ツールを支えたシマノニュートラルサービス

コーポレートカラーに合わせて前年度よりも濃度を落としたという青い車体に白地のSHIMANOの文字。世界最高峰の舞台で活躍する縁の下の力持ちに光を当てる。

シマノニュートラルサービス

圧倒的シェアを誇るシマノが安心のサポートを提供

74%。これはツール・ド・フランスに出場するチームのシマノコンポーネント使用率を表す数字だ。23チームのうち、実に17チームがシマノのグループセットを採用。世界最高峰のロードレース界において既に圧倒的シェアを誇る日本のシマノが、同社の100周年を祝う21年に、世界最高峰の舞台でニュートラルサービスを開始した。

シマノニュートラルサービス

実に74%のチームがシマノを採用。コンポーネントだけでなくデュラエースホイールの使用率も高い

その名のとおり、ニュートラルサービスは中立な立場で全てのチームにサポートを提供するサービスのこと。シマノは01年からヨーロッパを拠点にサービスを開始し、既に世界選手権やジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャ、その他にも数々のクラシックレースでサポートを行ってきた。

レース中に機材トラブルが発生した場合は基本的に所属チームのメカニックが駆けつけて修理もしくは交換を行うが、184人もの選手がコース上に散らばるロードレースではチームの手の届かないところでさまざまなトラブルが発生する。そこで活躍するのが鮮やかな「シマノブルー」をまとった3台のステーションワゴンと1台のモーターサイクル。元プロ選手や普段メカニックとして働くエキスパート9人がすぐに最適なサポートを行う仕組みだ。

決して簡単な仕事ではない。何しろ23チームの使用機材はバラバラで、ディスクブレーキとリムブレーキが混在しているのはもちろん、ペダルの種類も違えば、コンポーネントメーカーによって11速だったり12速だったり、ディスクローター径が違ったりととにかく複雑。そのためサービススタッフは毎日スタート地点で各チームを巡回してその日の使用機材をチェック。全ての選手にサービスを提供できるように入念に準備を行っている。

シマノニュートラルサービス

ディスクブレーキのフロントローター径は160mmが標準だが、21年は数チームが140mmを採用している

かつてはホイール交換の割合が多かったが、ディスクブレーキ率が上がった近年はサポートバイクを差し出す機会が増えたという。各サポートカーに6台ずつ載せられたバイクは、出場選手の身長に合わせて台数を調整した4サイズ展開。クイックリリース式で素早くサドル高を変更可能だが、例えばマイヨ・ジョーヌの選手をサポートする可能性が高い場合はサドル高をあらかじめ合わせ、最も取り出しやすい場所に配置しておくという。スムーズにフランスを一周するツールの裏には、実はそんなきめ細やかなサポートがあった。

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キャリヤにはバイク6台が積まれており、他にも規格の異なるホイール8組が搭載。万全の体制を整える