沢田時と橋口陽子がエリート新王者に!2021全日本選手権MTB XCO
目次
新時代の幕開け
ダウンヒル同様、秋田県田沢湖町から愛媛県八幡浜市へと会場と日程変更を受けて11月21日(日)、第34回全日本自転車競技選手権マウンテンバイク クロスカントリーオリンピックが開催された。
東京オリンピックでプロ生活にピリオドを打った山本幸平と今井美穂。前年の覇者不在という状況のなか、誰が真っ先に後継者として名乗りを上げるのかが注目されたが、男子エリートの55人に対し女子エリートは4人。直前のXCE/XCCを盛り上げたアンダー23の4人との混走にがどのような展開になるかも注目された。
会場となった八幡浜スポーツパークのコースは、アップダウンに富んだレイアウトが特徴の3.9km。ゆるやかな上りの舗装潞からシングルトラックが続き、後半にかけてはテクニカルなセクションが設けられ、勝負どころもなっている。
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■V11王者の山本が去り、誰が勝っても「初優勝」というXCレースシーンの新たなスタート。
12時15分に全5カテゴリー混走でスタートした女子は、スタートからU23の小林あか里が抜けだし、一時は後続に20秒ほどの差をつけるが、2周目の上りで川口うららが追いつくと逆転。ハイペースを維持した川口は、小林に40秒差をつけて4周回を走り切り、ロードU23含め、今季の全日本選手権4勝目をマーク。
U23の後塵を拝してしまったものの、女子エリートは橋口陽子が1時間6分35秒で優勝。2018年のクップ・ドュ・ジャポンMTB総合優勝に続くタイトルを手にしている。
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■「チャンスはあると思いましたが、落車したり思いどおりにはいきませんでした」といいつつ、ペースを乱すことなく独走で優勝を決めた橋口。
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■「小林選手のスタートについていけず焦った」という川口だが、冷静に追い上げてMTB種目完全制覇を達成。
U23との混走、6周回で行なわれた男子エリートは、佐藤誠示が得意のスタートダッシュを見せたものの、先頭で戻ってきたのはジュニア時代からのライバルである竹内遼と沢田時。これに宮津旭、さらには地元の門田基志が続く。
2周目には早くも沢田を先頭に、竹内、宮津の3人が、後続を大きく引き離し、これにU23の北林力が単独で続く。
ポジションを入れ替えながらテールトゥノーズで走り続ける沢田と竹内だったが、4周目の上りで沢田がアタック。2人と距離を置いて走行していた宮津がやや出遅れたが、5周目には竹内をかわして約15秒差で沢田を追いかけるも、その差を詰めることはできず、沢田が全日本選手権初優勝。
U23は、2位の村上功太郞に3分近い差をつけて北林力が連覇を達成している。
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■桜坂で先行する竹内をピッタリとマークする沢田と宮津。千葉公園でも好勝負を見せた3人の争いは4周目終わりまで続いた。
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■「仕掛けるならラスト2周」決めていたという沢田だが「パンクもしやすいコースなので、最後まで気が抜けませんでした」
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■最後は片手を高々と突き上げてフィニッシュ。「マウンテンバイクを始めた頃からの夢だった」チャンピオン獲得の瞬間。
第34回全日本自転車競技選手権 マウンテンバイク クロスカントリーオリンピック結果
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■「最初の上りで『今日はこの2人との勝負になる』と思いました。最終ラップまで本当に気が抜けませんでした」と沢田。
男子エリート
1.沢田 時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)1:11:13.97
2.宮津 旭(PAXPROJECT)1:11:32.75
3.竹内 遼(FUKAYA RACING)1:14:29.22
男子アンダー23
1.北林 力(DREAM SEEKER MTB RACING TEAM)1:11:52.10
2.村上功太郎(松山大学)1:14:40.21
3.松本一成(RIDE MASHUN SPECIALIZED)1:16:51.69
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■「若い3人の背中を見ながらのレースになりました」と悔しさを滲ませる橋口。早くも気持ちは来季に飛んでいる。
女子エリート
1.橋口陽子(AX MTB team)1:06:35.97
2.平田千枝(Club la sista offroad team)1:13:28.13
3.早瀬久美(日本ろう自転車競技協会)1:15:56.74
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■海外レースで刺激を受けた川口と、2年にわたる海外生活から戻った小林に、今年CJで初優勝した矢吹と、今後が楽しみなU23女子。
女子アンダー23
1.川口うらら(日本体育大学)56:37:02
2.小林あか里(信州大学)57:18:40
3.矢吹優夏(BBQ )58:26:05
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■長らくブリヂストンMTBチームを牽引してきた平野星矢が、今大会をもって引退。新たなチャレンジへと向かう。