三菱地所JCL2021最終戦 那須塩原クリテリウムは沢田桂太郎が優勝
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ジャパンサイクルリーグ(JCL)が主催する自転車ロードレース「三菱地所JCLプロロードレースツアー2021」、その最終戦となる第10戦「那須塩原クリテリウム」が11月7日(日)、那須塩原駅西口駅前通り特設コースにて開催された。
1.8kmの周回路を25周する、45kmで行われたレースは、12人よる集団スプリントとなり、最後はスパークルおおいたレーシングチームの沢田桂太郎が優勝した。
大会は新型コロナウイルス感染拡大防止を呼び掛けながらの有観客とし、約2000人が来場するなか行われ、YouTubeにてライブ配信も実施した。
JCLとして年間10戦、さらにポイント付与対象2戦、合計12戦が日本各地で行われた。最終戦を終え各賞の年間総合ランキングも確定。チーム総合優勝は宇都宮ブリッツェン、個人総合優勝は山本大喜(キナンサイクリングチーム)、スプリント賞は小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、山岳賞山本元喜(キナンサイクリングチーム)、新人賞宇賀隆貴(チーム右京相模原)が獲得した。12月には都内で年間表彰式を予定している。
JCLは来シーズンに向けて引き続き地方創生をキーワードにサイクルロードレースでの地域活性化、世界基準となるチームや選手の輩出を進めていく。
JCL最終戦は沢田桂太郎が集団スプリントを制して今季2勝目
自転車ロードレースの国内プロリーグ「三菱地所JCLプロサイクルリーグ2021」の最終戦となる、「那須塩原クリテリウム」が11月7日、栃木県那須塩原市にて開催された。
レースは逃げが決まらず集団のまま推移し、15人弱まで絞られた集団でのゴールスプリントを沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が制して、今季2勝目を挙げた。
JCL初年度の個人ランキングは山本大喜(キナンサイクリングチーム)が、チームランキングでは宇都宮ブリッツェンが、それぞれ年間トップに輝いた。
駅前通りでクリテリウム
有観客で実施 2年ぶりの開催となった那須塩原クリテリウムは、東北新幹線も停車するJR那須塩原駅の西口駅前通りを、大胆に閉鎖して行われる公道レースだ。ホームストレート後方には駅舎が見えるという、絶好のロケーション。最終2連戦は久々に人数制限のない有観客で行われ、緊急事態宣言が明けたことで各地から2000人もの観客が訪れて会場はにぎわいを見せた。
駅と反対側には那須の山々を背景に望むコース 1.5kmの特設周回コースはT字形。前半が長いストレートの続くハイスピード区間、後半がUターン2つを含む4つのコーナーが連続するテクニカル区間となる。ペースが上がると集団後方は一気に辛くなる難コース。集団が崩れなくても人数が自然に絞られる、厳しいレースが通例となっている。
3カ所の180度Uターンが選手の脚を消耗させる 25周45kmのレースは、那須塩原市の渡辺美知太郎市長の号砲で、9チーム52人の選手がスタート。序盤はさまざまなチームが抜け出しを狙いアタックをかける、目まぐるしい展開になったが、集団から大きく抜け出す選手は現れない。1つの集団でのレースが続いたが、それでも序盤から続々と選手が遅れ、厳しい展開をうかがわせた。
集団先頭付近では、ホストチームの那須ブラーゼンが、前週に続いての地元勝利を狙って積極的な動きを見せて、地元のファンを沸かせた。 地元・那須ブラーゼンが積極的に展開。後方には那須塩原駅が見える キナンサイクリングチームが強力にけん引 10周目、最初のスプリント賞は黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)が獲得。レースは中盤になっても集団が崩れず1つのまま進む。
動きが出たのは25周のレースも折り返しを過ぎた14周目。キナンサイクリングチームが6人全員で隊列を組んで、集団先頭でペースのコントロールを開始した。隊列の最後尾にはスプリント力のあるベテランの中島康晴が位置して、他の5人全員で集団をまとめる作戦だ。
キナンサイクリングチームが先頭を陣取ってハイスピードでけん引
今季のキナンサイクリングチームはチーム力を生かして、各選手の波状攻撃で集団を破壊するレースが多かった。しかし最終戦では高いチーム力を異なる形で生かした、横綱相撲のレースぶり。ツアーリーダーのイエロージャージを着る山本大喜もアシストに回り、主にホームストレートを強力にけん引する。15周目、さらに20周目のスプリント賞は、山本がこの流れで先頭通過し獲得した。
