コペンハーゲンで開幕するツール・ド・フランス2022コース発表
アモリー・スポール・オルガニザシオン(ASO)が10月14日に、来年デンマークの首都コペンハーゲンで開幕する第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)のコースを発表した。
今年はパリのパレ・デ・コングレでコース発表会が開催され、7月に連覇を成し遂げたスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)、ポイント賞を獲得した英国のマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)らが出席した。
北欧デンマークの首都コペンハーゲンは、当初今年のグランデパール(開幕地)になる予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)の影響で1年延期になっていた。フランスのツールが外国で開幕するのは24回目で、デンマークは10カ国目になる。7月1日の初日はコペンハーゲン市街地で13kmの個人タイムトライアルが行われる。
デンマークでは3ステージが行われ、その後、フランスに戻る移動日が1日設けられたため、来年のツールは1日早い金曜日にスタートする。全21ステージの総距離は3328kmで、平坦区間が6、丘越え区間が7、山岳区間が6(そのうち頂上ゴールは5)、個人タイムトライアルが2区間(総距離53km)となっている。来年のツールはデンマークだけでなく、隣国ベルギーとスイスにも訪れる。
4年ぶりの石畳ステージ
北欧デンマークからフランス北東部へと移動し、国内のステージは北海沿岸のダンケルクからスタートする。来年のツールで最初の注目ステージとなるのは、クラシックの女王『パリ〜ルーベ』の石畳を走る第5ステージで、2018年以来、4年ぶりでコースに取り入れられた。
アランベールにゴールする第5ステージは、後半に1.3kmから2.8kmの石畳セクターが11カ所あり、石畳の総距離は19.4kmになる。2018年の石畳ステージでは、ドイツのジョン・デゲンコルプ(ロット・スーダル)が優勝した。
時計回りで4つの山脈を通過
来年のツールは北東部から時計回りで南下し、ヴォージュ山脈、アルプス山脈、中央山塊、ピレネー山脈を通過するが、フランス西部は訪れない。最初の山岳ステージは、ヴォージュ山脈のラ・シュベール・プランシュ・デ・ベルフィーユ(標高1140m)頂上にゴールする第7ステージになる。
1週目の週末に隣国スイスへと越境した後、アルブス山岳ステージは2週目の真ん中に設定され、7月13日の第11ステージはテレグラーフ峠とガリビエ峠を越えた後、全長10kmで平均勾配9%のコル・デュ・グラノン頂上にゴールする。標高2413mのコル・デュ・グラノンは、ツールの過去25年間で最も標高が高いゴールとなる。その翌日の革命記念日には、標高1850mのアルプ・デュエズにゴールする第12ステージが続く。
2週目の週末は中央山塊が舞台となり、第14ステージは『ローラン・ジャラベールの山』と呼ばれているコート・ド・ラ・クロワ・ヌーヴの登坂がゴール前に設定されている。標高1055mのコート・ド・ラ・クロワ・ヌーヴは全長3kmで平均勾配は10.2%だ。
最終週の真ん中にはピレネー山岳ステージが設定され、7月20日の第17ステージはアスパン峠、ウルケット・ダンチザン峠、ヴァルルロン・アゼ峠を越えた後、標高1580mのペイラギュード頂上にゴールする。その翌日の第18ステージは標高1520mのオタカム頂上にゴールする最後の山岳ステージとなる。来年は今年よりも頂上ゴールの山岳ステージが多く、クライマー向きのコース設定だ。
4つの山脈を通過した選手たちには、最終日前日に40kmの個人タイムトライアルが待ち受けている。南仏オクシタニー地方が舞台となる第20ステージのスタートとゴールは、どちらもツール初登場の町で、コースは平坦ではなく、終盤に2つの丘を上らなければならない。
通常ステージのゴールに設定されるボーナスタイムは、第109回大会でも導入され、区間1位で10秒、2位で6秒、3位で4秒が獲得できる。賞金総額は230万ユーロ(約3億300万円)で、そのうち個人総合優勝者の賞金は50万ユーロ(約6600万円)になる。
アモリー・スポール・オルガニザシオンは、10月11日にイタリアのサンティーニ社と2022年から5年間のパートナー契約を交わしたと発表した。これにより、来年のツールの4賞ジャージはフランスのルコック社からサンティーニ社製に変わる。
■来年はツール3連覇に挑むポガチャルのコメント
「完璧なコースだ。特に最初の数日間は。風の強いステージで常にトリッキーだからね。我々は全てを持っている。スプリント、山岳、タイムトライアル、集団分断の予感。これらを可能な限り理解するために、しっかりと下見をしなければならないだろう。それはとてもエキサイティングだ。特に集団分断が発生するステージはとても緊迫するだろう。時速80km/hでギャップが生じると、ものすごく緊迫する可能性があるよ」
■世界チャンピオンのアラフィリップのコメント
「このコースが好きだ。タイムトライアル、集団分断、石畳、パンチャーのためのゴールがある最初の週は、とても美しいレイアウトだ。それは素晴らしいものになるだろう。序盤にマイヨ・ジョーヌを獲得するのは簡単ではない。タイムトライアルで始まるのは、時間をかけて(マイヨ・ジョーヌを)獲得する最良のやり方にもなれば、すぐに失う事にもなる。総合的にこれはとても素晴らしいレイアウトで、最初の週はボクに多くのインスピレーションを与える。今シーズンから回復して、下見を始めるのが待ちきれないね」
