勝リザルト
金メダル デンマーク(ラッセノーマン・ハンセン&ミケル・モルコフ)43pts
銀メダル イギリス(イーサン・ハイター&マシュー・ウォールズ)40pts
銅メダル フランス(ベンジャミン・トマ&ドナヴァン・グロンダン)40pts