日本自転車競技連盟副会長・中梶秀則氏インタビュー「2年4カ月ぶりの全日本選手権ロード」
新型コロナウイルスのパンデミックによって開催がずっと延期されていた全日本選手権ロードがようやく開催された。ナショナルチャンピオンシップは、UCIのカレンダー的には本来なら6月末に行われるのが普通で(北半球の場合)、その結果は1位に100ポイントが与えられる。
この100ポイントは、大ざっぱに例えるならジロ・デ・イタリアの区間勝利と同じ点数なわけで、開催さえすれば日本人選手の誰かにこのポイントが付くということは、世界選手権の出場枠などを含め、開催しない手はないのだ。以前にはこの全日本を4月に開催したためにUCIポイントが適用されなかった例があり、「いつまでの開催なら2021年のチャンピオンシップとしてUCIが認めるか」という点も確認が必要だった。
JCFの佐藤勝喜氏によれば「前回の開催(2019年6月、富士スピードウェイ)から2年4カ月、いつやれるかわからない日々が続き、本当に大変だった」という。
そしてついに開催された全日本選手権ロード。会場の広島県中央森林公園で、日本自転車競技連盟(JCF)の副会長、中梶秀則氏にインタビューを行った。
「2年間、全日本ができなかったということで、JCFとしてはなんとか大会をやりたい、それがまず優先でした。本来なら6月で予定していましたが感染が拡大していましたので、なんとか今年中にはと思ってこの10月に持ってきて、開催できたというのは僕らとしては本当に嬉しい事です」。
今年はマスターズの全日本選手権もこの会場で初開催され、30歳台、40歳台、50歳台、60歳台、そして女子のマスターズまでそれぞれのレースが行われたが、逆にジュニアが中止となったことを残念がる意見もネット上には見られた。
「本当はジュニアもこの中でやっていただきたいという気持ちもありましたが、ジュニアの全日本選手権はもともと、四日市での開催が予定されていました。しかし、四日市は三重国体も中止になり、三重県にも緊急事態宣言が出ていましたので、その関係で中止になったのは仕方ないと思っています。本来ならここでやりたいというのが私たちの考えですが、役員の方々がもう1泊、2泊という風になると仕事の関係もあり、ジュニアについては今年は断念しました。
マスターズについては、大会ができたことを本当に喜んでいる様子です。みんな自転車を楽しんでいただく、そういった方々ばかりですので、その楽しみを取らないように絶対開催したいなと思っていました」。
全日本選手権ということもあって、会場には紙媒体やインターネット、さらにはJスポーツやNHKチャリダー、さらには地元ケーブルテレビなどの映像チームも大勢訪れることになったが、大会到着72時間以内のPCR検査が選手たち同様に義務づけられ、入場ゲートでは毎朝の体調チェックと検温結果を送信して返ってくるQRコードをリーダーで読んで入場が許可されるなど、厳しい感染対策がとられていた。
「感染対策は基本的にはUCIの方針に従って、それをJCFが同じような形で行っています。今年いっぱいは無観客がほとんどになってしまいますが、大会を開催することが前提ですので、皆さんには制限がありますが、大会を優先したいと思いますので、ご協力いただきたいと思います」。
第89回全日本自転車競技選手権大会 ロード・レース/第24回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会
開催期間:2021年10月21日(木) 〜 2021年10月24日(日)
開催地:広島県中央森林公園 サイクリングロード
日本自転車競技連盟 https://jcf.or.jp/road/