集団の動きが安定したことで、他チームも隊列を組んで集団内に位置取った。先頭キナン勢の直後には、スパークルおおいたレーシングチーム。さらに後ろにはチーム右京相模原、そして宇都宮ブリッツェンが付ける。チーム力に劣るチームは後方となり、自然と体力を消耗させられる苦しい展開だ。
最後のスプリント賞がかかる15周目を前に、メイン集団後方で中切れが発生して分断。ここに地元・那須ブラーゼン勢が全体で巻き込まれてしまった。前週優勝の金子大介(那須ブラーゼン)も遅れてリタイア。前方に位置した有力4チームの他には、U23ランキング2位で逆転を狙う本多晴飛(VC福岡)のみが集団内に残り、集団全体でも20人を割り込む小さなメイン集団となった。
スプリンター沢田にチームが絶好のお膳立て
最終回、スパークルおおいたレーシングチームが集団先頭に 集団はその後も数人が脱落し、ファイナルラップに入った時点で16人。ここでキナン勢の後ろに付けていたスパークルおおいたレーシングチームが一気に先頭へと上がり、さらにスピードアップを開始した。集団後方だった宇都宮ブリッツェンも、増田成幸が引っ張って前方に上がり、ゴールスプリントに向けての位置取りの駆け引きが始まった。
最終コーナーを先頭で回ったのは小石祐馬(チーム右京相模原)。しかしチームメイトが後ろに付けておらず不発の動きに。ラスト300mのメインストレートは孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)が先頭に立って、集団をトップスピードまで加速する。
孫崎の番手に付けたのはキナンの中島、その後ろにスパークルの沢田、宇都宮ブリッツェンの小野寺玲が続いた。ラスト200mを目印にスプリントを開始したのは小野寺。これに合わせる形で沢田も加速を開始。中島も含めた三つ巴のゴール勝負に競り勝ったのは沢田。第4戦の広島クリテリウムに続いて、今季2勝目となった。
優勝した沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)のコメント:
「最初から最後までしっかりチームが機能していて、中盤はキナンサイクリングチームがコントロールしてくれて、僕らにとってはいい展開でした。最後まで気は抜けなくて、キナンの後ろでチームがまとまって、(孫崎)大樹さんが司令塔になって、(宮崎)泰史が働いてくれ、みんなが働いてこの結果にたどりつけたんだと思います。チームメイトがいるというのはすごく心強いし、最悪僕でなくても勝負できる人はいるし、気持ちに余裕ができて、最後いいスプリントにつながったんだと思います。 」
2位、スプリント賞を獲得した小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)のコメント:
「このコースはサバイバルレースなので、チームで前のポジションとってスプリントに挑もうと思いました。集団コントロールの先手をキナン(サイクリングチーム)に取られてしまったのが痛かった。チームの脚も残っていなくて、枚数も少なくて、最後の最後にスキを狙って、自分でしかけて勝負するしかなかったですね。最後は各チームが争い合って、各チームのスプリンターの単騎同士の戦いになっているんで、そこで僕は結構いい番手に入りこめました。最後はいままで僕が落車したり、沢田桂太郎選手が落車したりで真剣勝負がかなわなかったんですが、彼とロングスプリントという形で競り合うことができました。沢田選手は脚を残していて、僕が脚を残せていなかったので負けてしまいました。
今年からはじまったJCLですが、僕が好きな市街地コース、自転車サーキットにとらわれずにいろいろな各地できたのが楽しかった。コロナが落ち着いてもっと観客が入って華やかにレースができれば楽しいんじゃないかと思います。このジャージはチームで戦った結果、残った副産物です。初めての年でリーダージャージを獲得できたのはうれしかったです。」
【リザルト】
三菱地所JCL2021
第10戦 那須塩原クリテリウム 45km 平均速度41.79km/h
1位 沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)1:04’35”
2位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)st
3位 中島康晴(キナンサイクリングチーム)+0’01”
4位 石原 悠希(チーム右京相模原)+0’01”
5位 本多晴飛 (VC福岡)+0’01”
6位 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)+0’01”
7位 山本大喜(キナンサイクリングチーム)+0’02”
8位 宇賀隆貴(チーム右京相模原)+0’02”
9位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+0’05”
