ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第17ステージはログリッチが制して総合首位奪還
スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ（ＵＣＩワールドツアー）は、9月1日にウンケラからカテゴリー超級のラゴス・デ・コバドンガ頂上までの185.8kmで、アストゥリアス山岳区間の第17ステージを競い、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ（ユンボ・ヴィスマ）が後続に1分35秒差を付け、独走で今大会３勝目を上げた。
ラゴス・デ・コバドンガを制したログリッチは、ゴールでガッツポーズを見せた
区間２位は米国のセップ・クース（ユンボ・ヴィスマ）、３位はコロンビアのミゲンアンヘル・ロペス（モビスターチーム）だった。総合リーダージャージのラ・ロハを着ていたノルウエーのオッドクリスティアン・エイキン（アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）は、9分23秒遅れでゴール。ログリッチが最終週の山岳区間で総合首位の座を奪還した。
残り61kmでベルナルがアタック
●第17ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)
第17ステージは158選手が出走。スタートからアタックと吸収が続き、最初の１時間の平均時速は50.3km/hだった。75km地点で30人の大きな逃げ集団が形成され、２回越えるコリャダ・リョメナ峠（カテゴリー１）を上り始めた。
87.9kmの頂上はマイケル・ストーラー（チームＤＳＭ）が先頭で通過。メイン集団はイネオス・グレナディアズが引き、頂上近くでラ・ロハのエイキンが遅れたが、この時は下りで再び合流する事ができた。逃げ集団からは下りでオリヴィエ・ルガック（グルパマ・ＦＤＪ）がアタックし、独走を続けた。
レースは後半、雨に見舞われた。先頭を逃げていたルガックは、２回目のコリャダ・リョメナ峠を上り始めた所でメイン集団に捕まった。後方では、ラ・ロハのエイキンが再び遅れ始めていた。
ゴールまでまだ60km以上ある峠でアタックしたベルナルに、ログリッチは何も考えずに付いて行った
ゴールまで残り61kmのコリャダ・リョメナ峠で、新人賞ジャージを着たエガン・ベルナル（イネオス・グレナディアズ）がアタック。付いて行ったのはログリッチだけだった。残り56.2kmの頂上で、ベルナルとログリッチは追走集団に43秒差、エイキンに1分45秒差を付けていた。
ゴールまで残り12.5kmで、最後のラゴス・デ・コバドンガ登坂がスタートした時、先頭のベルナルとログリッチは、追走グループに１分半近いタイム差を付けていた。下りで落車したエイキンは、ここですでに５分以上遅れていた。
ラゴス・デ・コバドンガでの一騎打ちの対決は、意外にすぐ決着が付いた。ゴールまで残り7.6kmで、ベルナルは遂にログリッチのペースに付いて行けなくなり、失速してしまったのだ。ここからログリッチは独走を続け、第１ステージ、第11ステージに続く今大会区間３勝目を難なく上げた。
追走グループはラゴス・デ・コバドンガでバーレーン・ヴィクトリアスがペースを上げ、前日まで総合２位に付けていたギヨーム・マルタン（コフィディス）が遅れてしまった。先頭のログリッチに1分半遅れていたこのグループは、ゴール目前でベルナルを捕まえた。最後はセップ・クース（ユンボ・ヴィスマ）がスパートし、ログリッチのライバルが区間２位のボーナスタイムを獲得するのを阻止した。
クースはログリッチのために、ボーナスタイム獲得を阻止するスパートで区間２位に入った
総合首位に返り咲いたログリッチは、スペインのエンリク・マス（モビスターチーム）に2分22秒差、ミゲルアンヘル・ロペス（モビスターチーム）に3分11秒差を付けて、クイーン・ステージと言われるカテゴリー超級の第18ステージを迎える事になった。
■ラゴス・デ・コバドンガを制して総合首位に返り咲いたログリッチのコメント
「自転車レースでは常にリスクがある。多くの事が起こりえる。しかし、今日はうまく行った。それを楽しんだよ。ボクにとってもチーム全体にとってもとても素晴らしい日だ。何も考えず、ただベルナルと一緒に行った。それがレースさ。その後で、ちょっと考えた…わあ、まだかなり遠いなと。最後にはまだ過酷な上りがあった。でも、順調に進み、ボクたちは本物のレースを見せた。
最後の上りでは、可能な限りハードに走った。ベルナルはもう付いてこられなくなったから、１人で進んだ。このブエルタで、ボクにとって最大の見せ場だと思う。応援を受けてそれを楽しんだよ。天気だけが最高ではなかったが、とても素晴らしい日だ。総合成績でのタイム差は、決して十分に大きくないが、素晴らしい。我々はそれに値する。とにかく、明日はクイーン・ステージだから、それが十分なのか確認するよ」
ラゴス・デ・コバドンガでログリッチが総合リーダージャージのラ・ロハを奪還した
■第17ステージ結果［9月1日／ウンケラ～ラゴス・デ・コバドンガ／185.8km］
1. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) 4:34:45
2. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +1:35
3. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +1:35
4. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:35
5. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +1:35
6. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +1:35
7. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +1:35
8. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +1:35
9. MEINTJES Louis (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / RSA) +2:29
10. CHAMPOUSSIN Clément (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +2:44
15. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +4:46
23. EIKING Odd Christian (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NOR) +9:23
108. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +38:38
■第17ステージまでの総合成績（ラ・ロハ）
1. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) 68:42:56
2. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:22
3. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +3:11
4. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +3:46
5. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +4:16
6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +4:29
7. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +4:45
8. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +5:04
9. GROSSSCHARTNER Felix (BORA – HANSGROHE / AUT) +6:54
10. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +6:58
11. EIKING Odd Christian (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / NOR) +7:59
120. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +3:20:45
［各賞］
■ポイント賞 : JAKOBSEN Fabio (DECEUNINCK – QUICK-STEP / NED)
■山岳賞 : BARDET Romain (TEAM DSM / FRA)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
第18ステージもアストゥリアス超級頂上ゴール
●第18ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)
9月2日はサラスをスタートし、標高1770mでカテゴリー超級のアルトゥ・デル・ガモニテイル頂上にゴールする162.6kmの第18ステージが行われる。ゴールのアルトゥ・デル・ガモニテイルはブエルタ初登場で、全長14.6km、平均勾配は9.8％。このステージは序盤からカテゴリー１の峠を２つ越え、さらにカテゴリー２の峠を１つ越えた後、アルトゥ・デル・ガモニテイルに挑む過酷な区間で、今大会のクイーン・ステージと呼ばれている。
