ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第14ステージはバルデが初優勝

  • photo Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport / UNIPUBLIC

スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、8月28日にドン・ベニトから標高1580mのピコ・ビリュエルカスまでの165.7kmで、カテゴリー1頂上ゴールの第14ステージを競い、フランスのロマン・バルデ(チームDSM)が独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

独走で逃げ切ってブエルタ区間初優勝を果たした30歳のバルデ

バルデはこの日山岳賞総合でも首位に立ち、白地に青い水玉模様の山岳賞ジャージも獲得した。区間2位はスペインのヘスス・エラダ(コフィディス)、3位はオーストラリアのジャイ・ヴァイン(アルペシン・フェニックス)だった。総合首位の座はノルウエーのオッドクリスティアン・エイキン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が辛くも守りきった。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

エイキンが総合首位の座を守った

 
バルデが序盤から逃げた

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第14ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

第14ステージは165選手が出走。スタートからアタックが開始され、8kmで18人の大きな集団が先行した。ここには山岳賞を狙うバルデも加わっていた。18人の逃げ集団は17km地点で2分10秒差を付けていた。

集団はアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオーがコントロール。先頭の逃げで最も総合成績が上位のクレモン・シャンプーサン(AG2R・シトロエンチーム)でも45分39秒遅れの33位だったので、ラ・ロハを脅かす選手は入っていなかった。

この日、最初の峠だったプエルト・ベルソカナ峠のふもとで、先頭の逃げ集団はメイン集団に10分以上のタイム差を付けていた。86.7km地点の山頂は、バルデが先頭で通過し、3ポイントを獲得した。これで彼は山岳賞総合リーダーのダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)と1ポイント差になった。

続くアルト・コリャド・デ・パレステロス峠のふもとで、集団はユンボ・ヴィスマ、チームバイクエクスチェンジ、モビスターチーム、イネオス・グレナディアズが引き始めた。カテゴリー1の山頂は再びバルデが先頭で通過し、10ポイントを獲得。これで彼が山岳賞総合首位になった。

ゴールまで残り49kmで、先頭集団からニコラ・プロドム(AG2R・シトロエンチーム)、ダニエル・ナバロ(ブルゴス・BH)、マシュー・ホームズ(ロット・スーダル)が先行。ホームズは不運にもパンクに見舞われて遅れ、先頭は2人になった。

中間スプリントはナバロが先頭で通過した。ゴールまで残り26.5kmで後続が追いつき、先頭は一度11人になったが、プロドムがもう一度アタックし、ナバロとセップ・ヴァンマルケ(イスラエル・スタートアップネーション)が合流した。ところがすぐに下りのカーブでヴァンマルケとナバロが転倒し、先頭はプロドム1人になった。

ゴールまで残り14.5km、最後のピコ・ビリュエルカス(カテゴリー1)をプロドムは先頭で上り始めたが、残り6kmでバルデに追い抜かれてしまった。バルデはそのまま逃げ切り、ブエルタ区間初優勝を果たした。彼にとって、この勝利は2017年のツール・ド・フランスでの区間優勝以来の、グランツールでの区間優勝だった。

メイン集団ではピコ・ビリュエルカスの中腹で、総合2位のギヨーム・マルタン(コフィディス)がチームメートのレミ・ロシャスとともにアタックしたが、そのまま抜け出す事はできなかった。ラ・ロハを着たエイキンは、ユンボ・ヴィスマが引く集団の後方に何とか付いて行く事ができた。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

レース終盤にアタックしたロペス。最後は4秒しか稼げなかった

ゴールまで残り2.7kmで、メイン集団からミゲルアンヘル・ロペス(モビスターチーム)がアタックしたが、ユンボ・ヴィスマは反応せず、集団を引き続けた。ロペスは単独でゴールしたが、総合のライバルたちにはたった4秒差しか付ける事ができなかった。ラ・ロハを着たエイキンはゴール手前500mでわずかに遅れてしまい、総合2位のマルタンとのタイム差は54秒に縮まった。

■ブエルタ区間初優勝したバルデのコメント
「正直なところ、ボクは本当に一歩一歩進んだ。最後に、逃げでは誰も追走に本気で取り組む事を望まなかったから、(プロドムを)捕まえるのに本当に苦労した。でも、我々はウインストン監督と一緒に本当に賢くプレーしたと思う。彼はどこでアタックするのかを的確に言ってくれた。それは最も勾配がキツい場所だった。ボクはゴールまで残り200mであるかのように行った。うまくやれて、いいギャップを開けた。そしてボクはゴールまで取り組んだ。

(グランツールでの区間優勝を)長い間待っていた。それが今日だとは思わなかった。ただ全力を尽くす事に集中していた。スタートからうまくいった。勝てなかったとしても、水玉ジャージは取れると分かっていたよ」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

バルデは山岳賞で総合首位に立った

■ラ・ロハを守ったエイキンのコメント
「最後はかなり苦しんだ。1日のほとんどはコントロールされていると感じていて、最後の上りがハードすぎない事を望んでいた。そこはそれほど急ではなかったから、賭けに出て、可能な限り付いていく努力をした。最も僅差のライバルであるマルタンがアタックを試みた。でも、強い向かい風なのは分かっていた。今日はうまくいった。

残り3kmを通過した時、うまくいくだろうという本当にとても良い気分になった。(次の休養日までラ・ロハを守るのは)可能だ。明日のレース次第だ。確かに、ボクの脚はとても調子が良いよ」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

最後はわずかに遅れたが、総合首位の座は守る事ができたエイキン


■第14ステージ結果[8月28日/ドン・ベニト~ピコ・ビリュエルカス/165.7km]

1. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) 4:20:36
2. HERRADA Jesus (COFIDIS / ESP) +44
3. VINE Jay (ALPECIN-FENIX / AUS) +44
4. PIDCOCK Thomas (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:12
5. CHAMPOUSSIN Clément (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +1:14
6. HOLMES Matthew (LOTTO SOUDAL / GBR) +1:16
7. ZEITS Andrey (TEAM BIKEEXCHANGE / KAZ) +1:19
8. GENIETS Kévin (GROUPAMA – FDJ / LUX) +1:46
9. PRODHOMME Nicolas (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +2:04
10. TRATNIK Jan (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) +2:15

16. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +10:25
17. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +10:29
18. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +10:29
19. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +10:29
21. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +10:41
28. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +10:45
30. EIKING Odd Christian (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NOR) +10:49
92. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +24:07

■第14ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. EIKING Odd Christian (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NOR) 55:03:17
2. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +54
3. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +1:36
4. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:11
5. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +3:04
6. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +3:35
7. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +4:21
8. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +4:49
9. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +4:59
10. GROSSSCHARTNER Felix (BORA – HANSGROHE / AUT) +5:31
126. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +2:10:41

[各賞]
■ポイント賞 : JAKOBSEN Fabio (DECEUNINCK – QUICK-STEP / NED)
■山岳賞 : BARDET Romain (TEAM DSM / FRA)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : NAVARRO GARCIA Daniel (BURGOS-BH / ESP)


第15ステージは山岳区間

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第15ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

8月29日はナバルモラル・デ・ラ・マタからエル・バラコまでの197.5kmで、4カ所の峠を越える山岳区間の第15ステージが行われる。
 
ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式サイト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021開幕情報(スタートリスト)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継&ライブ配信!