10位 新城雄大(キナンサイクリングチーム)+0’06”
ツアー各賞も確定
ツアー各賞は、すでに確定していた個人ランキング・イエロージャージの山本大喜(キナンサイクリングチーム)、山岳賞・レッドジャージの山本元喜(キナンサイクリングチーム)のほか、スプリント賞・ブルージャージの小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、U23賞・ホワイトジャージの宇賀.貴(チーム右京相模原)もそれぞれ確定。
チームランキングはシーズン4勝を挙げた宇都宮ブリッツェンがトップに輝いた。
新人賞を獲得した宇賀隆貴(チーム右京 相模原)のコメント:
「シーズン最初はホワイトジャージをあまり意識していませんでした。ホワイトジャージに着目するよ りもチームの勝利を意識して、アシストとして走る展開が多かったです。ただ、今日はホワイトジャージにフォーカスして走ったんですが、今日は昨日の疲れがかなり残っていて、きつかったんですがチームメイトのおかげで戻ることができ、ホワイトジャージを守ることがホットしました。昨日のレースで負けたのが、自転車を始めて一番悔しかったかもしれません、オフシーズンしっかり練習して頑張って行きたいと思います。 」
敢闘賞、U23賞ランキングで僅差の2位だった本多晴飛(VC福岡)のコメント:
「集団最後尾でキツかったですが、単騎では前に入れないので、そこで耐えるという感じでした。ただ全員キツいのは一緒なので、そこはもう我慢比べは得意というか自信はあるので、何とか耐えて耐えて、最終コーナーでは真ん中くらいに上がりました。今年、自転車競技をすること自体が2年目なので、自転車競技に慣れる年でした。後半はかなり展開やラストの勝負に絡めるようになってきたので、レースの楽しさというのがわかってきました。来年は自転車に専念しようと思っています。海外でも通用するような選手になれればと考えています。」
個人ランキングトップの山本大喜(キナンサイクリングチーム)のコメント:
「今日はスプリントの展開で行くというチームの方針で、その中で中島(康晴)さんがエースで走るという作戦だったので、もう今日はジャージとかは気にせず、チームの勝利だけを目標に頑張りました。スプリント賞は狙っていたわけではなく、集団をコントロールしている中で、自分が毎回ホームストレートを踏んで引っ張っていたので、その中で取れたという感じでしたね。今シーズンは自分の中で、今までと違う高いモチベーションで走ることができて、成績も残して、すごく良い一年ではあったのですけど、レースを走る中でまだ増田(成幸)さんであったりとか、力の差はあるなと感じたので、そういう日本の本当のトップの選手になれるように、また来年に向けて準備をしていこうと思っています。 」
チームランキングトップを獲得した宇都宮ブリッツェン・清水裕輔監督のコメント:
「いろんな選手に勝利させたい、いろんな選手を強くしたいというのが今年のモットーだったので、年間総合優勝というタイトルが取れて素直にうれしいです。けがやコンディション不良などで途中戦列を離れる選手が多かったですが、何とか残っているメンバーで最終3連戦を戦い抜いてくれたなと。今のチームは勝てる選手というのはいますが、来年はもっとチームの底上げをして、しっかりとチームを強くしていきたいと思います。キナンはすごく強いけれど、何とか僕らの方が勝利数が多かったというのは、選手たちが来年への自信にしてほしいなと思います。 」
JCL各賞リーダージャージ表彰
イエロージャージ(個人ランキングトップ)
山本大喜(キナンサイクリングチーム)
ブルージャージ(スプリント賞)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
レッドジャージ(山岳賞)
山本元喜(キナンサイクリングチーム)
ホワイトジャージ(新人賞)
宇賀隆貴(チーム右京 相模原)
チーム総合優勝
宇都宮ブリッツェン
地元特別表彰
敢闘賞:本多晴飛(VC福岡)
スプリント賞
黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)
山本大喜(キナンサイクリングチーム)
【YouTube配信動画】 三菱地所 JCLプロロードレースツアー 第10戦 那須塩原クリテリウム
大会概要
タイトル:第10戦那須塩原クリテリウム
開催日:2021年11月7日(日)
開催地:栃木県那須塩原市那須塩原市前弥六南町2-4 那須塩原駅西口駅前通り特設会場及びコース 1.8km×25周回=451km
ツアー主催:一般社団法人ジャパンサイクルリーグ
ツアー運営:株式会社ジャパンサイクルリーグ
ツアー後援:国土交通省、経済産業省、スポーツ庁 大会主催:那須塩原クリテリウム大会実行委員会