ロンド・バン・ブラーンデレン2022はファンデルプールが2度目の優勝

  • photo ©SprintCycling

モニュメントと呼ばれる5大クラシックの1つである、第106回ロンド・バン・ブラーンデレン(ツール・デ・フランドル/UCIワールドツアー)が、4月3日にベルギー北部フランダース地方で開催され、オランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)が、2020年に続いて2度目の優勝を果たした。
 

ロンド・バン・ブラーンデレン2022

■ファンデルプールがゴールスプリントを制して2度目の勝利を獲得した(©SprintCycling)

 
2位はオランダのディラン・ファンバールレ(イネオス・グレナディアズ)、3位はフランスのヴァランタン・マドゥアス(グルパマ・FDJ)だった。初参加でありながら、終盤にレースをリードし続けたスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)は4位でレースを終え、表彰台には上がれなかった。
 

ロンド・バン・ブラーンデレン2022

■左から2位のファンバールレ、優勝したファンデルプール、3位のマドゥアス(©SprintCycling)


ヴァンアールトが新型コロナで欠場

ロンド・バン・ブラーンデレン2022

■新型コロナのパンデミックは続いているが、ロンドは有観客で開催された(©SprintCycling)

 
第106回大会には、UCIワールドチーム18チームと、UCIプロチーム7チームの合計25チームが参加する予定だったが、イスラエルのイスラエル・プルミエテック(UCIワールドチーム)は、怪我や病気で参加できる選手が規定の人数に足らず、欠場を余儀なくされた。その為、ベルギーのセップ・ヴァンマルケ(イスラエル・プルミエテック)は今年のロンドを走れなかった。

さらに大会の2日前には、優勝候補の1人だったベルギーチャンピオンのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染し、欠場する事が発表された。最大のライバルの欠場で、ファンデルプールは今年の最有力優勝候補になっていた。

ベルギーは数日前に雪が降ったが、当日の朝は快晴だった。序盤に9人の逃げグループが形成され、4分ほどのタイム差を付けた。集団はティム・デクレルク(クイックステップ アルファヴィニル チーム)とジュリアン・ヴェルモーテ(アルペシン・フェニックス)がコントロールを続けた。

18カ所あった上り坂の5カ所目だったモーレンベルフで、ナタン・ヴァンホーイドンク(ユンボ・ヴィスマ)が加速したのをきっかけに、集団からは13人の追走グループが形成された。2度目のオウドクワルモントが間近に迫った残り60kmで、先頭の逃げグループと13人の追走グループは26秒差、集団は1分差だった。
 

ポガチャルがアタック

ロンド・バン・ブラーンデレン2022

■ポガチャルがコッペンベルフで加速した時、付いて行けたのはファンデルプールとマドゥアスだけだった(©SprintCycling)

 
2回目のオウドクワルモントで逃げグループはバラバラになり、追走グループと一緒になったが、ここで集団からポガチャルがアタックし、みるみるうちに前の選手たちを追い抜いていった。石畳の長い坂が終わる頃には、彼はレースの先頭に出ていた。

次のパーテルベルフの石畳の坂を越えた後、先頭集団は12人に絞られ、そこにファンデルプールの姿はあったが、ディフェンディングチャンピオンであるデンマークのカスパ・アスグレーン(クイックステップ アルファヴィニル チーム)は入っていなかった。

パーテルベルフを越えた後、先頭グループからファンバールレとフレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス)が抜け出し、わずかに先行した。クイックステップ アルファヴィニル チームは、次のコッペンベルフのふもとで精鋭グループに追いついたが、石畳の坂の途中でアスグレーンは機材トラブルに見舞われてしまい、勝機を失ってしまった。

ゴールまで残り44kmのコッペンベルフで、精鋭グループから抜け出したのはポガチャル、ファンデルプール、マドゥアスの3人だった。彼らは残り37kmのターイエンベルフで、先頭のファンバールレとライトに追いついた。

そして3回目のオウドクワルモントで加速したポガチャルに付いて行けたのは、ファンデルプールだけだった。最後の石畳の坂だったパーテルベルフでは、明らかにポガチャルの方が力強く上っていたが、ファンデルプールも遅れる事はなかった。
 

ロンド・バン・ブラーンデレン2022

■最後のパーテルベルフでポガチャルはファンデルプールよりも力強く走っていた(©SprintCycling)

 
オウデナールドのゴールまで残り4kmで、曇り空から雨粒が落ち始めた。ポガチャルとファンデルプールは、追走するマドゥアスとファンバールレに30秒ほどのタイム差を付けて先頭を走り続けた。最後は一騎打ちのゴールスプリントになるだろうと、誰もが予測していた。

ところが、残り1kmのフラムルージュを通過した後、前を走るファンデルプールは、まるで後ろの2人を待つかのように減速し、ポガチャルも先に仕掛けなかった。ファンデルプールは、残り250mでマドゥアスとファンバールレが追いつく瞬間にスプリントを開始し、2度目のタイトルを勝ち取った。

その一方で、追いついた2人に進路を阻まれる形になって、思うようなスプリントができなかったポガチャルは、ゴール前で諦め、両手を上げて不満の意を表していた。彼は今年のロンドで明らかに最強だったが、4位に終わり、ツール・ド・フランスとロンドの両方で優勝した3人目の選手にはなれなかった。
 

ロンド・バン・ブラーンデレン2022

■思うようなゴールスプリントができなかったポガチャルは両手を上げて不満を表した(©SprintCycling)


第106回ロンド・バン・ブラーンデレン 結果

[4月3日/UCIワールドツアー/ベルギー/272.5km]
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) 6:18:30
2. VAN BAARLE Dylan (INEOS GRENADIERS / NED)
3. MADOUAS Valentin (GROUPAMA – FDJ / FRA)
4. POGACAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
5. KÜNG Stefan (GROUPAMA – FDJ / SUI) +0:02
6. TEUNS Dylan (BAHRAIN VICTORIOUS / BEL) +0:02
7. WRIGHT Fred (BAHRAIN VICTORIOUS / GBR) +0:11
8. PEDERSEN Mads (TREK – SEGAFREDO / DEN) +0:48
9. LAPORTE Christophe (JUMBO-VISMA / FRA) +0:48
10. KRISTOFF Alexander (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX /NOR) +0:48

ロンド・バン・ブラーンデレン公式サイト

チクリッシモ no.65 選手名鑑2022 好評発売中!