ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第10ステージはストーラーが2勝目/エイキンが総合首位

スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、休養日明けの8月24日にロケタス・デ・マルからリンコン・デ・ラ・ビクトリアまでの190.3kmで第10ステージを競い、オーストラリアのマイケル・ストーラー(チームDSM)が独走で逃げ切り、第7ステージに続いて今大会区間2勝目を上げた。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

オーストラリアのストーラーが今大会2勝目を上げた(©Bettiniphoto)

区間2位はベルギーのマウリ・ヴァンセヴェナント(ドゥクーニンク・クイックステップ)、3位はフランスのクレモン・シャンプーサン(AG2R・シトロエンチーム)だった。

総合リーダージャージのラ・ロハを着ていたスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)は、11分49秒遅れでゴール。22秒遅れの区間5位でゴールしたノルウエーのオッドクリスティアン・エイキン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が総合首位になり、ラ・ロハを獲得した。

ノルウエー出身の選手がブエルタで総合首位に立ったのは、2006年のトール・フースホフト以来、実に15年ぶりだった。ベルギーのアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオーは、エストニアのレイン・タラマエに続いて、今大会2人目のラ・ロハ獲得だった。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

26歳のエイキンが総合首位になり、ラ・ロハを獲得した


31人の大きな集団が逃げた

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第10ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLI

第10ステージは171選手が出走。休養日にブエルタを去った選手は居なかった。スタートからアタックが続いたが、成功する選手はなく、最初の1時間の平均時速は49.3km/hになった。

65km地点でリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)がアタックしたのをきっかけに、集団は2つに分断。ポイント賞のグリーンジャージを着たファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、後続集団に取り残されてしまった。

先頭集団では逃げのアタックが続けられ、87km地点で31人の大きな集団が逃げ出す事に成功した。彼らはすぐにタイム差を広げ始め、ゴールまで残り90kmで5分以上になっていた。ヤコブセンのグループは、ユンボ・ヴィスマがコントロールする集団に合流できた。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

31人の逃げ集団で最も総合が上位だったのはエイキンだった(©Bettiniphoto)

31人の逃げ集団には、今大会ですでに区間優勝していたストーラー、マウヌス・コートニルスン(EFエデュケーション・NIPPO)、そして第6ステージでラ・ロハを着用したケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)も加わっていた。総合成績で最も上位だったのはエイキンで、第9ステージの終了時点で9分10秒遅れの総合19位だった。ゴールまで残り50kmでタイム差は10分になり、エイキンがバーチャル総合リーダーになった。

ゴールまで残り40.3kmの中間スプリントは、マッテーオ・トレンティン(UAEチーム・エミレーツ)が先頭で通過。5km先でトレンティン、フロリス・デティール(アルペシン・フェニックス)、アレックス・アランブル(アスタナ・プルミエテック)、ヘスス・エラダ(コフィディス)の4人が先頭集団からアタックし、10秒差を付けた。

レース終盤に設定されていたカテゴリー2のプエルト・デ・アルマチャル峠のふもとで、4人は後続に20秒差を付けていたが、上りで追走集団に吸収されてしまった。先頭グループでアタックと吸収が続いた後、傾斜が最もキツい場所でストーラーがアタックし、独走を開始した。

第7ステージでも逃げ勝っていたストーラーは、13秒差を付けて残り16kmの山頂を通過した。後方では下りで2番手のシャンプーサンにヴァンセヴェナント、ディラン・ファンバールレ(イネオス・グレナディアズ)、エイキンが合流して追走を続けたが、残り1kmでタイム差は20秒以上あった。ストーラーはそのまま逃げ切り、今大会2勝目を上げた。