第109回ツール・ド・フランス全日程
7月1日(金)□第1ステージ[コペンハーゲン(デンマーク)〜コペンハーゲン(デンマーク)]13 km (個人TT)
7月2日(土)□第2ステージ[ロスキレ(デンマーク)〜ニューボウ(デンマーク)]199 km (平坦)
7月3日(日)□第3ステージ[ヴァイレ(デンマーク)〜セナボウ(デンマーク)]182 km (平坦)
7月4日(月)□移動日
7月5日(火)□第4ステージ[ダンケルク〜カレー]172 km (丘越え)
7月6日(水)□第5ステージ[リール・メトロポール〜アランベール/ポルト・デュ・エノー]155 km (丘越え*石畳)
7月7日(木)□第6ステージ[バンシュ(ベルギー)〜ロンウィ]220 km (丘越え)
7月8日(金)□第7ステージ[トンブレンヌ〜ラ・シュベール・プランシュ・デ・ベルフィーユ]176 km (山岳/頂上ゴール)
7月9日(土)□第8ステージ[ドール〜ローザンヌ(スイス)]184 km (丘越え)
7月10日(日)□第9ステージ[エーグル(スイス)〜シャテル・レ・ポルテ・デュ・ソレイユ]183 km (山岳)
7月11日(月)□休養日(モルズィヌ・レ・ポルテ・デュ・ソレイユ)
7月12日(火)□第10ステージ[モルズィヌ・レ・ポルテ・デュ・ソレイユ〜ムジェーブ]148 km (丘越え)
7月13日(水)□第11ステージ[アルベールヴィル〜コル・デュ・グラノン]149 km (山岳/頂上ゴール)
7月14日(木)□第12ステージ[ブリアンソン〜アルプ・デュエズ]166 km (山岳/頂上ゴール *革命記念日)
7月15日(金)□第13ステージ[ブールドワザン〜サンテチェンヌ]193 km (平坦)
7月16日(土)□第14ステージ[サンテチェンヌ〜マンド]195 km (丘越え)
7月17日(日)□第15ステージ[ロデーズ〜カルカッソンヌ]200 km (平坦)
7月18日(月)□休養日(カルカッソンヌ)
7月19日(火)□第16ステージ[カルカッソンヌ〜フォワ]179 km (丘越え)
7月20日(水)□第17ステージ[サン・ゴーダンス〜ペイラギュード]130 km (山岳/頂上ゴール)
7月21日(木)□第18ステージ[ルルド〜オタカム]143 km (山岳/頂上ゴール)
7月22日(金)□第19ステージ[カステルノー・マニョアック〜カオール]189 km (平坦)
7月23日(土)□第20ステージ[ラカペル・マリヴァル〜ロカマドゥール]40 km (個人TT)
7月24日(日)□第21ステージ[パリ・ラ・デファンス・アレーナ〜パリ〜シャンゼリゼ]112 km (平坦)
[総距離 : 3328km]
初開催の女子版ツールのコース発表
第109回ツール・ド・フランスのコース発表会では、来年初開催となる女子版のツール・ド・フランス『ツール・ド・フランス・ファム・アヴェック・ズイフト(UCIウイメンズ・ワールドツアー)』のコースも同時に発表された。その為、発表会には世界チャンピオンのエリーザ・バルサモ(ヴァルカル・トラベル&サービス)ら女子選手も参加していた。
発表会では4日前にコースディレクター任命が電撃発表されたばかりのマリオン・ルスが、ツール・ド・フランスの総合ディレクターであるクリスティアン・プリュドムと一緒にコースの説明を行った。現在30歳のルス新コースディレクターは元プロ選手で、2012年にフランスチャンピオンになり、翌年からベルギーのロット・ベリソルレディースチームに所属。2015年に現役を引退した後は、ユーロスポーツやフランステレビジョンでTVコメンテーターとして活躍していた。彼女は現役時代からツール・ド・フランスで敢闘賞のポディウムガールを務めていて、ASOとは親交があった。彼女は現在、ジュリアン・アラフィリップのパートナーでもある。
初開催のツール・ド・フランス・ファム・アヴェック・ズイフトは、来年のツール・ド・フランスがパリにゴールする7月24日に開幕し、31日までの8日間で競われる。8ステージの内訳は平坦が4、丘越えが2、山岳が2。最終日はヴォージュ山脈のシュペール・プランシュ・デ・ベル・フィーユ頂上にゴールする。
第1回大会には6人編成の22チームが参加する予定だ。賞金総額は25万ユーロ(約3300万円)で、そのうち個人総合優勝者の賞金は5万ユーロ(約660万円)になる。4賞ジャージは男子のツール・ド・フランスと同じカラーになるが、新人賞のマイヨ・ブランは裾に紫のグラデーションが入っている。
第1回ツール・ド・フランス・ファム・アヴェック・ズイフト全日程
7月24日(日)□第1ステージ[パリ・エッフェル塔~パリ~シャンゼリゼ]82 km (平坦)
7月25日(月)□第2ステージ[メオー~プロヴァンス] 135km (平坦)
7月26日(火)□第3ステージ[ランス~エペルネ] 133km (丘越え)
7月27日(水)□第4ステージ[トロワ~バール・シュル・オーブ] 126km (丘越え)
7月28日(木)□第5ステージ[バール・ル・デュック~サン・ディエ・デ・ヴォージュ] 175km (平坦)
7月29日(金)□第6ステージ[サン・ディエ・デ・ヴォージュ〜ロスハイム] 128km (丘越え)
7月30日(土)□第7ステージ[セレスタ~ル・マルクシュタイン] 127km (山岳)
7月31日(日)□第8ステージ[リュール~シュペール・プランシュ・デ・ベル・フィーユ] 123km (山岳)