JCLのエキシビションレース・みなとみらいサイクルフェスは小野寺玲が優勝
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ジャパンサイクルリーグ(JCL)が主催する自転車ロードレース「三菱地所JCLプロロードレースツアー」、プレシーズンの都市型エキシビションレースとなる「みなとみらいサイクルフェス」が2022年2月12日(土)、神奈川県横浜市、赤レンガパーク特設周回コースにて開催された。
JCLで活躍するプロ選手たちが一般の行楽客の行き交う週末のみなとみらいを活気づけるエキシビションレース。これまで開催が困難であった都市部での開催を通じ、これからのサイクルスポーツの認知拡大・自転車文化振興・ 安全推進・健康増進に寄与する活動の一環となることが期待される。
3人のスプリントを制したのは宇都宮ブリッツェン・小野寺玲
自転車ロードレースの国内プロリーグ「三菱地所 JCLプロロードレースツアー」のエキシビションレース「みなとみらいサイクルフェス」が 2月12日(土)、神奈川県横浜市にて開催された。
レースは4周目から抜け出したエスケープグループを終盤にプロトンがキャッチしたタイミングで飛び出した3人が逃げ切り、宇都宮ブリッツェンのスプリンター小野寺玲が勝利を手にした。
横浜・みなとみらい地区に特設された1周400mのスーパーショートコース
今回の舞台となったのは横浜市認定歴史的建造物である赤レンガ倉庫付近の赤レンガパーク。横浜みなとみらい地区の代表的な観光施設の前に1周400mの特設周回コースが作られた。赤レンガ倉庫側は広いオーバルコーナーであるのとは対照的に逆側は狭く鋭角に曲がるタイトコーナー、その先は幅員1.8mのストレートと1列での展開が予想され、選手たちは試走時から細かなチェックをする様子が伺えた。
エキシビションレースの前には選手との交流もできる一般走行会や小学生を対象としたKINAN Racing Teamの安全教室も催された。当日の天気は快晴、最高気温は10度を下回るも風も穏やかで約100人の参加者は開放感に溢れた表情でサイクリングを楽しんだ。
会場に着いたプロ選手たちが走行会に混ざると、プロが描くコーナーラインに多くの参加者が追随し、瞬く間に一体感を増していった。
会場中央ではKINAN Racing Teamの鈴木宏幸選手による自車安全教室が催され、3人の小学生たちは自転車コントロールのレクチャーを受けた。適切なタイミングでのブレーキングやバランス、ハンドルコントロールを学んだ子供たちは後半、積極的にセクターをクリアするなど上達に周囲を驚かせた。
時刻が正午に近くなると、会場に観客として入場する方々が俄然多くなる。昨シーズン全国を行脚したJCLのプロロード選手を一目見たさに集まった来場者は延べ1,000人。周回を埋め尽くす参加者を前に16人の選手たちが入場。いよいよレースがスタートする。
スタートとともにレースは活性化 4人の思惑が合致しリードアウト
エキシビションレースは400mの周回コースを30周する12km。8チーム計16人の選手が多くの観客が見守る中レースをスタートした。
序盤のペースを握り主導権を奪うのはベテラン畑中勇介(KINAN Racing Team)。しかし各チーム人数が少なくコースも狭いこともあり、長く伸びる前方にはエスケープを狙う各チームの選手たちが固まって進行、プロトンはコースが広がる度に仕掛け合う落ち着かない展開。
この流れを断ち切ったのが山本元喜(KINAN Racing Team)、このアタックにすかさず飛び付いた林伶音(ヴィクトワール広島)とプロトンの間が少し開くと抜群のトップスピードを持つ横塚浩平(VC福岡)と高木三千成(さいたまディレーブ)がエスケープに合流、逃げる意志が合致した4人がプロトンと8秒〜10秒のギャップを奪い逃げ続けるスリリングな展開となる。タイトなコーナーをギリギリで抜けていくハイスピードのレースを目の前に観客の胸は熱くなる。
4人のリードアウトが広がるとプロトンの前方へ出たのはTeam UKYO SAGAMIHARAと宇都宮ブリッツェン。互いの力量をよく知るチーム同士が連携し前方の4人との距離を絶妙に図りながらコントロールを開始する。
ラスト8周を切るとこの差が急激に縮み出す。逃げ切りたい4人の背後に迫る1列棒状のプロトン、いよいよエスケープとのチェイスはクライマックスへ突入した。
レースは残り4周が決定打に!
ラスト5周いよいよプロトンがエスケープをキャッチすると、その隙をついて小野寺玲がアタック、このたたみ掛ける展開に反応できたのは宇賀隆貴(Team UKYO SAGAMIHARA)のみ、残る周回は4周。ここでプロトンが追手に一瞬躊躇し、互いに見合った絶妙なタイミングで抜け出した海野晋作(レバンテフジ静岡)がブリッジに成功しレースはラスト1周を迎える。
コーナーからゴールまでの直線が短いこのスプリントレイアウトに勝機を掴んだのは小野寺、立ち上がりから宇賀の捲る隙を与えずに見事にゴールを射止めた。3位はブリッジで消耗するも健闘した海野晋作。集団のトップはコントロールで沸かせた畑中勇介(KINAN Racing Team)が奪取し4位となった。
レース後も熱気が冷めやらない会場。観客に囲まれる中、3人の入賞者はシャンパンの代わりにイチゴミルクシェイクで乾杯。互いの健闘を称えあった(この日は赤レンガ倉庫ではストロベリーフェスティバル2022が催されていた)。
三菱地所JCLプロロードツアー2022開幕戦まで約2カ月。都市型エキシビションレース「みなとみらいサイクルフェス」は、2022年シーズンのプロローグにふさわしい熱戦で幕を終えた。
三菱地所JCLプロロードレースツアー 都市型エキシビションレース「みなとみらいサイクルフェス」結果
優勝 小野寺 玲 宇都宮ブリッツェン
2位 宇賀 隆貴 Team UKYO SAGAMIHARA
3位 海野 晋作 レバンテフジ静岡
■優勝:小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)コメント:
「楽しい!」これだけの人の中で自分が元々住んでいた街でレースができたのにとにかく嬉しかった。集団待機で勝ちに行くというスタイルを変えていきたいと望んで掴んだ展開。宇賀選手もスプリントできる選手なので警戒しましたが、最後に良いラインを掴んだことで自分のスプリントを逃しませんでした。今年は「ロードレースでも勝てる小野寺を認識させたい」今までと違う自分を見せていこうと思います!
■2位:宇賀 隆貴(Team UKYO SAGAMIHARA)コメント:
こういうクネクネしたコースは僕の得意としたコース。緩急のある展開で、シクロクロスで鍛えた走りを活かせたと思います。去年のJCL自分は2回勝つチャンスを逃したなと感じているので、チームとして勝つという目標ももちろんですが、自分の勝利にも貪欲に挑戦していきたいです。
■3位:海野 晋作(レバンテフジ静岡)コメント:
今日はチームメイトの鈴木史竜さんが終盤までプロトン前方で動いてくれていたので、なんとしてでも期待に応えたかったです。前半にチームメイト同士で会話もできたことで落ち着いて最後のタイミングで飛び出せました。自分はアップダウンのコースが得意なので、秋吉台カルストロードのようなコースで力を発揮できるように頑張っていきたいと思います。