ログリッチがアタック

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

最後の峠でメイングループからアタックしたラ・ロハのログリッチ

12分半遅れたメイン集団では、プエルト・デ・アルマチャル峠の坂でラ・ロハを着たログリッチがアタック。この攻撃には誰もついて行けなかった。ログリッチはライバルたちに20秒ほどのタイム差を付けて峠を越えたが、下りのコーナーで転倒するアクシデントに見舞われ、結局追いかけてきたエンリク・マス(モビスターチーム)のグループに捕まってしまった。彼は11分49秒遅れでゴールし、総合首位の座をノルウエーのエイキンに明け渡した。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

ログリッチは第10ステージで総合首位の座を明け渡した

■今大会2勝目を上げたストーラーのコメント
「前回よりも本当にずっと信じられない。逃げるための大きな戦いだった。逃げ出すまで80kmは戦ったと思う。そこに加われて嬉しかった。最後の上りでは調子が良いと感じていた。今日勝つには、何をする必要があるのか、正確に分かっていた。ボクはアタックしなければならなかった。行って、ベストを尽くせることを望んだ。

正確なタイム差は得てなかったが、僅差なのは知っていた。下りを速く下らなければならなかった。この地方には乾いていて滑りやすい道路がある。自分の下りは、持ちこたえるのに十分だと感じていた。10日間でブエルタの2つの過酷なステージで自分が勝ったなんて、まだ実感がないよ」

■総合首位になってラ・ロハを着たエイキンのコメント
「我々は第3ステージですでにラ・ロハを獲得していたから、これはボーナスで、ボクにとっては特別なものだ。今朝はこれを期待すらしていなかった。9分遅れだったんだから、このジャージになれたのはほとんど奇跡だ。(無線の)イヤフォンで8分、9分、10分と聞いていた。そして最終的に、これが本当に可能だと理解した。

ギヨーム・マルタンは強いクライマーだ。彼はツール・ド・フランスをトップ10で終えたばかりだ。僅差なのは知っていたから、彼を注意していた。最後は可能な限り多くのタイムを得ようと努力した。これがどんな意味を持つのか、言葉では説明できない。本当に本当に大きいよ」
 

■第10ステージ結果[8月24日/ロケタス・デ・マル~リンコン・デ・ラ・ビクトリア/190.3km]
1. STORER Michael (TEAM DSM / AUS) 4:09:21
2. VANSEVENANT Mauri (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +22
3. CHAMPOUSSIN Clément (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +22
4. VAN BAARLE Dylan (INEOS GRENADIERS / NED) +22
5. EIKING Odd Christian (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NOR) +22
6. NARVAEZ PRADO Jhonatan Manuel (INEOS GRENADIERS / ECU) +51
7. SCHULTZ Nicholas (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS) +51
8. BOUCHARD Geoffrey (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +51
9. CALMEJANE Lilian (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +51
10. ELISSONDE Kenny (TREK – SEGAFREDO / FRA) +51

12. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +51
33. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +11:49
34. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +11:49
35. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +11:49
36. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +11:49
37. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +11:49
43. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +12:26
102. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +21:41

■第10ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. EIKING Odd Christian (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NOR) 38:37:46
2. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +58
3. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +2:17
4. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:45
5. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +3:38
6. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +3:59
7. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +4:46
8. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +4:57
9. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +5:01
10. GROSSSCHARTNER Felix (BORA – HANSGROHE / AUT) +5:42
140. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +1:35:57

[各賞]
■ポイント賞 : JAKOBSEN Fabio (DECEUNINCK – QUICK-STEP / NED)
■山岳賞 : CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : TRENTIN Matteo (UAE TEAM EMIRATES / ITA)


第11ステージは中級山岳区間

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第11ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLI

8月25日はアンテケラからバルデペニャス・デ・ハエンまでの133.6kmで、中級山岳区間の第11ステージが行われる。起伏の多いコースだが、カテゴリーが付いた峠は終盤のプエルト・デ・ロクビン(カテゴリー2)だけ。ハエンのゴールも上り坂で、残り1kmに20%の勾配がある厳しいステージだ。
 
ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式サイト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021開幕情報(スタートリスト)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継&ライブ配信!