ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第7ステージはストーラーが優勝
スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、8月20日にガンディアからバルコン・デ・アリカンテ頂上までの152kmで、カテゴリー1頂上ゴールの第7ステージを競い、オーストラリアのマイケル・ストーラー(チームDSM)が独走で逃げ切り、グランツール区間初優勝を果たした。
区間2位はスペインのカルロス・ベロナ(モビスターチーム)、3位はロシアのパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアズ)だった。
総合リーダージャージのラ・ロハを着たスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)は、3分33秒遅れのメイングループでゴールし、総合首位の座を守った。
第7ステージはレース後半のプエルト・エル・コリャオ峠(カテゴリー2)の登坂で、地元スペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が落車する事故が発生した。彼は一旦レースを続行したが、結局リタイアした。41歳のバルベルデは第6ステージまでの総合成績で、41秒遅れの総合4位だった。
6カ所の山を上る山岳ステージ
第7ステージは182選手が出走。今年最初の本格的な山岳ステージは、カテゴリーの付いた6カ所の上り坂が設定され、ゴールのバルコン・デ・アリカンテ(カテゴリー1)はブエルタ初登場だった。スタートしてすぐに始まったカテゴリー1のプエルト・ラ・リャクナ峠で、区間優勝を目指すアタックは開始された。
16.4kmの山頂をジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過し、シヴァコフが2位でポイントを稼いだ後、29人の大きな先頭グループが形成された。そこには第5ステージで落車事故に巻き込まれ、総合成績では大きく遅れてしまったロマン・バルデを含めたチームDSMの選手が5人加わっていて、ストーラーもその1人だった。
先頭集団で最も総合成績が上位だったのはヤン・ポランツェ(UAEチーム・エミレーツ)で、1分42秒遅れの総合12位だった。2分9秒遅れで総合15位のフェリックス・グロースシャルトナー(ボーラ・ハンスグローエ)も、ログリッチの総合首位の座を脅かす存在だった。
60.5kmのプエルト・デ・ベニリョバ(カテゴリー3)は、バルデが先頭で通過。続く80km地点のプエルト・デ・トゥドンス峠(カテゴリー2)は、バーチャルで総合リーダーになったポランツェが1位で通過した。集団の後方では、この日最初の峠から遅れていた英国のヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO)がリタイアした。ゴールまで残り50kmで、26人に減った先頭集団はメイン集団に3分50秒差を付けていた。
バルベルデが落車
レースは後半戦に入り、この日4つ目のプエルト・エル・コリャオ峠(カテゴリー2)で、先頭集団はアタックがスタートした。4分後方のメイン集団でも、モビスターチームが先頭を引き始め、そこからバルベルデが攻撃を開始し、リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)やアダム・イェーツ(イネオス・グレナディアズ)が応戦した。
ところが、先頭に出たカラパスの後方で右コーナーに差し掛かったバルベルデは転倒してしまった。彼はガードレールの外側に飛び出してしまったが、幸い崖下までは落ちなかった。プエルト・エル・コリャオ峠で、ラ・ロハのグループは30人程になっていた。先頭の逃げ集団では、バルデが頂上を先頭で通過し、山岳賞ポイントを稼いだ。
ゴールまで残り34kmの下りで先頭集団からローソン・クラドック(EFプロサイクリング・NIPPO)がアタックし、シヴァコフとストーラーが合流した。3人が後続に30秒ほどのタイム差を付けて逃げる中、バルベルデがレースをリタイアしたと発表された。
ゴールまで残り8.4kmの、バルコン・デ・アリカンテのふもとでクラドックは遅れ、先頭はシヴァコフとストーラーの2人になった。しかし、残り7kmでベロナとアンドレーアス・クローン(ロット・スーダル)が追いつき、先頭は4人になった。ここから残り4kmでベロナがアタックしたが成功せず、残り3.5kmで今度はストーラーがアタックし、独走を開始した。
ストーラーはゴール前のキツい傾斜を、ベロナに追いつかれずに何とか上り切り、グランツール区間初優勝を果たした。彼はこの日の敢闘賞も獲得した。区間3位でゴールしたシヴァコフは、山岳賞総合成績で区間1位のストーラーよりも4ポイント上回り、山岳賞総合首位になっている。
ラ・ロハのグループでは、バルコン・デ・アリカンテの登坂でイェーツがアタックしたが、ログリッチを蹴落とす事はできなかった。最後は5人に絞られたラ・ロハのグループは3分33秒遅れでゴール。ログリッチは逃げ切ったグロースシャルトナーにたった8秒差で総合首位の座を守る事ができた。
今年最初の本格的な山岳区間だった第7ステージは、カーシーとバルベルデを含めた5選手が途中リタイアし、南アフリカのレイナールト・イァンスファンレンスブルフ(チームクベカ・ネクストハッシュ)がタイムオーバーで失格となり、完走したのは176選手だった。
■グランツール区間初優勝を果たした24歳のストーラーのコメント
「ブエルタの区間優勝者になるなんて、期待していなかった。自分の調子が良いのは分かっていた。とにかく行かなければならなかった。今日何とか勝てて、とても嬉しいし、驚いた。最後の1kmは楽しめなかったよ。それを成し遂げた事に気が付き始めている。この勝利を本当に楽しんでいる」
■第7ステージ結果[8月20日/ガンディア~バルコン・デ・アリカンテ/152km]
1. STORER Michael (TEAM DSM / AUS) 4:10:13
2. VERONA QUINTANILLA Carlos (MOVISTAR TEAM / ESP) +21
3. SIVAKOV Pavel (INEOS GRENADIERS / RUS) +59
4. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +1:16
5. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +1:24
6. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +1:32
7. GROSSSCHARTNER Felix (BORA – HANSGROHE / AUT) +1:32
8. KRON Andreas (LOTTO SOUDAL / DEN) +1:37
9. CRAS Steff (LOTTO SOUDAL / BEL) +2:17
10. POLANC Jan (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +2:29
15. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +3:33
16. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +3:33
17. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +3:33
18. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +3:33
19. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +3:33
26. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +4:03
128. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +26:29
■第7ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) 25:18:35
2. GROSSSCHARTNER Felix (BORA – HANSGROHE / AUT) +8
3. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +25
4. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +36
5. POLANC Jan (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +38
6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +41
7. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +57
8. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +59
9. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +1:06
10. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:22
16. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +2:48
142. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +51:52
[各賞]
■ポイント賞 : PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
■山岳賞 : SIVAKOV Pavel (INEOS GRENADIERS / RUS)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : MOVISTAR TEAM (ESP)
■敢闘賞 : STORER Michael (TEAM DSM / AUS)
第8ステージは平坦区間
8月21日はサンタ・ポラからラ・マンガ・デル・マル・メノルまでの173.7kmで、山岳ポイントが1つもない平坦区間の第8ステージが行われる。